しょせんあいこにはゴーレツしか書けないのであった。
目指すテーマは"笑顔で卒業"・・・なのにタイトルは"涙"(笑)。



















どんな過去さえも、キミと乗り越えてきた。
きっと2人なら         何も怖くない。


































豪が答えないのでJくんはボクに振ってきた。
「じゃぁ、烈くんはどうして泣かなかったの?」
「・・・・・悲しくなかったから」
正直にいうと、豪がふくれっ面になった。
「だって、今までと環境は違ってしまうけど・・・
 仲のいい友達は学校変わっても友達だし。
 走る場所は違ってもソニックの走りは変わらないし。
 ミニ四駆で知り合ったみんなとはミニ四駆が無くても繋がっていられるし、
 豪と兄弟だってことは変わらないしっ」
WGPみたいな大きな大会に出て、リーダーなんてやらされて
結構しんどかったけど、おかげで自信もてることも増えてきた。
「ボクにとって、大切なものは、なくならない・・から」
"卒業"って、それを無くすんじゃなくて、実にして次へ進むだけのことだと。
今ならわかるから。
・・・でも、こんなこと言うの言い訳がましいかな。
「でも・・・・・ゴメン。豪・・・・」
豪が淋しいと思う気持ちもわかる。
"卒業"はする方よりされる方がきっとツライ。
卒業する方は戻ってくることもできるけど、されるほうは自分がそこに行くまでは
追いつくことができないのだから。
それでも、ボクは同じ淋しさを共有できない。



「Jくーん、烈くん、豪くん!リョウくん達が来たからこっちに来てくれないかー」
研究室の方から博士の声がした。
Jくんが「はーい」と答えて部屋を出るように促す。
「烈くん、さっき豪くんが来る前にボクが言った意味、わかった?」
ボクが首を横に振るとJくんは笑って
「やっぱり、烈くんて優しいよね」
と言って研究室へと歩き出す。
JくんとJくんに「なんだよ、何の話だよー!」としつこくまとわりついていく豪の
後ろ姿を見ながら、ボクも2人についてゆく。
全部口に出してしまったら、昨日より、少しだけ気持ちが軽くなった気がした。




        ××× ××× ×××




研究所を出るともう日が暮れかかっていた。
冬の夕暮れは早い。
「兄貴はさ、いつも正しいんだよな」
隣を歩く豪がポツリと言った。
ボクは言葉の意味がわかりかねて、豪に「何が?」と聞いてみる。
「Jがさ、何で兄貴の卒業式でオレが泣いたのか。って聞いただろ?」
「あぁ」
「オレ、兄貴がいない学校なんて嫌なんだ」
「そう・・・」
「なのに、兄貴はオレがいなくても平気なのか、って。
 ホントはむちゃくちゃ悔しかった」
ボクは、豪に何て答えればいいんだろう。
"ボクも淋しい"と。
そう言えば、いいの?
「でも、違うんだな。
 兄貴・・・"オレがいるから"平気なんだろ?」
豪にしては控えめに、ボクの顔をのぞき込むようにして聞いてくる。
うん、そうだよ。
豪はいつもボクの一番近くにいるだろ。
だから、学校が変わるくらい、なんてことないと思わないか?
「お前は自意識過剰なんだよ!
 だーれも、そんなこと言ってないだろ?」
軽くボディをくらわして。
豪の大袈裟なリアクションがかえってきて。
いつもみたいな口喧嘩になると思ったのに。
「烈兄貴は、そう思ってたくせに、どうしてさっきあんな泣きそうな顔したんだよ」
「・・・きっと、悲しいことがあったんだろ。
 もう忘れたよ。」





豪はもちろん、ボクのために悲しんでくれたり
淋しいと思ってくれる、周囲の人たちの気持ちが痛くて。

「悲しい」と思えない自分が悲しくて。





「オレ、嬉しかったよ。
 兄貴がオレの気持ちわかろうとしてくれてることも、
 オレと離れるなんて、少しも思ってなかったってことも」
・・・・・豪?
「きっと、みんなもそう思ってるよ。
 だから、もう悩むなよ。」
でも。
「みんな、兄貴のことが大好きなんだ」
「     豪っ・・・・」




ボクは、卒業してから初めて    泣いた。




やっと、涙が止まって、少し落ち着いてきた。
豪の前であんなに大泣きしちゃうなんて・・・あー、はずかしい。
「あーぁ。でも、やっぱ悔しいよなーっ」
豪が頭の上で腕を組みながら突然声をだした。
「何が?」
「だってよー、昨日、兄貴の気持ちわかんなくて、オレすっげー悩んだのに
 Jのヤツ、ちょっと兄貴と話しただけですぐに兄貴が何考えてるのか、わかっちまうんだぜ?
 あー、も、すっげ悔し〜っっっ!!!」
なんだ、帰り際にJくんと何か話てると思ったら・・・そういうことか。
「やっぱ、Jくんの方が"大人"だしー、豪の単純な頭じゃ
 ボクの複雑な気持ちがわかるわけないんだよなー」
「なんだよ!それでもっ、オレの方がずっとずっとずっと兄貴のこと、考えてるんだぜ!」
「そーかぁ?」
「そーだよっっ!!」




"大人"じゃなくても。
僕の気持ちなんてわからなくても。




「そういえば、お前、通信簿どうだったんだ?
 朝、お前が出かけてから母さん『また成績が下がってたら豪のこづかいはカット』って言ってたぞ」
「げっ!マジ?
 兄貴いなかったからそのまま家出て来ちゃったんだよな・・・」
「今頃は母さんに発見されてるな」
「ど、ど〜しよ〜!
 な〜、烈兄貴っ!なんか、いい言い訳ないかなー」
「そんなもんあるわけないだろ」
「なんだよ、そんな冷たいこと言うなよぉ〜」
「自業自得だろ」

 


それでも、いつもボクを救ってくれるのはお前だけだなんて。
そんなのちょっと悔しいから。
だから、豪には教えてやんないっ。





おわり
あいかわらず、謎な終わり方・・・。 むぅ。 烈の心理が複雑すぎてあいこにもよくわかりません(爆)。 文才よ、天から振ってこーいっ!(無理) ★Tear(前編)へSTORYのTOPへ戻るHOMEへ戻る