♯ヒコさん心の一曲−オンリー・イエスタデイ(カーペンターズ)


・「寂しく孤独だった私は昨日までで終わり、あなたに出会った今日は
 すべてが光り輝いているわ!」とオンリー・イエスタデイは歌います。
 運命の人との出会い−オンリー・イエスタデイがヒットした75年
 に高校生だった私は、運命の人との出会った瞬間にすべてが光り輝き
 出すのではないかと夢想しておりました。

・私の高校は新設校で私達は第一期生でした。それは良くも悪くも先輩
 とのしがらみがないという事になります。部活動も自分達で創部して
 いきました。私たちの仲良し男子グループは、既成の部にあきたらず
 マラソン同好会を立ち上げました。名前は、「アドベンチャーランニング
 クラブ」(通称アドラン)です。「今日はあっちに行ってみようか!」
 とか「今日は少し遠いがXXXランドまで走るぞ!」と緑溢れる田舎
 を、お揃いの緑色のジャージ(学校統一)を着た男の集団が走って行く
 のでありました。

・「恋多き高校生」の私は、隣のクラスのY子さんが「可愛いな〜」と
 思っておりました。そこをY子さんと同じクラスだった我アドランの
 会長が、橋渡しをしてくれました。答えは「つきあってみてもいい」
 でした。その答えを聞いた時は、「女の子と正式(?)に付き合う」
 のはこれが初めという事もあり、正直「天にも登る気持ち」となった
 事を覚えております。

・彼女は演劇部、私はアドラン。部活が終わると待ち合わせていっしょ
 に帰る日々が始まりました。初々しいカップルの二人は、つかず離
 れず歩いて行きます。ちょうどその頃ヒットしていたのが「オンリー
 ・イエスタデイ」でした。

・この楽しい時も一ヶ月も続きませんでした。今から思えば友達から
 自然に発生した交際ではありませんでした。Y子さんも「私と付き
 合いたい」というよりも、「男の人と付き合う」事に興味を持って
 いたのだと思います。思春期の男女交際でよくあるパターンかもし
 れません。私は、ふられた反動でアドランと音楽にますますのめり
 込んで行きました。

・「オンリー・イエスタデイ」が入っているカーペンターズのアルバム
 は『緑の地平線(ホライズン)』です。カーペンターズの最高傑作と
 支持するファンも多いアルバムですが、憂鬱でもあるかの様にうつむいて
 いるジャケットのカレンの表情が、とても気になります。また、何故
 このような写真をジャケットに使ったのか?ちょっと謎めいています。
 カレンはこの後、結婚・離婚を経験し83年2月に心不全で亡くなって
 います。(享年32歳)
 
・私の詩『いつかONLY YESTERDAY』は、高校時代から
 ずーと後の初体験の事を書いた詩ですが、その一節はこうです。
  いつかONLY YESTERDAY 曲の始まりはバスドラム
  艶深いカレンの声 いつかONLY YESTERDAY
  歌の中のロマンスは何の翳りもなく 現実を見る必要もない
「歌は人に夢を与える」−「人は一時を夢の中で過ごす」
 現実には「運命の人との出会った瞬間にすべてが光り輝き出す」なんて
 事はありえませんが、歌が見させてくれる夢の中で、人はそう思いたい
 のです。

 (721-2004/12/25記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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