内反足に関するご質問とお答え

私が滋賀県立小児保健医療センター在職中にメールにて先天性内反足に関するご質問をたくさんいただきました。すべてにご返事を差し上げてきましたが、その中でも他の皆様のご参考になると思われる重要なご質問については固有名詞を削除し、個人情報に触れると思われる部分についてはご質問された方に掲載の許可をいただいた上で、ホームページ上でご紹介してまいりました。ご参考にしていただければ幸いです。
先天性内反足についてご質問のある方は、ort at kir.biglobe.ne.jp (atは@に変えてください)にメールをください。

御質問307

ホームページとても参考になります。ありがとうございます。勝手を言って申し訳ありません。セカンドオピニオンとして、ご意見を伺いたくメールさせていただきます。
娘の左先天性内反足についての質問です。生後4カ月になります。典型的な先天性内反足と診断(中等度)され、8月〜9月末までの2ヶ月間ギプスを巻き、10月始めよりデニスにしております。担当の先生は、踵骨の尖足があり、1歳になる前にオペの必要があると言われています。外観的には内反足だとわからないほどいいのですが、健側にくらべて確かに踵骨が上がっており、後方から見ると特徴的な横ジワもあります。しかし、足部(後足部・前足部)の外転(外旋)は健側と同じくらいしますし、足関節の背屈も最大矯正で約40度可能です。舟底変形はなく、背屈に際しカカトの動きも連動し、踵骨もだいぶ降りてくるのがわかります。レントゲンですが、ギプス1カ月の時に撮影したもので、足関節約10度程の背屈位での側面像は、脛踵角は70°〜80°程で、そんなに悪くないと言われました。現在はかなり背屈できるので、最大背屈位での脛踵角を計ればおそらく良い結果がみられるはずです。しかし、問題は足関節の背屈がスムースではないということです。具体的には、ギプスを取ってから始めの3週間くらいは、足のクローヌスがみられ、強く背屈に抵抗します。ゆっくり持続的に背屈位へ持っていくと、かなりの背屈が得られるのですが、かかえながらつかまり立ちをさせると、カカトは床に着きません。健側はカカトを床にしっかりおろしています。寝ているときやおっぱいを飲んでいる時は、意外と軽い力で背屈位のストレッチができるのですが、普段足関節を背屈させようとしても、力が強く無理矢理背屈しない限りは背屈できません。ジャックナイフ現象の強いもの・・とでも言うのでしょうか。膝屈曲位での足関節の背屈は意外と容易なのですが、膝伸展位ではかなり硬い感じがあります。子供はアクティブで背屈はしませんし(中間位程度まではします)、デニスをしているときも底屈位のままです。
相談なのですが、レントゲン所見は保存的適応の範囲内と仮定して、足関節の他動的可動性は良好にもかかわらず、下腿筋のアンバランスで尖足(底屈位)となってしまうケースは、後方解離等のオペの適応なのでしょうか?私見ですが、筋のトーヌスが強いままでオペをしても、意味がないように思えます。アキレス腱を延長しても、筋腹が近位に短縮してしまうことが考えられるのですが。また、腓腹筋のトーヌスは、今後成長にともない減弱していくものなのでしょうか?乳幼児のもともとの病的反射亢進に、内反足という特殊な状況(固定など)が加わり、一時的に過緊張となっているのでしょうか?ハムストリングの緊張もなく、膝や股関節の抵抗性の制限はありませんし、脳性まひ等の錐体路障害などの徴候もみられません。

このようなケースは通常の内反足の経過にあるのでしょうか?このままでは、硬くなるといけないと思い、ホットパックや軽いマッサージ、痙性?を少なくするための無理のないストレッチを継続しています。ストレッチをしたあとは、多少やわらかくなります。
豊富なご経験から、ご助言が頂ければ幸いです。

私、父親は整形外科クリニックに勤務する柔道整復師(ほねつぎ)ですので、多少の専門用語はわかりますので、ビシビシご指導お願いいたします。
それでは失礼いたします。

御返事

生後4カ月の娘さんで先天性内反足があり、2ヶ月間ギプスを巻き、その後デニスなっているとのこと、そして、現在他動的には可動域悪くはないが、かかえながらつかまり立ちをさせると、カカトは床に着かない、膝伸展位ではかなり硬い感じがする、という状態と理解しました。

さて、結論からいえばこの状態は特別なものではありません。保存的治療がうまくいっている場合でも、健側とくらべれば足関節の動きはスムーズでないのが普通です。そして腓腹筋は大腿骨から出ていますので、膝関節を伸展させれば腓腹筋は緊張して足関節の背屈は抵抗をうけ、よりスムースでなくなります。

4ヶ月前後のころにはなんとか他動的背屈が良好に保たれていても、大多数(85%くらい)は歩行開始するころには尖足の為になんらかの手術が必要となってきます。その理由は、第1に、これから骨の長軸方向への成長してゆくこと、第2に運動発達、とくに立位が始まるころには筋力(特に下腿3頭筋、そのわりには腓骨筋が弱い)が増強していっそう背屈が困難になってくるからです。

現在は引き続きデニスを装着して自動運動を促し、さらに徒手矯正を続けて(1日4回、1回につき20回くらいの背屈運動)可能な限り背屈可動域を保つことに全力を傾けます。生後6ヶ月前後に踵骨の尖足が強ければ手術が必要です。この時、もし距骨と舟状骨、ならびに距骨と踵骨との関係が良好であれば後方解離単独でよいのですが、もしこれらの骨の配列が多少でも悪ければ(これは妥協を許しません。わずかでも配列がわるければかならず再発します)距骨全周解離が必要となります。生後6ヶ月前後に尖足がそれほどでなければ引き続き保存的治療を継続しますが、少なくとも歩行開始前までには不自由のない足にしておくのが良いと考えます。

ということでがんばって下さい。御心配なことはいつでもメールしてください。

御質問289

初めてメールします。よろしくお願いします。32週で約****グラムで出産しました。現在、呼吸器をつけて保育器の中にて治療中です。妊娠中に羊水過少症、発育遅延、骨盤位と診断され、32週にて帝王切開で出産しました。産まれてきた娘は両足が内反足と診断されました。現在、代謝異常等疑われていますが、検査結果がもう3週間経ちますがまだ出ません。とりあえずビタミンB群の大量投与で代謝性アシドーシスは軽快しているようで経鼻胃管で母乳を持続注入している状態です。
内反足については自然に治るといわれ、そのままになっているのですが、本当に自然に治るものか非常に疑問を感じています。 両足は90度くらい内側になっています。伸びをした時にはある程度まっすぐになりますが、すぐにもとに戻ります。
お聞きしたいこと
#1小児整形外科がなく整形外科にNICUの小児科医が相談して自然経過で治ると聞いていますが不安を感じています。現在は出生後4週近くになりますが体重が++++gで非常に痩せています。こんな状態でも早急に専門医に相談して必要であれば治療が可能でしょうか?
#2胃内に残乳がないようにうつ伏せで寝かされていることが多いのですが内反足がそのままになる格好でいつも寝ていますが、内反足のまま拘縮してしまわないか心配です。寝かせる時になるべく外反するように寝かせてもらった方が自然治癒を促進させませんか?

御返事

メールありがとうございました。

現在、呼吸器をつけて保育器の中にて治療中とのこと、いろいろ御心配のことと存じ上げます。
さて、内反足の件ですが、いろいろな状況を考えるといまは内科的なことに全力を注ぐ時期と思います。たしかに足を見ると変形が目立ちますので気になるかもしれませんが、今重要なのは呼吸系を含めた全身状態です。内反足はあとからどうにでも治療できます。うつぶせ寝結構です。拘縮などは気にかけないでおきましょう。
保育器から出て、退院可能になった時点で治療を考えましょう。その時点でまた状況を御連絡ください。

御質問272

初めまして。
**月**日に生まれました姪の件でご相談致します。出産には異常もなく元気に生まれた姪ですが、すぐに足の異常に気づきました。両足の甲が足首からが90°(それ以上かもしれません)内側に曲がっています。産婦人科医からは予想した通り、先天性内反足の診断をうけました。今後専門の小児整形外科にて診察を受けるつもりです。こちらのホームページ(Q&A)を拝見し、内反足についての様々な知識と励ましを得られたことに深く感謝申し上げます。実は手の指にも奇形?があることに気づきました。左手薬指が第一関節程度短く(小指と同等の長さ)、爪がありません。また、その部分を摘んでみると大変柔らかく指骨を感じません。その他の異常については、現段階では確認できませんが、これらの点から他に何か異常があるかどうかの推測がつくようでしたらお教え願いたいと思っております。また、初診(小児整形外科)で担当医に対して、どのような点を確認しておく必要があるか等をご指導下さい。

ーーーーーーー

御返事

先天性内反足にはしばしば手や足指の先天性異常が合併します。指の尖端がなかったり、指や足首付近の絞厄輪(紐できつくしばったような痕)があったりします。これらは状況に応じてそのつど治療が必要な場合があります。

指の尖端の欠損については今は様子を見る事になるでしょう。
現在は内反足の徒手矯正に全力を傾ける時期と思います。その他の異常、たとえば脊椎などは小児整形外科専門医であれば必ず診察するはずです。

ということでがんばってください。

御質問271

はじめまして。満七ヶ月を過ぎた息子の事で相談させてください。
先日八ヶ月児検診にかかりつけの小児科へ行ったところ、右足が内反足気味だと診断されました。確かにかかとから先が少し内側に曲がっています。先生は歩くようになって支障がなければ大丈夫とおっしゃいましたが、私自身内反足についての知識がまるでなかったので家に帰りインターネットで調べたところ、矯正を早めにやった方がいいのではないかと思いました。しかしかかりつけの先生が大丈夫と言ってくださっているのでそれを信じたい気持ちもあります。実際歩くようになってからの矯正でも遅くないのでしょうか。
また、息子はよく膝の上に立たせると足を突っ張ったり、かなりの勢いで私の膝等が痛いくらいぴょんぴょんはねます。その時の足がなぜか両足とも爪先立ちなのですが、それは個性といっていいのでしょうか?他のお子さんは両足をちゃんとつけて立つので不思議です。
よろしくご返答お願いします。

御返事

内反足の場合は、足首が固くなって簡単には正しい形にはもどすことができません。たとえば踵が内側に傾き、踵を床につけようとしても固くてどうしても踵が浮いてしまいます。
内反足とよく間違えるのが内転足です。内転足では足首の動きはそれほど制限されません。また踵の部分の変形は目立ったものがありません。6割が自然治癒してゆきますが、変形が強い場合にはいつまでも内転が続きますし、その場合には靴が合わなかったりと不自由な場合がありますので、早期に変形矯正(徒手矯正とギブス固定)した方が良いと思います。治療に良く反応します。また、同じ仲間ですが、 skew foot (グニャグニャと曲がったという足という意味)があります。これは内転足にさらに踵骨の外反変形がともなったものですが、治療は簡単ではありません。

まず正確な診断が必要と思います。

御質問270

はじめまして、ーーーーの娘についてご相談させてください。

ーーーーーーー入院中も内反足については何も言われず、一ヶ月検診でも医師には気が付かれませんでした。母として右足が内側に向いているのが気になる旨を伝えると、ーーーーー整形を受診しました。

ーーーーーーーーしばらくの間石膏で固めたようなギプスで固定して、その後デニスブラウン、片足だけのブーツのようなギプスとなりました。一人歩きを始め、足の裏全体を地面についているように見えますが、やはり親指に向かって軽くカーブしています。靴も普通の靴を履きすたすたと走っています。

ーーーーーーーーー娘の内反足については近所の小児科医師も検診で気が付きません。今のところ手術の話も出ないですし、両下肢の長さも太さも同じで歩行にも差し支えないように見えます。ただ、カーブしているのが気になるくらいです。同じ内反足でも娘のは軽度に入るのでしょうか?このカーブは見た目が少し気になるだけで将来何か支障をきたすことはないのでしょうか?お忙しい中ですが、ご返答お願いいたします。

御返事

内反足の本質は、距骨とその周囲の骨との配列の異常です。したがって、現在その配列が正しくなっていれば問題ないのですが、もしすこしでも異常があればやがて内反が再発するおそれがあります。現在レントゲン的に骨の状態はどうであるのか次回診察の時に主治医に率直に尋ねると良いでしょう。もし異常がわずかでも残っているならば時期をえらんで治療が必要です。

足の裏全体を地面についているように見えるが、親指に向かって軽くカーブしている、というのは、ふた通りの推測ができます。1)内反足変形が残存していること、2)内反足の本質的部分は矯正されたけれど、中足骨(足の先の骨の部分)の内転変形が残存している場合です。1)の場合には先に述べたように時期を見て治療が必要となります。2)の場合は内反足に伴ってしばしば起こる変形です。極端な変形でなければそのまま経過を見て良いでしょう。変形が強ければ装具などで矯正が必要かもしれませんし、変形がしつこければ外科的治療が必要です。

ということで、まず主治医に現在の骨の状態はどうであるのか説明を受けるべきと考えます。

御質問261

初めてメールさせて頂きます。
6月24日に次女が誕生しました。彼女は右足が内反足のようです。
産婦人科で出産したため、地元の小児科の先生に診てもらいました。しかし、ミルクの飲みが悪かったため、そのまま市民病院の新生児室に移送されることになり足についてはしばし保留にされております。今は、徐々に自力でミルクを飲むようになり1週間ほどで退院のめどがつきました。次に医師に足のことを相談しましたところ、見たところ軽度であるため、月一度みえる**の先生の診察を受ければよいのではとの見解でした。
貴病院のホームページでは少しでも早い治療が効果をだす旨の掲載がありました。新生児でも、早急に貴病院に診察に伺ったほうがよろしいでしょうか?それとも、地元**県にも小児整形外科の評判の病院はあるのでしょうか、教えていただけませんでしょうか?
ーーーー

御返事

ほんとうに内反足であれば治療開始時期ははやいほど良いのですが、実際には全身状態などにより早期治療が困難な場合がたくさんあります。したがって、全身状態が良好となって、自由に外に出せる状況となった時点で内反足の治療を開始する、ということで良いと考えています。内反足の治療が遅れて変形が強く固くなったとしても、最終的には外科的治療により不自由のない足にすることができるからです。心配せずにおおらかに構えてよいと思います。生後4-5ヶ月までは徒手矯正とギブス固定のため頻回に通院の必要がありますのでできるだけ地元の施設での治療が望ましいです。
もし、4-5ヶ月の時点で不安が残りましたらまた御連絡ください。

御質問242

私は、先天性内反足の子供を持つ1児の母です。内反足について、こちらのページを拝見させていただいて、今でも疑問に思っていることがありましたので、質問させていただきました。私は、個人の産婦人科で出産しました。異常なく普通分娩でした。産まれた時に、右足が曲がっていることにきがつきました。しかし、産婦人科の先生は、そのことには全くなんの説明もしてくれず5日間の入院で退院しました。退院時に、先生が「右の足が曲がっていますが、たまに生まれたときの衝撃で曲がる子供がいますので心配しなくても大丈夫です。1ヶ月たっての健診でも曲がっているようでしたら、整形外科を受診しないといけないかもしれませんが・・・様子みていて大丈夫ですよ」と言われました。もちろん、内反足ですから、治るわけもなく1ヶ月たっての健診で整形外科を紹介されました。私の町では、専門病院がないために、1時間かけたところにある大きな町の専門病院を紹介されました。その病院で言われました。「普通は、生後1週間から治療しないといけないんですが・・・」と。私たち家族にとっては、無知でもある「内反足」です。普通は、産婦人科の先生も子供の病気について把握しているものなんじゃないのでしょうか?1ヶ月遅れた治療ですが、現在は装具固定で経過をみているところです。現在9ヶ月です。ハイハイやつかまり立ちをするようになったのですが、ハイハイする時は、右の足を引きずってハイハイしています。足の太さも違います。治療が遅れたことに関係はないのでしょうか?通っている病院の先生は、1歳まで様子をみて手術するか判断しますと、言われました。装具を外すと、まだ内尖しているようです。1歳まで様子をみていて大丈夫なのでしょうか?心配です。男の子なので、走ったり、運動させてあげたいのです。どうか、教えてください!!!!!

御返事

お子さんの内反足についてさぞ御心配のことと存じ上げます。
しかし、これから正しく治療がなされれば心配ありません。がんばってください。

さて、変形の残存している内反足に対しては、通常歩行開始までに矯正を完了しておく(6ヶ月前後に手術的矯正をすることが多い)のが望ましいと思います。しかし、さまざまな事情で矯正時期をおくらすこともあるかもしれません。たとえば、矯正が完璧といかないまでも歩行に不自由ない程度であればしばらく様子をみるかもしれません。徒手的(手で矯正すること)に正しい形にもって行ける場合、デニスブラウンなどでしばらく経過を観察することもあります。また、麻酔学上の事情で1歳まで様子をみる必要があることもありえます。

今専門医にかかっているわけですから、きちんとした方針にしたがって治療されているはずです。疑問点は率直に尋ねるのがよいと思います。その答えになっとくができなければセカンドオピニオンを求めるべきと思います。

実際に診察していないのでこれ以上の責任あるお答えができないのが残念です。

御質問240

先日、2ヶ月の次男のことでご相談させていただいた者です(御質問237)
あの後、ーーーーー別の病院を紹介いただきました。

戸惑いつつも、診察をうけたところ、「重度でマッサージでは治らない。アキレス腱の手術をしたほうが、最終的に正常な足に近づく」との診断を受けました。
なんでも、足先の変形は矯正しうるが、アキレス腱は非常に固く、手術したほうがよい、とのこと。
手術後すぐギブスをまき、1週間ごとに通院するようになるそうです。まだ2ヶ月の乳児なのに、というと、「1ヶ月でもできる」とおっしゃいました。

以前の主治医は「4ヶ月に満たないうちに手術をする医者もいるが非常に危険だ」といわれていたので、非常に当惑したのですが、とにかく先生に判断をお任せするしかない、また、今後、長く通わなくてはなりませんし、心情的なことも考え、先生のすすめどおりアキレス腱伸張の手術を受けることになりました。
麻酔について、心配だ、と言いましたら、「上手な先生を探すから、心配ない」とおっしゃいました。

医師を信頼すべきことは分かっていても、親として本当に子供にとってベストな選択をしたのだろうか、と後になって思い悩んでおります。不安がうつってか、次男も1日中泣きつづけるような始末です。皆様のHPにも手術は的確な治療の1つとありますが、本当に2ヶ月で手術することがあるのでしょうか。

ちなみに、前回アドバイスいただいた、マッサージ時に足首が白くなることについて、特別な疾患はなさそうです。

重ね重ね大変恐縮ねのですが、アドバイスいただけませんでしょうか。

御返事

矯正・ギブス治療を効果的に行う為にアキレス腱のみの延長をおこなうことそのものには問題ありません。状況によっては私達もおこなうことがあります。問題は麻酔です。麻酔さえ安全に行えるならば問題ないと思います。**病院についてはまったく情報を持ち合わせておりませんので、これ以上のコメントは残念ながらできません。

がんばってください。また結果をお知らせ下さい。

御質問237

先天性内反足と診断された、1ヵ月半の次男のことで相談したく、メールさせていただきます。

この1月末に2300gで生まれた次男は両足が典型的な内反足でした。出産した病院では治療できず、「1ヶ月ほどしたら連れて行ったらいい」と近くにある病院を紹介していただきました。親としては相当のショックでしたが、なんとか最善をしてやろうと、本やインターネットを調べるうち、先生のHPにもあるとおり「1日も早い治療」が肝要とわかり、いてもたってもおられず、退院してすぐ、生後1週間で**病院の整形外科へ連れて行きました。担当医(足の専門)の診断は先天性内反足(重度)とのこと。治療の方向性は、「まずマッサージ、2週間後にギブス、数ヵ月後にデニスブラウン、そして1歳ごろ、おそらく手術が必要、治る見込みは50%」とのことでした。ただ、早速ギブスを、と思いきや、関節がかたく、また低体重児で皮膚も弱く、ギブス耐えられない、とのことで、まずは足首のマッサージを、と指導いただきました。
確かに足首を正常の位置に持ってくると(かなり固いのですが)、足首から指先まで白くなり、血流が悪くなる感じです。担当医は「まず太らせなさい」とおっしゃいました。

ここからが問題なのです。
次男は順調に成長し、1ヵ月半たった今では3500gを超えています。ただ、足の関節は依然固く、皮膚も弱いとのことで、まだギブス治療に入れません。通院先の先生は「もっと太らせて」とおっしゃいますが、親としては、それよりも早くギブス治療を進めて欲しい、と焦りを感じております。HPをみても「1日もはやく」や「生後すぐに」ギブスをするのが効果的とあります。
確かに次男の足首は固く、起きている間は反抗するのでとても正常位置にはもてこれません。寝入ってから手のひらで30分くらい暖めてやると柔らかくない、正常位置になりますが、やはり足首は白くなります。
通院先の先生の指示では「1日数10分程度マッサージを」との指導ですが、現状、1日2時間はやってもこの有様です。ほとんど妻がやっており、力が入っていないのかもしれません。
太るのを待っているうちに、関節や骨が固くなって、手遅れになってしまわないか、と心配です。マッサージが悪いのか、次男の足が極端に悪いのか、または転院したほうがよいのか・・・と、悩み、焦りがどんどん膨らんできております。

今のままでよいのでしょうか。息子の足は完治するのでしょうか。
限定的な情報かとは思いますが、先生のアドバイスをいただければ幸いです。


御返事

もうすぐ2ヶ月のお子さんの内反足で、皮膚や、血流の問題がある為に思うように治療が進められない、ということで大変お悩みのことと存じ上げます。

まずしっかりと認識しておくべきことは、たとえ治療開始が遅れても、あるいは初期治療がうまくゆかなくても、最終的には手術を含めた方法で不自由の無い足にすることができる、ということです。様々な理由でやむをえず、1才すぎ、あるいは2-3才過ぎにはじめて治療をはじめる場合はたくさんあるのですが、それでも治療方針が正しくさえあれば歩いたり走ったりすることに困らない足にすることができます。
ということで焦ることはまったくありません。おおらかに構えてください。

お子さんの病状を本センターの全スタッフで論議しました。「足首を正常の位置に持ってくると、足首から指先まで白くなり、血流が悪くなる感じ」というのであれば、潜在する何らかの疾患がないかどうかを含めたいろいろな可能性を考慮する必要があるとの結論です。

ということで、まず主治医に、なにか内反足以外の疾患が潜んでいないのか訊ねてみる必要があります。小児科その他に紹介していただけるかもしれません。また、疑問に思うことはどんどん質問すべきです。主治医がこの疾患の専門医であれば丁寧に答えてくれるでしょうし、もし主治医がこの疾患に精通していなければ専門医に紹介してくれるでしょう。

ということで、いまは焦ること無く、がんばってください。

御質問232

以前に両足内反足の息子のことで相談させて頂いた者です。(2002年1月質問101)鈴木先生に質問した後早速日本へ息子を連れて帰り知り合いに紹介してもらった病院の専門医のところへ診察に行きました。診断結果は内反足でした。レントゲンを撮ってもらい、骨の説明も受けました。その医師から私が担当医ならアキレス腱の手術をすると言われとてもショックでした。カナダの医師からは手術は必要ない、と言われてたからです。息子の装具は片足ずつの装具です。日本の医師から息子の足にはデニスブラウンが向いている。デニスなら踵の骨も矯正されやすい、もしかしたら手術なしで様子を見ることもできる、とのことでした。英語で診断書も書いて下さりカナダへ戻った際早速かかりつけの医師に診断書を見せました。すると、息子の踵を念入りにチェックし始めいきなり手術しよう、と言ったのです。主人も私も困惑しました。別の医師の診断書を見て今までの自分の意見を全く変えてしまった医師に私はあなたは息子に手術は不必要だと言ってたじゃないですか?と聞くと日本のドクターも手術必要と言ってるじゃないか、必要ないと思っていたがこの子のためには今しておいた方がいいと言われました。私はデニスで様子をみたいと伝えるとその型はもうここでは作っていないと言われました。息子の足を歩けるようにするためには手術が必要なんだと不安な気持ちを抱えながら6ヶ月のときにアキレス腱延長手術を受けました。術後、片足の傷が開き縫い糸が出てそこが化膿したり結局余計に大きな傷を残してしまいました。息子は7ヶ月でつかまり立ち、8ヶ月でつたい歩き、9ヶ月で歩き出しました。踵は地面に着いています。現在1歳5ヶ月です。つま先は以前と変わらず内向きになることが多いです。装具は夜間のみ装着しています。装具は踵がかなりずれます。2cm以上浮くことがほとんどです。私なりに直して欲しいところを指摘し、直してもらっても結果はずれます。直してばかりでどうしたらいいのかわかりません。今でも息子にはデニスブラウンがいいのでは?と考えてしまいます。手術を再びしないように装具にしっかり役目を努めてほしいのに上手くいきません。息子が寝た後マッサージをし、装具を付けるのですが、毎晩不安な思いです。この装具は本当に役に立ってるのだろうか?鈴木先生は術後の足にはどんな装具を使ってらっしゃいますか?今月半ばに日本へ帰るのですが、一度息子を診察して頂けないでしょうか?息子の装具について直せる箇所があれば教えて頂きたいのです。もし今の装具が良くないなら、できることなら鈴木先生に装具を作って頂きたいんですが、無理ですか?息子が歩いている今でも息子の足の将来がちゃんとスポーツできるようになるのか、再発せずに普通の完璧な足に近付けるのかとても心配です。お忙しいと存じますが返答願います。どうぞよろしくお願いいたします。

御返事
お子さんの現在の内反足の病態を明らかにして、それに対し、なぜアキレス腱延長をするか、なぜデニスブラウン装具を装着するのかなどの適切な説明が伝わって無いことに問題があると思います。

御希望が在れば診察致します。

その後の経過
結局来日されて小児センターで手術をしました。再手術でしたので大変でしたが幸い手術も予定どうり順調に終了し、その後は不自由なく歩行できているのを確認しました。

御質問223

先天性内反足の息子についてお伺いしたく、メール致します。息子は現在6ヵ月半です。出産が総合病院だった為、生まれてすぐに左足の先天性内反足との診断を受けました。生後7日目からギブスでの矯正をして、1週間に一度巻き替えに通っています。1ヵ月〜1ヵ月半に1回、レントゲンをとって経過を診ています。現状はまだ、尖足と内反があるのと、きょ骨の位置関係が平行で、主治医からは、まだしばらくはギブスでの矯正と言われています。尖足がまだ残っているので、矯正靴を履かせても、すぐ抜けてしまう可能性がある為、歩く頃まではギブスで矯正をするとの事です。
将来的には手術をする事になるかもしれませんが、今はまだ矯正で経過をみると言われています。本などで内反足の記述を読んでみましたが、だいたい生後3ヵ月頃から矯正靴になるとの事で、私自身、少し不安を感じています。このまま、歩く頃までギブスでの矯正で大丈夫でしょうか。もしくは他の医師の診察を受けた方がいいでしょうか。現在、迷っている状況です。

アドバイスを戴けると幸いです。

御返事

生後6ヶ月ということですので、重要な時期です。現在の段階でもし矯正が不十分であれば、いまおこなっている保存療法(手術無しの方法)は続けても効果は無いと考えます。年令とともに矯正効果は減じてゆくからです。今おこなっている治療が不適切であったのであれば、適切な保存療法に切り替えることにより効果が得られるかもしれません。
ということで専門施設でのセカンドオピニオンを聞くべきです。

御質問216

初めまして。
両足内反足で生後1ヶ月の次男の父親で**と申します。
貴センターのホームページを閲覧させていただき、色々な情報を得ることができました。また、いろいろな質問にお答えくださっている様子を拝見させていただき、私もよろしければ質問させていただきたく思い、メールさせていただいた次第です。
さて、質問内容は3点あります。

質問1
現在息子は**病院の整形外科に通い、ソフトキャストでの矯正治療を行っています。息子の場合両足内反足ですが、変形がひどいのは右足で、左足は徐々に良くなってきています。先日レントゲン撮影を行い、足の甲と脛の角度を測定したところ、右足は107度、左足は70度とのことでした。医師の説明では70度以下が正常値であり、左足は申し分ないとのこと。一方右足に関しては月に一度ほどレントゲン撮影を行い、角度を測定していきましょうとのコメントをいただきました。
このときに、この角度と言うのが最終的な外科的処置を施すかどうかの指針になるのでしょうか?インターネットを通じて得た情報だと、80度でも手術をなさっている方がいるとの事。今後しばらくの間はこの数値だけを頼りにしていけばいいのでしょうか?

質問2
毎週の通院前日の晩、息子のソフトキャストを外し、お風呂に入れてあげることができています。その際に、足が痙攣のようにプルプルするときがあり、主治医に聞いたところ、「内反足の子供は、脊椎の神経が二つに分かれていることがあり、それが原因かも知れない。特に治療を要するようなものではないので安心してください。」といわれました。といえども、親として「脊椎」などという言葉を聞いてしまうと、悪いほうに考えてしまいがちです。故、上述の医師のコメントから、何らかの診断は可能でしょうか?また、具体的にどのような異常があり、痙攣のような症状を引き起こしているのでしょうか?

質問3
上述の質問内容とかぶる部分がありますが、内反足の子供の場合、他にいろいろな疾患を併発していることが多いようですが、現在お世話になっている主治医のほうではとくに検査らしいことは一切していません。先日一ヶ月検診の際に、かかりつけの小児科医からは「異常なし」と診断され、先天性代謝異常も異常無と産院から伝えられました。そこで、内科医による診断、先天性代謝異常による診断、以外に、診断すべき項目などありますでしょうか?そのときに考えられる疾患について教えていただけませんでしょうか?
突然メールさせていただいている上に、いろいろな質問をさせていただき、大変恐縮ですが、内反足の子を持つ父として、息子の将来に不安を覚える毎日であるが故のこととお許しください。

それでは、お返事いただけること、お待ち申し上げております。

御返事

生後1ヶ月のお子さんが内反足ということで御心配のことと存じ上げます。

さて、脛の骨と足の角度が右107度、左70度ということですが、これもよく使われる計測方法の1つです。ただし、あくまでも内反足の重症度を表す一つの指標とおもいます。内反足の本質は足にあるいくつかの骨の並び方(骨のお互いの関係)に異常のある疾患ですから、様々な方向から重症度を判定する必要があります。

実際の臨床の場では、まず様々な方法で診断し、経過を追う時にそれぞれの内反足の特徴をもっとも良く表現している計測法を選択して治療の経過を見てゆく、というのが多くの先生方がとっている方法ではないかと思います。
ただし、繰り返して申し上げますが、この疾患に対しては様々な考え方があり、手術適応をきめる時に脛と足の角度を一番重要視する先生もおられるでしょう。お子さんの内反足の状態をさまざまな角度、たとえば踵骨と距骨との関係はどうなっているか?距骨と舟状骨との関係は改善されているのか?などの説明があれば問題ありません。内反足の手術の際に重要なことは、踵骨と距骨、距骨と舟状骨、そして踵骨と立方骨の関係がどうなっているかということだからです。こうした本質的な部分が解決されていれば簡単な後方解離術が良い適応ですし、そうでなければそれらの骨の配列を矯正する手術が必要となります。

痙攣のような症状については実際に見てみないとなんとも判断できません。小児科の先生の診察を受けておられるようですから、このような症状が増強するようなことがなければそのまま様子を見てよいでしょう。

御質問215

先日孫の内反足で、お世話になった**です。
先生のご丁寧なメールのお陰で、前向きに治療を始める事が、出来ました。本当に、ありがとうございました。
ギブスの治療を、始めて、もうすぐ2ヶ月になります。曲がっていた足も、随分良くなったのですが、左右の足の大きさが、違っています。治療していただいている先生に、伺った所ギブスの影響で、仕方がないと言うことでした。最終的には、どういった形で、歩くかが、大事だと言われました。
**県の**病院に通っています。
先生の、ご意見も同じですか?嫁も、足の大きさが、違うので、辛そうです。
お忙しいとは、思いますが、先生のご意見をお知らせいただければ、幸いです。
どうぞ、宜しくお願いいたします。

御返事

内反足の方の大きさ小さくなるのが普通です。これは内反足の骨どうしの配列を考えれば当然のことです。また、内反足の方の足の発育が遅れるのが一般的です。もちろんギブスの影響も否定できませんが。

最終的に正しく治療できればかなり左右差な目立たなくなると思います。
ということでがんばって下さい。

御質問210

はじめまして。
我が家には、内反足の子供が2人います。長男現在2歳5ヶ月、次男現在6ヶ月です。2人とも出産時に両足内反足と診断され、翌日から同病院の整形外科にてマッサージ・装具治療をしています。長男に関しては、マッサージ・装具・テーピング・矯正靴と進み現在は特に何もしていません。ただ、変形が残っています。前足部が内転しており内股です。後ろから見ると『ハの字』状態です。しかし、日常の行動についてはほとんど問題はありません。歩く・走る・ジャンプするといったことは普通にできます。
次男については、現在マッサージとテーピング固定です。長男の時より柔らかく手で正常位置に持っていくことは比較的簡単にできます。しかし、手を離すと元通り。見た目はかなりひどいです。
主治医の方針としては、手術は『機能に問題が出てきたら』ということなので現時点では2人とも手術予定はありません。長男の変形を治すには、足の甲の骨を切断して鉄の棒で真っ直ぐに固定する手術方法がありそれはリスクが高いため、今すぐしなくても良いとのことでした。(←手術の方法名はわかりません)
そこでご質問なのですが・・。


1、長男の変形・内股について

こういった場合、手術をするとすればどんな方法があるのでしょうか?また、手術によって変形はどの程度まで改善見込みがあるのでしょうか?


2、次男について

手で正常位置には矯正できても手を離せば元通りといった状態の場合、マッサージして矯正位置でテーピングもしくは装具で固定という現在の治療を続けていても改善の見込みはないのか、手術を考えるべきなのか、またその時期はどれ位を目安にしたらよいのか・・・。

現在の主治医を信頼していないわけではありません。しかし、小児整形の医師でもありません。 同病院で他に数人の内反足の患者がいますが、手術はせずリハビリにて治療するのみです。私自身の考えとしては、『手遅れ』という事はないと思いながらも専門の医師にも診てもらう方がいいのかとも思います。あくまでも、先生の考え方としてお聞きできれば幸いです。選択肢を広げる意味でお答えいただければ、嬉しく思います。

御返事

メールありがとうございました。
兄弟で内反足がある、ということで御心配のことと思います。

まず、最初に思ったことが2つあります。

第1は、治療の前に、診断を確実におこなう必要があるということです。特に 弟さんですが、「長男の時より柔らかく手で正常位置に持っていくことは比較的簡単にできる」というのは、もし本当に内反足とすると極めて軽度の変形であり、出生後早期に正しく治療を行えばかなり良い成績がえられるはずです。通常の内反足は、舟状骨が距骨の内側にロックされ、簡単に矯正できるものではありません。
臨床診断ならびにレントゲン診断、それも矯正位での撮影をおこなって、距骨に対し、踵骨がどのような位置にあるか、そして未だ出現していない舟状骨がどこに位置しているのか見当をつけ、内反足変形のおよその重症度の診断をする必要があります。この点については主治医からどのような説明を受けているでしょうか? その重症度と、次ぎに述べます治療の目標を視野に入れながら今後の治療計画をたてなくてはなりません。

第2は、治療目標の設定です。「主治医の方針としては、手術は『機能に問題が出てきたら』ということなので現時点では2人とも手術予定はありません。」ということであれば、現在の治療目標は、多少の変形は残っても、とくに痛みが出たり、ころびやすくなったりしなければそのままとする、ということと推測されます。小児整形外科学からの視点ではここが問題となります。すなわち子供の場合、現在問題はなくても、将来問題がでないか?ということです。実際に診察していないので、推測となりますが、お兄さんの写真では右足の内側は窪んでいます。歩くときは足の外側は凸となりそして歩く時に力をいれれば足は全体としてかなりの内反になるはずです。このような状態で歩行すると、足の外前方部に大きな力がかかることになります。このことは裸足で歩行する状態を詳しく観察するとわかるでしょう。
このような足ですと、将来社会生活をする時に長時間歩行したり、走ったりするスポーツをすると疲れやすくなったり痛みがでることが推測されます。また、足に関する筋力が正しい形で働かない為に疲れやすくなるはずです。とにかくはっきりしていることは、内反変形というのはたとえわずかでも最終的には不自由な結果を招くのです。

もちろん考え方の問題であって、痛みが起こらないように将来の職業を選択したり、スポーツを制限するというのも一つの考え方です。実際にそう考えているひともいます。しかし、今日では、いかなる内反変形でも(程度によって治療方針が異なることがありますが)正しく矯正できる技術が発達し、患者さんはその恩恵を受ける権利があるわけです。

御質問にお答えいたします。

1、長男の変形・内股について
こういった場合、手術をするとすればどんな方法があるのでしょうか?
また、手術によって変形はどの程度まで改善見込みがあるのでしょうか?

年齢がまだ2才5ヶ月ですから、距骨下全周解離によって変形は矯正できると考えます。

2、次男について
手で正常位置には矯正できても手を離せば元通りといった状態の場合、マッサージして矯正位置でテーピングもしくは装具で固定という現在の治療を続けていても改善の見込みはないのか、手術を考えるべきなのか、またその時期はどれ位を目安にしたら
よいのか・・・。

治療の前にまず重症度を判定し、それから方針をきめるべきです。もし本当の内反足であれば、この年齢になるとテーピングでは難しいと思います。今の時点で矯正されていないとすると、現在の方法を続けても矯正される可能性は極めて少ないと思います。年齢的にこれから、ますます治療に反応しにくくなるからです。

この疾患は非専門医が扱って成功するほどあまくはありません。早急に専門施設を訪ねるべきと考えます。

御質問208

はじめまして、生後3週間目の子を持つ**と言います。
うちの子は、両足内反足で内転足・尖足もあると言われました。この時は、生後1ヶ月後からギブスを巻きますと言われ、当日はマッサージの先生のマッサージだけで、私も病名についてはじめて聞きましたので言われたままに当日は終わりました。診察(レントゲン、足首をちょこっと触っただけ)された先生は今まで2人見たことがある(治療実績は不明)だけ見たいでした。マッサージは2日に一度することなり、翌々日通院した際(私は行けませんでしたので親からの話から)別の先生が来て再度診察したようで、この時は足首、股関節またこのHPを見て機会があれば聞いておいて頼んでおいた脊髄等について見てもらえたそうです。ただし、手で触るだけの診察だったようです。この先生から1月15日にギブスを巻くと言われ私も来るように言われました。
私は**県に住んでいるのですが、そこでの1番大きな病院に行っています。しかし、医療的(内反足)に進みが遅い?土地柄ですので、この病院で良いかと不安があります。実際、治療する先生の話(実績等)を聞かないと何ともいえませんが、先生と話する際「これは聞いた方が良い」ことがあれば教えていただきたいのですが。
今現在、何をどうしてこうしてと言うか何を信じればいいのか?状態です。この病院の整形外科の先生は、日本整形外科学会に所属しているようですが、小児科整形外科学会に所属した先生はいないようです。**では、**と言う病院に小児整形外科学会に所属された先生がいるようですが、私の住まいから50km(1時間程度)離れたところにあります。現在**県は雪があり、車では揺れがすごく(伝わりますか?)生後間もない子供を通わせるのに抵抗があります。
文章を書くのが苦手なものですから、非常に読みにくいと思いますがお許しください。
以上、お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

御返事

お子さんが内反足ということでさぞびっくりされたことと思います。

この疾患は、たとえ治療開始が遅れても(1才を超えても)、その後正しく治療すれば歩行に不自由することはない、ということをまずしっかり心に留めておいて下さい。

我が国に小児整形外科の専門家がたくさんいるわけではなく、地域によっては充分な初期治療を受けられない場合はたくさんあります。だからといって、生後まもないお子さんを遠方の専門医につれていってそこで長期にわたる継続した治療を行うのは様々な困難があり現実的ではありません。
今は、現在の主治医の先生を信頼してその指示に従うということでよいと思います。お子さんが、4-5ヶ月になったらたとえ遠方で大変でも専門医を訪ねて下さい。そこで本格的な治療が始ります。おそらく主治医の先生もそのように考えておられると推測します。

一番重要なことは、専門医にかかるまで徒手矯正術(マッサージ?)は良いのですが、手術的操作は受けないようにする、ということです。非専門家による中途半端な手術は間違い無く再発の原因となり、しかも手術瘢痕のため、次ぎの本格的手術が極めて難しいものになります。本センターの統計では、内反足の手術歴が無い場合には執刀から縫合まで2時間程で終了しますが、非専門医によってすでに手術を受けている場合には、病変部の展開が困難で、約2倍の手術時間がかかっています。また足そのものも硬くなるのが普通です。

手術時期についてはあせることはありません。もちろん1歳までに終了するのが好ましいのですが、さまざまな事情で5才で手術を受けられた患者さんもおられます。もちろん術後良好で日常生活には困ることがありません。
繰り返しますが、様々な事情によって専門医による初期治療が受けられない場合には、あせることなく、4-5ヶ月以降に専門医を受診することとし、それまではメスを入れない、という原則を守ることが重要と考えています。

ということで、専門医を受診する日まで焦らず、辛抱強くがんばって下さい。

御質問201

先日**県から、お電話を、させて頂いた**です。突然の電話にも、ご親切にお答え頂き、ーーーーー。出来ることなら今すぐにでも滋賀県までいって先生の診察を受けたい思いでおります。
さてメールさせて頂いたのは、内反足で、産まれた孫の相談を、お願いしたいからです。孫は、3020グラムで、分娩障害もなく、元気に産まれました。初孫で、男の子で、家族で喜んだのもつかの間でした。産婦人科の先生から、左足の踝から、下の靴を履く部分が、内側に曲がっているので、退院後、整形外科にいくように、と言われました。家族にも親戚にも、誰も障害を持っていないので、みんなで、どうしたらいいか解らないで,おりました時インターネットで、先生のページを、見つけ九死に一生を得た、思いでお電話をさせて頂いたのです。
退院後、嫁も、産後身体をいとう間もなく、29日近くの総合病院の、整形外科を受診いたしました。結果は、手に負えないので、市内の**へ回されました。とても珍しい病気で、治療経験のある先生が、少ないことも解りました。それ故に、とても不安でおります。一度、内反足の専門の先生に看ていただきたいと、強く望んでおります。正しい治療、かつ早期の開始が、治癒の是非を、決定するとのこと、嫁の身体を考えると、とても今の時点で、滋賀県までは、行けません。
先生どうかお願いします。**で、現時点で専門の診断をして下さる先生をお教えいただけませんか。孫が、普通に歩く姿が、みたい。そう思っています。無理なお願いとは、承知しておりますが、どうぞ宜しくお願いいたします。

御返事

お孫さんが内反足ということでさぞびっくりされたことと存じ上げます。しかし、この疾患は稀なものでもなく、今日では正しく治療を行えば歩くことはもちろんのこと、将来問題となるような障害が残ることはないことがわかっています。まず、この点をしっかり理解しておいて下さい。

治療については、最終的には手術が必要となる場合が多くなります。もちろん様々な条件が良ければ、徒手矯正だけで完全な足にすることができる場合もあります。
今は、瀕回に矯正・ギブスをおこなって可能なかぎり正しい形にもってゆく時期です。そして4-6ヶ月ころ、変形が残存すれば専門病院で手術的矯正をおこないます。

ということで、今は、紹介を受けた施設で何回も根気良く矯正・ギブスをおこなうのが一番良いと考えます。この時期にわざわざ遠方の病院にゆくのはまだ小さい本人にとっても御家族にとっても大変なことで好ましくありません。遠方の専門病院を訪れるのは、生後4ヶ月の頃で良いでしょう。

ということでがんばって下さい。

御質問144

先天性内反足のホームページを探していて貴ページを見つけ、大変親切なお返事をいただけると知り、メールを送らせていただきます。よろしくお願いいたします。
7ヶ月の息子の先天性内反足の治療についてご質問します。生後2週目から ギブス治療を毎日し、生後1ヶ月半から現在までデニスブラウン装具をつけています。現在、**病院へ3ヶ月に1回通院しています。先日のレントゲンの結果、1歳前後で左足のアキレス腱の手術が必要ではないかとのことでした。足の裏全体を床に押しつけた状態でレントゲン撮影を行い、その際のかかとの角度が右足64度、左足80.5度といわれ70度以上は手術の対象にしている とのことでした。見た目では判断できないと言われてきましたが、生まれたときからは見違えるほど、普通の足のようになり、このまま装具をつけてがんばれば、手術しなくても良くなっていくのではないかと思えてしまいます。私自身、股関節の臼蓋形成不全の手術を受けたことがあり術後、痛みが残っていることもあり、できるだけ手術をしない方法は無い物かと 考えてしまいます。また、先生の内反足の説明では再発の心配があるとのことですが、主治医からは、一度の手術で再手術はほとんどないと言われました。その点についても不安です。実際に受診していないので、答えていただくのは難しいと思いますが、アキレス腱の手術について、やはり1歳前後で受けた方がいいのかまたは歩き出してから様子を見て、受けることも可能なのか教えていただきたいのと本当に再手術の確率は少ないのか、教えてください。

御返事

メールありがとうございました。
先天性内反足で生後2週目から治療を開始し、現在アキレス腱手術(アキレス腱を含めた後方解離術)を勧められている、と理解しました。

お子さんの場合は経過良好と考えます。内反足の治療では、手術無しで完璧に治癒せしめることが出来るのは15%以下といわれており、私達の成績も同様です。

手術の決定は、これまでの経過を含め様々な角度から判断されます。たとえば、レントゲン上での計測で正常の基準値以下であっても経過をみるなかで改善傾向にあるならば引き続きそのまま様子をみるでしょうし、逆であればたとえ正常範囲でも手術に踏み切るかもしれません。おそらく主治医はそうしたことを総合的に判断して手術を勧めているとおもわれます。

内反足は機能的(足の動きや移動能力などを総合したもの)にも外観的にも完璧に治すべきと考えます。多少の不自由なら問題ないではないか、という意見もあるのですが、さまざまな理由から私達は完璧な足を追求する立場をとっています。

独立歩行するまでには完璧な状態にしておくことが望ましいと考えます。7ヶ月ということですから、時期的にも良いと考えます。この手術は簡単で、危険もありません。

本センターで直接診察したわけではないので、責任のあるお答えは出来ませんが、手術を拒否する理由はないように思います。

再発はしばしば起こりうることを覚悟しておいて下さい。どうゆう場合に再発しやすいのか、さまざまな方向から研究されつつあるところです。やがて明らかになると思いますが、現時点で「再発の恐れ」はこの手術を拒否する理由になりません。もし再発した場合はその時点で最もふさわしい方法を選択して再度手術に挑戦すべきです。

ということでがんばって下さい。

御質問101

初めて質問します。私にはもうすぐで4ヶ月になる息子がいます。息子は先天性内反足の診断をされ生まれてからすぐに両足にギブスを巻いてました。最近矯正ブーツのようなプラスチック製の物を履くようになりましたがどうも足がきっちり合わず堅いプラスチックの中に足を押し込むこともできずストラップできつく巻いて固定してもすぐに蹴り脱いでしまいます。矯正ブーツを作ったのが1ヶ月前なので足も少しは成長してるので足が既に入りにくいと専門科に伝えてもきついのは当たり前、足を無理矢理押し込まないといけない、との答えです。息子はギブスも嫌がったけど巻いて次の日には慣れて泣きもしなかったのに矯正ブーツになってからすごく嫌がって泣くし自分から一生懸命蹴り脱ごうとします。ブーツがずれるので私と夫も1日に何度も履かせなおししないといけません。また専門科はインターンで経験不足で赤ちゃんを診るのは初めてみたいです。私自信息子の足の将来を考えると不安でしょうがありません。息子は大きな赤ちゃんで身長が65cm、体重が8.2キロありますがどうみても身体と比較すると足が小さすぎる。ひざ下も短く長さを計っても生まれた時からあまり変わってません。きっとギブスで固定されてたからあまり成長できてないのだと思います。こんな小さな足で大きな身体を支えて歩くことができるようになるのかとても心配です。私が最も不安とするのは住んでる場所がカナダだからです。**という小さな町で専門医はこのホームページで書かれてるような優しい矯正操作なしにいきなりギブスを巻きます。なのでいつも息子はぎゃーぎゃー泣きます。そしてちゃんと巻けてないのかギブスの中で足がよくずれてることがあり痛みで泣き、またはけり脱いでしまうか、ギブスを外すといつも足は傷やあざだらけです。今回専門医から息子の足は重度が軽いからもうギブスは必要ない、矯正ブーツで治療していくと言われ、そしてそのブーツを作る専門科を紹介されました。私と夫は喜びました。矯正ブーツなら取り外し可能だしお風呂にもちゃんと入れてあげれるし、いつでも息子の足の状態が見れる。でも実際は専門科は経験不足、ブーツはちゃんと足に合わない。そして専門医はあまり説明をいつもしてくれない。ただギブスを巻くだけ。ただ小さな町なため専門医や専門科を選べないのが悩みです。あと、日本のように細かな治療をしてくれない。ただただ受け身の姿勢で息子を任せるしかないのでとてもつらいです。私はいっそのこと息子を日本へ連れて帰って治療してもらおうかとも考えてます。日本ではギブスの後どのような治療が行われるのですか?矯正ブーツのようなものを履くんですか?ちなみに私はブーツと呼んでますが、英語ではbracesと言うだけです。専門医は息子の足は手術は必要ないと言ってます。X線はまだしたことがありません。日本での一般的な治療段階を教えて下さい。息子を診てないので答えにくいとは思いますが、どうかできる限りの回答をお願い致します。

御返事

メールありがとうございました。

先天性内反足、ということでさぞ御心配のことと存じ上げます。
さて、治療上でのいくつかの問題点があると考えます。

まず、正しい診断が必要です。視診触診も重要ですが、レントゲンによって診断の最終確認が必要です。なぜなら、内転足などまぎわらしい疾患との鑑別をしておかなくれはならないからです。
次ぎに、子供がいやがるような brace (装具と訳します)はあまり効果がありません。場合によっては逆効果となります。装具がうまくゆかない原因は正しく矯正がおこなわれていないからと考えられます。矯正がおこなわれていない足に、正しい形の装具を装着しようとしていることに問題があります。

内反足の治療はいろいろな方法がありますが、私達は徒手による矯正操作とギブス固定により、早い時期に尖足(アキレス腱の短縮)以外の変形は矯正しておき、3-4ヵ月で尖足が残存していれば外科的にアキレス腱を延長し、その後装具で矯正位を維持するようにしています。そちらでの治療の外見だけを見れば同様のことをしているように思われますが、その内容に問題があります。

いろいろな事情があって大変とは思いますが、なんとかして専門医師を訪ねるべきと考えます。

カナダの事情がわかりませんので、これくらいのことしか助言できないのは残念ですが、がんばってください。

御質問81

はじめまして。
我が家の11歳の息子の手術について質問させてください。

生後すぐに足の変形に気づき出産した病院で尋ねたところさまざまな障害が見つかりました。まずダウン症であることさらに心室および心房中隔欠損症であることなどです。心臓に関しては6ヶ月の時に根治手術を行い、両足先天性内反足に関しては生後1ヶ月から治療を受けることができました。
最初半年間くらい両足にギプスを巻き、毎週巻きなおすために通院しました。次に装具(ベルトが付いていて足を伸ばすと内反足が矯正されるというもの)を装着しましたが嫌がってぐずることが多く着けたり外したりとあまりきちんと着けなかったように思います。その頃はひどく泣くとチアノーゼを起こし、何度も肺炎で入院していました。
その後、膝下の装具に変わり幼稚園の頃は靴の中に敷く中敷になりました。足首は柔らかく医師が手で矯正するときちんと外を向くのでこのまま様子を見ましょうと言われていました。ただ筋肉のバランスが悪いということでした。

息子はとても活発でスポーツが大好き、野球やサッカー、バトミントン、何でも繰り返しやるのでじょうずです。走るのも結構速く養護学校の運動会では1等賞でした。ただ走っているとき確かに足は内側に向いています。

数ヶ月中敷を外していて久しぶりに診察を受けたとき戻ってきていると言われ、慌ててまた中敷を入れさせたのですが先日手術しますかということになりました。術後最低でも3週間は歩いてはいけないそうなので動くことが好きな息子が耐えられるかどうか心配です。言い聞かせると理解できると思うのですが頑固で言うことを聞かないこともあります。今までずっとお世話になってきた医師が退職され今年1年いっぱい週1回病院へ来られると聞き手術をする最後のチャンスかもしれないと思い申し込みました。
今回は右足ですがいずれ左もしないといけないと言われています。養護学校の先生には1度手術したら成長に伴い何度もということもあるのでよく考えた方がいいと言われました。
障害を持っていても普通の子と同じように治療を受けさせてあげたいと思いますし医師を信頼しています。先生は手術したほうが良いとお考えですか?また、術後の治療はどのようになるか具体的に教えていただけますか?

どうぞご意見をお聞かせください。よろしくお願いいたします。

御返事

メールありがとうございました。
ダウン症であることさらに心室および心房中隔欠損症の手術など、大変な試練を乗り越えてこられました。

さて、両先天性内反足について治療されてきましたが、11才での手術についてはいろいろ考えなくてはなりません。まず、もう引退される先生にお願いするのはどうか、という気もします。手術後が順調にゆけば良いのですがこの疾患は再発しやすいのが特徴ですから、再発したのときにはよその先生に依頼しなければなりません。そうであるならば、最初から今後責任をもっていただける先生にお願いすべきです。次に、どういう手術をするか、が問題です。内反足治療後の残存する変形を治療するのは構いませんが、この年齢で内反足の本質的な部分の手術であればすべきでありません。手術内容はしっかり納得するまで聞く必要があります。
さらに、ダウン症ですので、もう頚椎の検査はしていると思いますが、神経学的なチェックも必要です。内反足の原因が頚椎にある場合がありますので、そうした視点からの診察が必要です。

ということで、先方の手術内容を確認した上で、セカンドオピニオンを求めるべきと考えます。

御質問の続き

お忙しい中お返事ありがとうございました。
11年間も通院していて詳しい病状を理解していなかったことに気づき恥ずかしく思っております。内反足の重症度も聞いたことがありませんでした。生後すぐは両足首が内側に向いて固まっていたのかもしれませんが1ヶ月もたたないうちにギプスになったのでよく覚えていません。でも小さい頃に手術にならなかったのでたぶん軽いのだろうと思っていました。
手術内容もはっきりとはおっしゃらなかったし、私もとっさに何を聞かなければいけないのかわからなくて入院の申し込みだけしてきました。先生も私が理解しているものだと思われているのでしょう。子供の診察とは別に親だけに説明していただけるように予約を入れます。再発の確率もとても気になります。
頚椎の検査は3才頃にレントゲン写真を撮り異常なしと言われましたが・・・

手術内容などよく確認した上でまたご相談したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それに対する御返事

メールありがとうございました。
必ず手術内容、そのリスク、合併症などは詳しく聞いてきて下さい。これからは、医師から詳しい説明を聞いて患者さんが自分で治療方法を選択する時代です。
わからないことはいつでもメールしてください。お待ちしております。

御質問80

はじめまして。
先天性内反足の疾患を持つ双子の女児の父親(36歳)です。私自身も、内反足でした。(今は特に支障無く普通の生活をできております)。子供たちは、一人が比較的重度の両足内反足、もう一人が軽度の片足(右)内反足です。2人とも生後5ヶ月目頃に、アキレス腱伸長等の手術を行いましたが、完治せず、2歳になった今、2度目の手術(距骨全周解離術)をこの10月に行います。(特に重度の子の方は、もう一度手術が必要と言われておりました。)
今回質問させていただきたいのは、軽度の子についてです。 医師からは、手術した方が良いかは5分5分、という内容の説明を受けたのですが、重度の子の手術が決まっていたこともあり、この機会に二人とも直してしまった方が良い(幼稚園生くらいになって一人だけ手術を受けるのは可哀相)という判断で、二人とも手術を受けることを決めてしまいました。
この期に及んでなのですが、片足手術をする事によって、足の成長度の違いが出るのではと気になるようになってしまいました。腿、脛などの太さの違い、足の大きさの違い、ひいてはびっこを引くようになってしまうのでは?といったことです。内反足を治すという観点でみれば、2歳の今、手術を受けるという事は間違いで はないと思うのですが、娘の将来のことを考えると、手術無しで治る可能性が何割かあるのであれば、そちらに賭けるのが正しい親の判断ではないかという疑問が出てきてしまいました。
今の主治医にこのような事を相談すると、「じゃあ止めましょうか」といわれてしまいそうです。判断材料に乏しく、二人の子をできるだけ同じように育ててあげたいと思う親にとっては、難しい判断です。
手術直前になった今、偶然にも貴HPを見つけ、経験豊富で親切・丁寧なQ&Aをおこなっていることを知り、居ても立ってもいられなくなりメールした次第です。
質問させていただきたいのは、以下の点です。
・片足手術をした場合、思春期頃を過ぎても、見た目、びっこなどの影響が残る可能性はどの程度あるのでしょうか?
・上記のような影響を少なくするための処置、たとえば正常な足にもギプスを巻いておく、等はあるのでしょうか? (素人のバカな質問かも知れません)
・このような状況の場合、先生なら、どのようなご判断をされますでしょうか?(実際に診ないと難しいと思いますが、将来的に手術の可能性5割とすると)

御返事

メールありがとうございました。
お父さんとその双児のお子さんが二人とも先天性内反足という珍しいケースと思います。
今迷われているのは、軽度のお子さんの方の手術と伺いました。

お子さん達はすでに1回目の手術(アキレス腱延長)を受けているにもかかわらず現在変形が残っているとのことですから、専門的に言えば距骨と舟状骨、ならびいに距骨と踵骨との関係が正しく無いことを意味しています。
これまでの経験から、2才でこうした状態であれば、たとえ軽度でも完治するのは難しいと思います。これまで同様なケースで変形が完全に矯正され、見た目にも問題が無い、というケースは見たことがありません。

手術をすべきです。もちろん多少の変形なら気にしない、という考えであれば今回の手術を見合わせてもよいかもしれませんが。

御質問にお答えいたします。

1)片足手術をした場合、思春期頃を過ぎても、見た目、びっこなどの影響が残る
可能性はどの程度あるのでしょうか?

経験ある医師のもとで手術がなされれば、見た目の異常(片側性の場合は手術をしてもしなくても患側の下腿は細くなりますが支障は起らないと思います。また患側の足は小さくなりますが、手術をしない場合はもっと小さくなります)や跛行などの後遺症はありません。

2)上記のような影響を少なくするための処置、たとえば正常な足にもギプスを巻いておく、等はあるのでしょうか?

ありません。

3)このような状況の場合、先生なら、どのようなご判断をされますでしょうか?

手術を受けます。将来的に手術の可能性5割ということは、手術をしなければならないような変形(すなわち日常生活をおくる上で支障がある)を残すのは5割、ということです。言い換えれば、手術を無理にしなくてもよいような変形をも含めれば、変形を残す確率はもっと高い(おそらく全例)ということです。
実際に診ていないので断定的なことは申し上げられませんが、お話を伺った限りでは手術を受けることに迷うことはないと考えます。

御質問51

はじめまして。
1才6ヶ月の男児ですが、先日大学病院の整形外科にて内反足の診断を受けました。最近になって、歩行時に右足が内側に入り込む様子をみて気づきました。程度は軽症とのことで、矯正靴を装置するかどうかは半年間のマッサージの効果をみてとのことでした。このマッサージは母親が手で行うものです。医師の話では、放置しても見た目の問題だけで、全身状態へ影響することはないとの回答でした。今の所歩行時に転倒しやすいとかいうことはありませんが、やや歩き方がぎこちない(とびはねているような感じ)があります。 このまま様子を見ても良いのでしょうか?小児専門の整形外科に受診する必要はあるでしょうか?放置するとどんな障害が出てくるのでしょうか?

御返事
メールありがとうございました。

1才6ヶ月の時点で(先天性)内反足の診断を受ける、というのは極めて稀と考えます。内反足というのはホームページに載せましたように、生後ただちに見つかるのが普通で、治療していない場合には歩行開始時に著しい変形のため歩行障害がおこります。ほんとうに先天性内反足であれば、矯正靴、マッサージなどでは治癒しません。本格的な治療が必要です。

お子さんの場合には、内転足もしくは、脊髄或は神経系統の異常による二次的な内反足かもしれません。

診察を受けられた結果

先日は、いろいろとアドバイスありがとうございました。
1才6ヶ月の男児で内反足の診断でご相談申し上げた者です。本日、こども病院を受診し、***先生に診ていただきました。 結論としては、緊急性を要する所見は認められず、骨の異常もありませんでした。当面このまま様子を見ていいそうです。今後しばらくの間定期的に診断をしていただき、状態が悪くならなければ、特に検査治療の必要なしと言っていただきました。脊髄、神経系統への疾患も現状では考えられないと回答を頂きました。
専門的な診察をしていただき、親子共々一安心いたしました。アドバイスして下さった鈴木先生にも深く御礼を申し上げます。
鈴木先生のHPに出会え、不安を解消し育児に望めることは私ども親にとっては誠に有り難いことだと感謝しております。今後とも是非ご活躍いただき、手助けしていただければ幸いに存じます。
ありがとうございました。

御質問43

こんにちは。初めてメールします。

今、1才7ヶ月の私の子供は、先天性の内反足及び関節拘縮症と、生まれてすぐに診断されました。右足の曲がりはホームページの写真とほぼ同様でした。その上、左右の膝の曲がりは90度ほどの曲がりでしかありませんでした。当初の治療は、”ギブス”にての治療で、これが、約半年ほど、その間に”レントゲン”、”遺伝子関係”、”筋電図”等での検査を行い、今年1月末に外科手術を行いました。(足は、見た目は真っ直ぐになっています)今では、装具を付けての歩行が出来る様になりました。(うまくは歩けませんが) ”滋賀県立小児保健医療センター整形外科”のホームページを見ると、”内反足 は再発しやすい及び数回の手術が必要。云々”の記述があります。今後、子供についてどの様なことを考えて行けば(例えば、手術は今後も必要なので意識すること等)よいのか教えて頂ければと思います。 それと、関節拘縮症の方の治療は現在は行っていません。今後、どの様なことを行うべきなのでしょうか?

御返事

メールありがとうございました。

将来のことを含めてさぞかし御心配のことと存じ上げます。

(多発性)関節拘縮症にともなった内反足、ということですが、メールを読ませていただいた限りでは、それ程重症のものではないと思えます。一般的に(多発性)関節拘縮症に伴った足の変形は多彩(内反足、垂直距骨など)で、硬く、治療に抵抗することが多いのです。また、膝も動きがもっと悪く、股関節も脱臼しているのが普通です。思春期には脊柱側弯もしばしば発生します。上肢も挙上困難で独特の位置をとることが多いのです。

今年1月末に外科手術を行い、足は見た目は真っ直ぐになっているということで時期的にもよかったし、現在装具にて歩行可能ということで、手術の目的も達成されていると考えます。

この疾患では、通常知的障害はでません。変形した四肢、関節であっても本人はうまくそれを使いこなして日常生活をなんとかやってゆきます。関節の変形が進行することは少ないようです。変形のために日常生活が制限されるようなことがあれば、手術的治療も考慮されます。ただ、手術の注意は、たとえば膝を90度以上曲げようとして手術的に90度以上まげると、今度は逆に膝の伸びが悪くなってしまうことです。これは、筋肉の病的変化があるためです(この疾患の本質は筋肉の疾患と考える学者もおりますし、私もそう考えています)。したがって、手術計画は、通常よりも目的をはっきりさせ、それによって得るものと失うものを正しく認識した上で行う必要があります。

今後、四肢の変形、そして特に小学校高学年の頃には脊柱側弯について注意を払って下さい。

それでは引き続きがんばってください。

御質問31

はじめまして
5月で満1歳を迎えた娘のことで質問があります。 現在の発育状況は、つかまり立ちをし、左右に動ける程度ですが、立ち上がったときに、左足のくるぶしから下あたりが、内側に曲がっています。足の裏全体が地面につかず、外側3分の1程度が接地してしている状態です。 特に痛みとかの症状もない様で、触っても嫌がりません。こういった症例は、歩行を始める前のお子さんに、多いのでしょうか?初めての育児なので詳しい知識もなく不安です。
先日、開業されている小児科で1歳検診を受けた際には、特に心配する必要は ないとのことでした。(股関節も柔らかく、足首も寝ている状態では特に異常がありません。) ただ、万が一治療が必要な場合は早期に始めたほうがいいのでは?とも考えています。もし受診するなら小児科のある総合病院のほうがよろしいのでしょうか(一般の整形外科ではだめでしょうか)?
以上、よろしくご教授のほど、お願い致します。

御返事

メールありがとうございました。

「立ち上がったときに、左足のくるぶしから下あたりが、内側に曲がっており、足の裏全体が地面につかず、外側3分の1程度が接地してしている状態」が一時的なものでなく、常にそうであるならば問題です。

私達小児整形外科医ですと、まず内反足を考えますが、これはホームページに記載しましたように硬さである程度判断できます。次に、意外と多いのですが脊椎、脊髄の異常からくる内反足です。この場合はMRIが必要となるかもしれません。つぎに、神経疾患によっても内反がおこります。これに関しては小児神経専門医の診断が必要です。---というように検索を進めます。

「立ち上がったときに、左足のくるぶしから下あたりが、内側に曲がっており、足の裏全体が地面につかず、外側3分の1程度が接地してしている状態」が常に続くようで有ればすぐ小児整形外科専門医を受診してください。

御質問21

はじめまして。2歳2ヶ月の娘ですが、4ヶ月検診で先天性股関節脱臼を指摘され、生後5ヶ月からリーメンビューゲルを装着して、約4ヶ月間で完治しました。(脱臼は左足で、骨の屋根の部分の形成が悪いという診断でした。)その後は、心配なら歩けるようになってから一度診察に来なさいと主治医の先生に言われていたので、ほぼ歩けるようになった1歳6ヶ月のときに受診してレントゲンをとっていただいたところ、完全に治っている、骨の屋根の部分も出来ているとの事で、安心しておりました。ところが、1歳10ヶ月ごろから、足の指をきゅっと内側に曲げて力をいれて歩いているのに気づきました。(ちょうど外反母趾の反対のような感じで、特に右足がひどく曲がっています。)2歳検診の時にかかりつけの小児科の先生に相談したところ、「内反足気味だが特に心配することなし、経過をこれからもみていきましょう」と治療の必要はない、成長と共に良くなると言われました。でも、股関節脱臼のことがあったので、本日、通っていた整形外科を受診したところ、「内反足、矯正が必要」と主治医の先生に言われ、ショックを受けています。矯正用の靴を作り、寝ているときにだけ、履かせるように言われました。治療は半年ぐらいかかるようですが、もっと早く受診していたら、と悔やまれます。今日もレントゲンをとり、脱臼は完全に治っているが、股関節の骨の角度は130度が普通のところ、娘の場合は大きく140度ぐらいあるので、それが内反足の原因になっているのかもしれないが、と言われました。そこで、質問ですが、
1.娘の場合の、内反足が股関節の骨格が原因のものでしたら、矯正してよくなってもまた再発する可能性は高いのでしょうか?また、先天性内反足とはどのような違いがあるのでしょうか?
2.内反足がもし良くならない場合、歩行にどんな影響が出ますか?
3.股関節脱臼が治ったら、今度は内反足と診断され、これからそれ以外にまた他の病気が関連して出てくるのではないかと、とても心配です。どのようなことに注意していけばよいのかアドバイスがいただけたらと思います。
ちなみに娘は、妊娠後期ずっと逆子が治らず、骨盤位で予定日より3週間早く帝王切開で出産しました。そのことが足の病気と関係あるのではと思ってしまいます。

このホームページに出会って、自分の勉強不足を痛感しました。お忙しいところ、申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

御回答

実際に見てみないと断言できませんが、先天性内反足ではないと思います。先天性内反足とは、生後誰が見ても正常とは異なる、と判断できるほど所見がはっきりしているものです。現在1歳10ヶ月でしたら、もうとっくに気付かれているはずです。たとえば後ろから見て踵が内側にまがっているはずですし、足の前方部分は指だけでなく、足の甲のあたりから内側にねじれており、歩行時には足の外側しか地面についていないはずです。
内反足はよく混同されるのが、内転足です。また、重要なものは、症候性内反足です。これは他の全身疾患に伴って発症する内反足で、例えば脳性麻痺、二分脊椎、多発性関節拘縮症、さまざまな骨系統疾患とか、その他原因疾患はあげればきりがありません。内転足ではないのか、そして症候性の内反足ではないのか、この点を主治医の先生に確認してください。とにかく治療開始前に、まず正確な診断をつけることが先決です。

御質問にたいするお答え。

1. 娘の場合の、内反足が股関節の骨格が原因のものでしたら、矯正してよくなってもまた再発する可能性は高いのでしょうか?また、先天性内反足とはどのような違いがあるのでしょうか?

先天性内反足が股関節の骨格異常が原因で発生するとは考えられません。1才くらいで股関節の骨の角度(これは正確には、みかけの頚体角といいます)が140度はざらです。正常値は正確に記憶していませんが、1才で140度くらいでしょう。計測方法によっては実際にはもっと強くなることもあるかもしれません。
矯正後の再発の有無については病気によります。本当の内反足であれば再発しやすいものです。

2. 内反足がもし良くならない場合、歩行にどんな影響が出ますか?

ほんとうの内反足であれば、すでに歩行が大変不自由になっているはずです。

3. 股関節脱臼が治ったら、今度は内反足と診断され、これからそれ以外にまた他の病気が関連して出てくるのではないかと、とても心配です。どのようなことに注意していけばよいのかアドバイスがいただけたらと思います。ちなみに娘は、妊娠後期ずっと逆子が治らず、骨盤位で予定日より3週間早く帝王切開で出産しました。そのことが足の病気と関係あるのではと思ってしまいます。

妊娠後期ずっと逆子が治らず、骨盤位で予定日より3週間早く帝王切開で出産したことは直接足の変形とは関係ありません。特別な場合として、下肢が麻痺しているため足が変形し、同じに逆子が持続した、という例を経験したことがありますが、お子さんの場合は違うと思われます。御心配なことは小児整形外科専門医で御相談されるのが良いとかんがえます。その時は、前の病院で撮影したレントゲンを借りて下さい。被爆をできるだけ少なくしたいのです。

それでは元気を出してお子さんの為にがんばってください。

御質問13

はじめまして。このHPに出会えて本当によかったです。七ヶ月になる娘のことで相談します。
娘は両内反足で生後1週間目から四ヶ月間ギプス(包帯のようにぐるぐる巻く)で固定し、その後は装具による矯正をして現在に到っています。内反、内転はかなり矯正されているようですが、アキレス腱ののびが悪く、かなりの船底足です。いろんな意見を得ようと複数の病院を受診しましたがそれぞれの今後の治療法が異なり、迷っているところです。
詳しく話すと、
意見その1 <手術が必要>の場合
・アキレス腱延長手術を必要とする。理由としては軟骨部分の多い踵の骨が、悪い位置のままで形成されていくと、骨が変形してしまい、手術をしても良くならない。そのため早い月齢(生後八ヶ月まで)の手術が望ましい。

意見その2 <手術をしない>の場合
・まだアキレス腱がのびる可能性が十分あるので、マッサージとデニスブラウンによる矯正をして様子をみていく。・足の外科学会の最近の説では、小さいうちの手術はリスク(アキレス腱の延長のし過ぎなど)や後遺症が残る可能性が大きくなるので、2歳以降の手術が望ましい。

今この時点で手術が必要かどうか悩んでいます。レントゲンなど実際の状態を見ていただかないと治療法の判断は難しいとは思いますが、ご意見をお聞かせいただければと思い、メールいたしました。

御回答

メールありがとうございました。
この疾患に対する医師の治療法の違いの原因は、2つあると思います。

1)内反足の治療が医局の先輩から伝えられきた伝統、経験、そして経験を積むなかで独自にあみ出した工夫などに基づいおこなわれている職人的な技である為、医師ごとにやり方が異なる。
2)診断が不十分もしくは診断学の限界から、娘さんの足の現在の状態に対する評価が異なっているために治療方針が異なる。

まず、1)の説明です。
内反足の治療成績は、治療する側の技術に依存することが多いものです。したがって、経験豊富で、この疾患に興味があって、たえず工夫・研究しながら治療努力をされている先生(この疾患のプロフェショナル)を受診することが重要です。私の考えではプロになるには少なくとも50例以上の臨床経験は必要と思います(人によっては100例以上と言うかもしれません)。あるいは、自分で50例以上経験してなくても、プロの指導のもとで50例以上経験している場合とか、現在この疾患のプロの指導のもとに治療をしているのであればよいと思います。それほどまでにこの疾患の治療結果は経験がものを言うのです。経験を積んだプロフェショナルが行うことですので、やりかたはそれぞれに異なることが多いと思います。私もいろいろな先生に師事しましたが、同じような重症度の内反足の治療において、先生ごとにやり方がまったく異なることを知りました。御質問に対する一般的なお答えは、経験の豊富な医師の言うことを信じる、ということになります。

次ぎに2)の説明です。
内反足の治療方法確立されたいくつもの方法があります。内反足の重症度に応じて、それぞれの方法が適応されます。例えば軽症の内反足であれば(ここで言う軽症とは、変形の大きさとともに矯正のしやすさ、ということも意味しています)保存的治療(非手術的治療)で成功することも多いでしょう。しかし、保存的治療で前足部の矯正が成功しても、後足部(足関節、距骨・踵骨の関節)の矯正が不十分であればアキレス腱延長を含めた後方解離術が必要です。また重症なものでは最終的には侵襲の大きな、たとえば全距骨下全周解離術などが必要かもしれません。重要なことは、この疾患の治療前、治療中での正確な解剖学的診断と重症度の正しい診断であります。診断が正しくおこなわれれば、それに応じた治療法が選択され、解剖学的にも機能的にも満足する結果が得られると思います。
問題は、治療学はいくつもの確立した方法があるけれども、解剖学的診断と重症度評価方法がいまだに不十分で、決定的で確立したものでは無いということだと考えます。「こうした基準を満たしていれば、この方法を選択するべきである」、というような決定的なものがない。例えば、矯正位でレントゲン撮影をおこなって診断するのは私達の好んで用いる方法ですが、生後間も無い赤ちゃんでは骨がまだ出現していないため正確なレントゲン診断が出来にくいことがあります。また、年長児でたとえ骨が出現しても内反足の変形は3次元的でかつ複雑である為単純レントゲン撮影での診断が難しいことがあります(もっとも最近ではMRI, 3D-CTなど診断に利用されてきており、明るい展望はありますが)。このように、治療学(治療方法)は確立されてはいるのですが、治療法を選択する基準となる正確な解剖学的診断と重症度の正しい診断法がまだ確立していないところにも混乱の元があって、医師ごとに治療法が異なってくる原因があるように思います。やはり、このような難しい診断を的確におこなえる経験を積んだ医師の治療を受けるのが一番良い、という事になります。

以上より、7ヶ月の娘さんの内反足に対する治療方針が、医師によって異なる点が少しは理解していただけたかと思います。したがって、「意見その1 <手術が必要>の場合・アキレス腱延長手術を必要とする。理由としては軟骨部分の多い踵の骨が、悪い位置のままで形成されていくと、骨が変形してしまい、手術をしても良くならない。そのため早い月齢(生後八ヶ月まで)の手術が望ましい。」も一般論としては正しいのです。また、「意見その2 <手術をしない>の場合・マッサージとデニスブラウンによる矯正をして様子をみていく。足の外科学会の最近の説では、小さいうちの手術は後遺症が残る可能性が大きくなるので、2歳以降の手術が望ましい。」というのも一般論としては、それはそれで正しいのです。問題は、この疾患のプロフェショナルによって、それぞれの患者さんに正しい診断がなされて、それに基づいての治療方針であるかどうか、が問題なのです。
たとえば、意見その1は、「距骨と舟状骨との関係ならびに距骨と踵骨との関係が完全に矯正されている」、という前提がなければほんとうは正しくありません。この矯正が中途半端であると間違い無く再発しますので、アキレス腱延長を含めた後方解離は適応ないということになります。
意見2は、距骨と舟状骨との関係ならびに距骨と踵骨との矯正が不十分と判断されたなら手術をもうすこし時期を待つ(2才以降まで待つ必要は無いと思いますが、手術をより安全にと思えば2才頃おこなうという考え方もあります)というものですが、距骨と舟状骨との関係ならびに距骨と踵骨との関係が完全に矯正されている場合には、子供の移動ということを考えれば直ちに手術をして、本人が歩行しやすい足を形成すべきです。

したがって、現在重要なことは、娘さんの内反足の正しい診断です。現在の主治医が経験ある方であれば問題ありません。さもなければこの疾患の専門医を受診すべきです。

すこし話しが難しかったかも知れません。
お子さんの足が早く良くなることを願って回答を終えたいと思います。

御質問4

始めまして、生後1週間の子(女児)の事についてお伺いします。産後5日目に、医師から内反足と診断されましたが、退院時に何もアドバイスをされなかったのですが。左足が少し内側に向いていて、手で戻すと軽く戻ります、また赤ちゃんがノビ?をしたような時も場合により正常な位置に戻ります。一応、マッサージをしてあげて下さいとの事でしたが、それ意に器具を付ける事や手術の話はありませんでした、1ヶ月診断でレントゲンを取る予定らしいのですが、それまでの間に何か気をつけた方が良い事など有りますでしょうか?また、内反足自体、重度や軽度などあると思いますが、完治する病気なのでしょうか、また、どれくらいの年月を要するものなのでしょうか?

お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。

御返事

メールありがとうございました。

まず、足の変形ですが、内側に向いていても手で戻すと正しい足の形(見た感じで)状態であれば、これは内反足ではなく、内反位足であって病的なものではありません。数週間あるいは数カ月で自然に目立たなくなります。
真の内反足は、かたくて簡単には正しい足の形には戻せません。したがって、お話を聞くかぎりでは心配ないように思います。さて、内反足あるいは内反位足とよく間違えやすいのが、内転足です。これは足の中にある中足骨というのが内転しているものですが、内反足と間違われて治療を受けたり、見逃される場合があったりします。赤ちゃんの足の裏を正面からよく観察してください。踵から足指に向かって内側にカーブしていたら一応疑います。6割が自然治癒しますが、変形が残れば矯正・ギブス治療をおこないます。

いずれにせよ、信頼できる小児整形外科医師にかかっていれば心配ありません。

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