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ビルマ? ミャンマー?

 日本では、その国を親しみを込めて「ビルマ」と呼んでいました。しかし、89年以降、マスコミの多くや政府・官公庁が、その国をミャンマーと呼ぶようになりました。一方、ほとんどの東南アジア研究者や人権団体は「ビルマ」を使い続けています。

 この不思議な「ビルマ」呼称問題を考えてみます。

 1989年にビルマ軍政(民主化運動を圧殺したクーデター勢力)は、世界に向けて英語表記をBurmaからMyanmarに変更するように求めました。
 BurmaとMyanmarは、ビルマ語のバマーとミャンマーに対応する英語です。バマーとミャンマーの語源は同じで、バマーはより口語的な言葉です。また、バマーには独立の父、アウン・サン(スー・チーの父)達が活躍した「我らビルマ人協会」(ド・バマー・アソシエーション)のイメージもあり親しみが持てる呼び名でもあります。それでも軍はミャンマーを求めました。理由は、「バマーはビルマ民族しか表さない」とのことでした。しかし、そんなことを信じるビルマ人や日本のビルマ研究者はごく少数です。軍人達は、自分たちが好む「速い」「強い」というイメージを併せ持つ(似た言葉がある)ミャンマーに変えたかったのだ、というのがおおかたの見方です(日本でいえば「日本」でなく「大和」「大日本」って感じでしょうか)。

 納得できない理由なので、日本以外の、世界の多くの国々は今でもBurmaと呼びつづけています。

 ところが日本政府は、100年以上も、親しみを込めて使い続けてきた、日本語としてのビルマ(「イギリス」「オランダ」「インド」「エジプト」などと同じようなもの)を捨てて、求められてもいないのに、「ビルマ」を「ミャンマー」に変えてしまいました。これも軍政への「援助」でしょうか?マスコミの多くも、これに倣っています。しかし、たとえば、中国の「英語表記」が「チャイナ」なら、「日本語」としての「中国」を「チャイナ」にしてしまうのでしょうか?

 ビルマの軍政当局が「求めた」のは、英語表記の変更です。日本語としての「ビルマ」を変える必要は全くないのです。

※ビルマ軍政は、国名の英語表記の変更とともに首都「ラングーン」を「ヤンゴン」と呼ぶようにも求めましたが、これは軍政がどうのこうのという前に、「ヤンゴン」が正しいのです。「上海」を「ジョウカイ」と読まずに「シャンハイ」としてほしい。というようなものです。たとえば、英語表記ではビルマ語との表記の「誤差」のようなことが起きてしまい、それをまた日本語に直すと、スーチーさんは「スーキー」さんになってしまいます。この、ラングーン→ヤンゴンの変化と、ビルマ→ミャンマーの変化は、全く別次元のことです。

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