ペルテス病の原因

 男子に多く発生します。この疾患の子供は、一般的に活発で、高いところから飛び下りたりすることが好きです。発症した頃(1〜11歳、5〜6歳が最も多い)は同世代の子供より身長が低いことが多いのですが、必ずしも最終身長が低いとは限りません。最終身長が170cmを超えるお子さんもたくさんおられます。我が国における発生率は0.007%前後と推定されています。小児大腿骨頭への血行がなんらかの理由で途絶えることによって発症する疾患です。発生率は約0.01%といわれています。原因として外傷説、炎症説、凝固系異常説などがありますが、現在のところ確定的なものはありません。

外傷説は古くから唱えられています。元気で活発な男の子に発生することが多く、この子達は特に高いところから飛び下りるのが好きです。これらのことが外傷説のよりどころとなっているのかもしれません。現在では外傷説を支持する研究者は少ないのですが、最近の大腿骨頭への血流の途絶える場所に注目した最近の動物実験によると、血行の断絶は骨頭への荷重と関係していることがわかってきました。いわゆる外傷というのではなく、骨頭に慢性的に加わる力がこの疾患と関係しているのかもしれません。

炎症説は北欧を中心として有力であった時期があります。良く似た症状を呈する疾患に単純性股関節炎が在りますが、これが最初に発現することにより関節の内圧が高くなって骨頭への血流が途絶える、というものです。しかし、臨床研究ならびにさまざまな動物実験から現在ではこの説は否定的です。

凝固系の異常は現在有力な説の一つです。最近これに関するいくつかの論文が発表されていますが、まだ決定的ではありません。私達も凝固系の異常には関心を払っていました。何故かと言うと、この疾患の手術の時に気付いたのですが、他の疾患の手術の時と比べ出血量が少ないからです。あるいは出血してもすみやかに血餅ができて出血が早く止まる傾向があるのです。そこで、この疾患の子供達の出血時間を計って研究してきたのですが、残念ながら出血時間は有為差がありませんでした。しかし、もっと詳しい検査によってやがて明らかになってくると信じています。血行障害の原因として大人の喫煙による間接的影響を考える学者もいます。これは喫煙によって凝固系の異常が出てくる、ということが根拠になっていますが、この2〜3年間にこのことに関する臨床研究が進んでいます。大人の喫煙による影響はどうやら無関係ではなさそうです。

栄養素の欠如を唱える論文もあります。英国での研究ですが、この疾患の発生率が高い地域の飲み水を分析した結果、ある種の元素が不足していると結論付けたのです。これについてはこれまで肯定も否定もされていません。

その他にもたくさんの説がありますが、いずれも決定的ではありません。おそらくいくつかの原因因子があって、これらが組み合わさって発現するものと考えられます。

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