ボロだけど、音はいいんだよね!

新シリーズ

第二弾 1959 ヤマハU3A 完成しました

古いピアノに  ただひたすら  音が良くなる  作業だけを施し  販売するのです。
余計なことはせず、 無駄なコストを省き、いい音を安く! 普通のピアノ再生とは逆の考え。
もっと適切な(当たり障りのない)表現はないものかと考えてはみたのですが・・・、  
思いつかないのでこれで押し通すことにします。

    「ボロだけど、音はいいんだよね!」というコンセプト。 始めたいと思います。

外装はそのまんまです。 傷 直しません。 ペダル磨きません。  基本、まんまです。
弦を張り替え、ハンマーも交換するでしょう。 大変なので普通はしないけど、 でないと
「音はいいんだよね!」  とは言ってもらえないので。  見た目は良くないけれど・・・これでいいのだ。


1950年代YAMAHAピアノの集大成のような一台です。    このシリーズにはぴったりの素材です。
さすがに60年も使われてきたものなので、傷やひび割れなど色々ありますが、そんなことは気にしません。
今回もただひたすら 「いい音」 だけを求めて作業を進めてゆきます。
このピアノの素材の良さに敬意を表して、よりこだわった修理を施してゆこうと思います。


ここ剥がれてます。
Never mind!

底板が剥離しています。 
今のピアノのようなベニヤではなく、無垢材なので
剥ぎ目が剥離してるんですね。






昭和34年!オールウェイズ3丁目の世界ですね。
ちなみに私もまだ生まれてません。
昭和和34年

今回はフレームを上げました。
響板にダメージはなかったのですが・・・


駒釘を交換します。 U3Aに対する敬意その1です。

第一弾はこんな感じでした。

強力な接着剤で底板を固めます。 縦方向と横方向に力をかけて圧着しているところです。

フレームを載せ、新しいチューニングピンで弦を張ります。フレームを載せ

コストを抑え低価格を目指すこのシリーズですが、今回はレンナーです!ここはどうしても譲れませんでした。 
U3A に対する敬意その2です。
いつも使ってるやつがなかったので、ヴァイケルトスペシャルというフェルトを使ったハンマーをチョイスしてみました。

前回のヤマハとは違いハンマーに穴をあけ、シャンクを接着という作業をして
この状態に至ります。 接着には膠(にかわ)という古来の接着剤を使います。

ヒットポイントに注意しながらハンマーを取り付けてゆきます。

ハンマー取り付けが完了したら、調律、整調、整音の作業を進めてゆきます。 この時点では
バラバラの音とタッチをとりあえず、できるだけ短時間でバランスの良い状態にもってゆくのが大事です。

こだわるときりがないので上手にまとめなければなりません。こだわるときりがないので

鍵盤の重さを測定しています。 かっこいい分銅は高価くて買えないので
醤油さしの大きいやつに鉛を入れて計測用のウエイトとして使っています。 これでいいのだ。
鍵盤はシーソーなので、いい位置に適当な大きさの鉛を入れて、鍵盤の重さを揃えてゆきます。
整調で何ともならないところをこの小さな鉛が解決してくれるのです。

この脚柱の造りが凝ってます。 U3の(フルサイズUPの)重厚感
を演出しています。  好みは分かれると思いますが、私は好きです。

細部にわたって凝った作りになってます。 高級感あります。

ロゴの間隔が広いです。 ヤーマーハー

ダンパーについて


ダンパーとはハンマーの奥にある音を止める装置です。
弦に 「びちゃっ」 とくっついて弦の振動を止めます。

前回もですが、このシリーズではダンパーには手を加えていません。
もちろん現状で差支えはありません。
ただ音の止まりが甘いのは確かです。
それが程よい残響(リバーブ効果)を生むので、私は絶対こっちが好きですが…

それが許せないという方もみえると思うのであえて書きます。
それはフェルトの劣化といゆこともありますが、
構造的な原因が大きいです。


           完成しました。

  ¥381,000  附属品 古い木製インシュレーター

 何とか30万円台を…目指して作業をしてきました。 達成!
       小牧工房にて試弾できます。

低音部のダンパーです。
左はこのピアノ、右が70年代のU3です。
これだけ大きさが違う。
これが一番の原因です。
左が

ダンパーの数が少ないです。
70年代以降のU3は69鍵までダンパーがありますが、
このピアノは66鍵までしかありません。
特に67 68あたりがの音が止まってないと感じることがあります。
そして全体の残響にもなります。

試弾していただいて気になる場合は、解決いたします。

  低音部     ダンパーブロック交換、67mmダンパーヘッドに交換
  中高音部   ダンパーフェルト交換、67〜69ダンパー増設

  上記作業料  \50,000

堂々たるフルサイズアップライトピアノ。