♯ヒコさん心の一曲−私の兄弟(S&G)
・『私の兄弟』、原題「HE WAS MY BROTHER」を聞いた時、
「やられた!」と、私は思いました。
ギターをやり始めていた私は、D⇒CやG⇒Fのように
下るコード進行に魅力を感じていました。
基本の3コード。ハ長調なら、C、F、G。
ハ長調なので最後のコードは、Cでないと終わった感じ
がしません。しかし、始まりや途中は自由(?)です。
・後から勉強したクラシックのコード進行理論ではF⇒G
は、OKですが、G⇒Fの下降進行は、理論上よろしく
ないと書かれていました。(理由は忘れました。)
しかし、ギターで弾くD⇒CやG⇒Fは、意外性や
スピード感があり、「作曲に使えないか?」と模索して
いた矢先!
・やられました!『私の兄弟』に。
「HE WAS MY BROTHER」の出だしの「HE〜」のコード
進行がD⇒Cなのです。60年代当時、このコード進行
をやって成功した数少ない曲だと思います。
それを曲の頭からやったわけですから、私は「やられた!」
「やられた!!」と、布団の中で一人うごめいたわけです。
♪彼は 私の兄弟だった
五歳年上の
彼は 私の兄弟だった
そして二十三歳で彼は死んだ
‥‥
彼は 私の兄弟だった
涙しても 彼は戻ってこない
彼は 私の兄弟だった
でも 彼の死が 彼に続く兄弟達を自由にしたんだ
彼の死が 彼に続く兄弟達を自由にしたんだ
・ポールが『私の兄弟』と歌っている人は、友人で公民権運動家
アンドリュー・グッドマンのことです。この人が、反対派の人
に殺害されたことに大きなショックを覚えて書いのがこの曲です。
これがきっかけでポールは、シリアスな曲を書くようになった
とも言われています。
たしかにサイモン&ガーファンクルのデビューアルバム
「水曜の朝、午前3時」は、理想論を悪く言えば「ノー天気」
で歌ったフォークソング、トラディショナル(民謡)、果ては
賛美歌まで入っています。その中で異色を放ち、その後の
S&Gのメインテーマを感じさせるのが『私の兄弟』と
『サウンド・オブ・サイレンス』です。
・もしS&Gがデビューアルバム「水曜の朝、午前3時」の多数
をしめる音楽性で勝負を続けたのであれば、20世紀最大の
デュオグループとしての名声は残らなかったと、私は思います。
『私の兄弟』アンドリュー・グッドマンの死が、ポールに深い
影響を与え、S&Gが60年代当時のアメリカそして全世界の
真実の姿を音楽で表現することになっていったと、私は思います。
(602-2007/7/7記)
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。