労働組合の作り方 

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1、労働組合を作ることは難しいことではありません。

労働者が、労働条件や労働環境の問題に対処するために、仲間を募り、経営者側と交渉するための集まりを作れば、それが労働組合の原型になります。

規約とか予算とかを考える前に、まず、労働者の要求をまとめることが大切です。そして、そこに集った労働者達が@経営者とは違う立場で労働条件や労働環境のことを考えることA集まる労働者について差別的に排除(たとえば「男だけと」か「日本人だけ」とか「宗教を持っている人はダメ」とか)せずに平等に集えるようにすることB要求作りや行動の決定については民主的な方法で(経営サイドの利害とは別の視点で)決めること、などの基本的なことを確認すれば良いわけです。

最近、労働組合結成にあたって「労働組合は法人にする必要があるのか?」とか「労働委員会の資格審査を受ける必要があるのか?」という相談を受けることがありますが、労働組合を結成することと、法人化すること、労働委員会の資格審査を受けることは全く別の次元の事柄です。とくに「法人化」は労働組合の結成とはなんら関係がありません。労働委員会による資格審査は、労働組合活動の中で必要に応じて受ければよいのです(このときのポイントは、運営について経営者から自立していること、運営が民主的であるということ、労働組合法第五条に示された規約を持っているということです)。一番大切なことは、労働者が労働者間の差別を認めずに経営者から自立して集まり(団結して)、自分達の経営に対する要求をまとめ、交渉を申し入れるということです。

労働組合(ユニオンと呼ばれることも多くあります)は、雇用されている人ならば、使用者(経営者)側に立つ人以外は誰でも結成することができます。一般的に言われてきた「管理職は組合に入れない」ということもは、正しくありません。管理職といっても、部下がいない管理職や肩書きだけの「部長」もいます。これらの人達は純然たる労働者と言えます。ただし、労働組合の自主性を保障するために、人事権のある者や経営者が労働組合に加入することはできません(人事に携わっているといっても人事に決定権のない労働者は、労働組合に加入できます)。「人事部・人事課に所属するから」とか「経理だから」とかいって、その労働者を労働組合員の対象としない企業内組合のケースも見受けられますが、これは明らかに間違いです。また、正社員でない労働者(パート・アルバイト、臨時、嘱託)が労働組合に加入できないというのもおかしな話になります。

2、3名以上は必要か?

労働組合は「団体」ですから、1人では結成できません。ただし、その会社や法人に組合員が1人しかいなくても複数の会社・法人で各々働いている「1人」が複数集まって「合同労働組合」を結成することはできます。この場合は個々の会社・法人の枠にとらわれない組合活動を行うことになります。

ところで、この「複数」は2人でもかまわないのか?という問題があります。これにはさまざまな見解があります。代表者と会計と事務方(書記長とか事務長)の3人が揃っていれば問題がないので、現実的に組織運営を考える場合、3人以上は必要といえるかもしれません(代表者と事務・会計担当と会計監査役の3名がいれば組織は民主的に運営できます)。一つの会社・法人に組合員対象者が2名しかいない場合などは、先に述べた合同労働組合を考えるべきかもしれませんし、3人以上でも(10人、20人でも、たとえ100人でも)合同労働組合方式は有効です。一つの職場の複数の労働者が合同労組(ユニオン)に加盟した場合は、その合同労組の規約にもよりますが、支部や分会あるいは班を結成することになるケースが多いようです。

3、具体的にはどうしたらよいか?

日本国憲法28条に示されている、団結権(労働組合を作る権利)、団交権(団体交渉を経営者に申し入れれば、経営者は拒否できない権利)、団体行動権(労働組合として団体で行動する権利、ストライキを行う権利、争議を行う権利)の「労働三権」を行使し、また労働組合法に定められている、「不当労働行為」(経営者が組合員を差別したり、活動に介入したり、団交を拒否したりすることを法律違反行為としたもの)を適用されるてめには、労働組合法第五条に定められた一定の条文を備えた、労働組合規約が必要です。この規約を組合の大会(組合員が集まり、活動に必要な事柄を決める場)で承認しなくてはいけません。詳しくは労働組合法を見てみましょう(難しい法律ではありません)。

4、組合結成を相談するところは?

地域にある労働組合や、行政の労働組合結成のアドバイスを行う部署(労政事務所や労働センター)で組合結成の相談は出来ます。ただし、会社の経営者に相談してはいけません。それでは、労働組合の「命」ともいえる、経営者の利益からの独立、労働者の自主性を失うことになります。

また、労働組合といっても、会社の人事と一体となっているような「御用組合」や、結成した当時の組合員がすでに1人もいなくて、形だけの労働組合で活動していないようなところに相談することも控えましょう。

ポイントは、まず、労働者の要求と結成の意志があること。そして、その要求を労働者側の立場に立って実現しようとすることです。労働組合法に沿った組織運営のあり方などは、結成の後に徐々に整えれば良いのです。

5、結成後いきなり、経営者には通告しないこと

労働組合を作る場合、普通は「非公然」期間を設けます。いかめしい言い方ですが、要するに組合組織がある程度しっかりするまでは、経営者に結成したことを言わないということです。労働組合は経営者と利害の異なる自主的な活動を行うので、経営者からはどうしても嫌われがちです(しかし、労働組合があってはじめて会社・法人は円満な労使関係ができるのです)、ワンマン経営者などはとくに労働組合を嫌います。そして、労働組合の形が出来ないうちに、労働組合が作られたことを知ると、組合をなんとか排除しようとしたりします。このことは法律違反なのですが、現実には起こりえることです。

ですから、労働者が労働組合を結成した後、数ヶ月以上は「非公然」期間として、組織固めを行う必要があるのです。中心的な労働者数名で、まず組合を結成し、会社に通告するまでの期間に組合員を増やす(会社に知れないように)という場合もあります。結成から会社への通知までの期間の長さや、その期間内の活動内容については、ケースバイケースです(経営状況や会社・法人規模によって、さまざまなパターンがあります)。社員全員が人員整理されたり、倒産や事業所が閉鎖されたような場合などは、結成から時間をおくことなく会社に通知して、すぐに活動に入る(交渉や、場合によってはストライキなど)必要があります。

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