♯ヒコさん心の一曲−ガラサ(沖縄本島わらべうた)
♪いぇー ガラサ <イェー ガラサ>
やー 後から <ヤー アトゥカラ>
大和人ぬ 鉄砲抱えて <ヤマトゥンチュウーヌ テッポウカカエテ>
いっ殺すんど 前見りよ <イックルスンド メェーミィリョ>
後見りよ <アトゥミィリョ>
ガラサ ガラサ <ガラサ ガラサ>
♪いぇー カラス
お前の 後から
大和人が 鉄砲を持って
ぶち殺すぞ 前見ろよ
後見ろよ
カラス カラス
・『ガラサ(カラス)』は、神話の時代から日本に住んでいる鳥です。
この歌はからすに例えて、大和人(本土の人)への警戒心を促す歌です。
この歌の場合、大和人とは、薩摩(さつま)の役人を指すと考えられます。
沖縄のわらべうたで、政治的メッセージ(?)を含む珍しい歌です。
・15世紀に成立した琉球王朝は、南方貿易で栄える独立国でしたが、
1609年の「琉球薩摩入り」以降、実質は、薩摩の属国となりました。
しかし、江戸幕府には「琉球は独立国である!」と、薩摩は言い続けました。
鎖国の江戸時代、薩摩が直接、南方貿易に手を出せなかったからです。
・裏で薩摩は、琉球に役人を送り、南方貿易の厳しい管理統制を行いました。
刀を挿しエバる役人に、大人達は、戦々恐々と一線を画していました。
そんな大人の引き腰を見て、子供達は大声で『ガラサ』を歌いました。
沖縄方言の歌は、薩摩の役人には「意味不明」に聞こえた事でしょう。
・日本語と沖縄方言の源流は同じで、鎌倉時代に枝分かれしたと言われています。
源流は同じなので、もう使われない古語が、沖縄方言で現役だったりします。
また、子音のイとエがひっくり返っている等で、音もかなり違って聞こえます。
ですから、薩摩の役人は『ガラサ』を無邪気に聞くしかなかった事でしょう。
(940-2009/6/27記)
*わらべうた、子守唄の歌詞は、地域で若干違う場合もあります。
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。