念願の小学生もの!(ギリギリ)
でも、これは・・・J烈・・・???(ご安心下さい。ゴーレツです・笑)
・・・・・・優しくないボクを、ボクは悲しいと思った。
「Tear」
「おはよーございまーす」
ボクは今日、一人で土屋研究所に来ていた。
「あれ?烈くん・・おはよう。早いね。豪くんは?」
奥から土屋博士が顔を出す。
「豪は今日終業式なんです。そろそろ来るとは思いますけど。
ボクは昨日、卒業式だったから・・・」
「あぁ、そうだったね・・・・。
そうだ。右奥の部屋にJくんがいるからそちらに行っててもらえるかな?」
博士の、少し淋しそうな顔に気づかないフリをして、
ボクは笑顔を作った。
「Jくん、おはよう」
背中に向かって声をかけると、Jくんはキーボードから手を離してこちらに振り返る。
「烈くん?
おはよう。今日は・・・1人?」
・・・・・・。
Jくんといい、博士といい・・・僕たちって2人セットだとでも思われてるんだろうか?
さっき、博士にしたのと同じ説明を繰り返すと、
Jくんもやっぱり少し淋しそうな顔をした。
「・・・・・・やっぱり、ボクって優しくないのかな」
「え?」
あ。
しまった、口に出しちゃった。
なんでもないよ。って笑って見せても、Jくんの怪訝そうな顔は消せなくて
結局ボクは自分の気持ちを白状することになった。
「昨日、卒業式だったって言ったでしょ?」
Jくんはボクの方を見ながらうなずいた。
「これで小学校に通うのも最後なんだな。とか、
この教室でこのメンバーが揃うのも最後だ。とか・・・
いろいろ思って・・・・寂しさが無い訳じゃないんだけど」
Jくんにはこんな話、つまんないよな。ってちょっぴり思ったけど、
優しい目に促されて、ボクは話を続けた。
「クラスの女の子とかすごい泣きじゃくってて。
でも、ボクはそこまで感傷的にはなれなくて・・・・・なのに・・・」
「・・・なのに?」
「なのに、豪は・・・泣くんだ。自分が卒業する訳でもないのに」
豪と違う学校に行くのは、やっぱり少し淋しい気はするけど・・・
別に、泣くことはないんじゃないかと思ってしまう。
嫌でも毎日顔を合わせるんだし。
だいたい、今までだって学校にいる間に顔を合わせることなんて
ほとんどなかったんだから、大差無いんじゃないかと思うのだ。
「それで、当人じゃない豪くんさえ泣いてるのに泣けない自分は優しくない、と。
そういうこと・・・・?」
うっ。
人にそう言われるとなんだかすごく女々しい悩みなような気がする・・・。
でも、まぁそういうことだったので、ボクは無言でうなずいた。
「・・・烈くんは、泣きたいの?」
そういう問題じゃないんだけど・・・・・。
「じゃぁ、豪くんは烈くんに泣いて欲しいと思ってるの?」
泣いて欲しいとは思ってないだろうけど・・・
同じ気持ちでいて欲しいと、あのわがままな弟は目でそう言っている。
「豪・・だけじゃないんだ。
僕たち、もうすぐ公式レースには出られなくなるでしょ?
なのにやっぱり周りのみんなの方が淋しそうな顔をする・・・・」
あと二週間もすれば、ボクは中学生になって
公式戦には出れなくなる。
頭ではわかってるけど、本当は自分自身実感なんてなくて。
あまり淋しいとか悲しいとか、わからない。
「それは、烈くんが優しくないから、とか・・・そういうことじゃないと思う」
Jくん・・・・?
「だって、烈くん・・・今すごく悲しそうな顔してるよ。
優しくない人は、そんな顔、できないよ」
「でも・・・・・・」
「烈くんは、優しすぎるんだと思うな。
だから、みんなの痛みを自分の痛みにしないと気が済まない」
「それ、どういう・・・・」
意味なの、と聞こうとしたところで派手な音がして部屋のドアが開いた。
「烈兄貴っ!少しくらい待っててくれりゃいいのに、なんで先に家出たんだよっ!」
でかい声でわめき散らしながら豪が入ってきた。
Jくんに挨拶もしないでボクの方ににじり寄ってくる豪に頭が痛くなってくる。
注意しようと口を開いたら、豪のほうが先に声をあげた。
「あーっ!兄貴、泣いてる?!なんだよ、どーしたんだよっ!
J!てめー、兄貴に何かしたんじゃないだろうな!」
「うわぁ、待て待てっ!!」
今にもJくんに飛びかかりそうな豪を押さえ込む。
「泣いてないだろ。よく見ろよ」
豪の前に回り込む。
「・・・・涙は出てないけど、やっぱり兄貴、泣いてる・・・ような気がする」
「なんだよ、それ」
さっきJくんに悲しそうな顔をしていると言われたばっかりだし
そんなに情けない顔をしているんだろうか?
ちょっとあっけにとられていたJくんが僕らの方を見てクスッと笑った。
そりゃぁ、さっきまでの空気がコイツが入ってきただけで
全く違うものになってしまったんだから、気持ちはわからなくない。
「ねぇ、豪くん。
豪くんは、どうして烈くんの卒業式で泣いたの?」
「へ?」
豪は間抜けな声をJくんに向けてから恨めしそうな目つきでこちらに振り返った。
(兄貴、喋ったな!)
うっ、ヤバイ。
「ね、豪くん、どうして?」
豪が答えないのでJくんはボクに振ってきた。
「じゃぁ、烈くんはどうして泣かなかったの?」
豪の顔がこちらを向くのが目の端に映った。
・・・続いちゃう。
ここに来てやっと自分の書く烈は、人様のトコの烈とちょっと違うことに気づきました。
「烈はこんな考え方はしない!」という貴方のご意見はすべて却下させていただきます。・・・ぉぃぉぃ
卒業式といえば、あいこは1度も泣いたことないですね。
小学校の卒業式の日は式が終わってから速攻で男の子達と野球とかしてました(笑)。
きっと、今の子達も式の後ミニ四駆したりするんじゃないかと
勝手に思ってみたりしてます。
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