「もし、あんたが、本当にまたいで渡れるっていうんだったら、オレは一生あんたの家来になってやるぜ」と、ジャーが言った。商人は「川を渡ることなんか、なんてことない、簡単なことさ」と思った。


  

二人はそれぞれ、立合人を探しに行った。

商人は、すぐ一人見つけてきた。


  

ジャーも一人探してきた。

二人は、あーだこーだと、自分の言い分を立合人に説明した。

「あんなこというけど、渡れるさぁ」「そんなことできっこないよなぁ、あーだこーだ」


  

商人は、馬と金の入った荷物を、岸においたまま、じゃぶじゃぶと川の水の中に入っていった。

「ははは、これで勝ちは決まったさ」


  

商人が、川に入って、ジャバジャバ渡って戻ってきたので、ジャーは言った。

「それは、川をまたいで渡ったんじゃないよ。そんなの、水の中を歩いただけじゃないか、それじゃあ、あんたの負けだよ。そうやって渡るんだったらオレにだって渡れるさ、ねぇ」ジャーは二人の立会人に言った。