イギリス滞在記 第1章〜渡航編

11. ようこそロンドンへ



入国審査が無事済んで安心したのと同時にやっとイギリスに来た実感が湧いてきました。箱崎で預けたスーツケースは角が少し裂けていましたが無事受け取る事ができ、到着ゲートを抜けます。打ち合わせではここでJ社の社員が出迎えてくれているはずです。到着ゲートの外には出迎えに来ている人が何人もいて、おのおの出迎え相手の名前を書いた紙を掲げ、ゲートから出てくる人たちに視線をむけていました。日本人(らしき人)も何人かいましたが、その中に僕の名前をが書かれた紙を持った日本人を見つけました、その人がこれから半年お世話になるE塚さんです。
E塚さんの年齢は僕と同じくらい、メガネをかけたおっとりとした感じの人ですぐになじむ事が出来ました。僕たちはお互いに自己紹介をして・・・

「はるばるイギリスまでお疲れ様でした、でも無事入国できてよかったですね、実のところかなり心配していたんですよ。」
「いや〜入国審査はドキドキでしたよ、しかもはじめての海外でしょ、でも意外と簡単に通してくれて、なんか心配した分損した感じですよ。ところでE塚さんはイギリスにどのくらいいるんですか?」
「ぼくはちょうど1年くらいです、でも僕もここが初めての海外なんですよハハハ、最近やっと慣れてきたところところかな、そろそろ日本に一時帰国したいんですけど今は仕事が忙しいし、最近日本の様子はどうですか?」
「そうですねぇ、来年から消費税の導入が決まって、ああそれから天皇陛下の容態がおもわしくなくってNHKなんか毎晩番組終了後も天皇陛下の容態を字幕で放送してますよ、日本のニュースはどうやって聞いてるんですか?」
「日本の新聞ならわりといろんなところで売ってますよ、ロンドンもけっこう日本人が多いですからね、もっとも新聞は1日遅れですけどね。」 (注:まだインターネットのない時代です)

そんな会話を交わしながら僕たち2人は空港の駐車場へ向かって歩きます。E塚さんは車で出迎えに来てくれていました、車は真っ赤なBMW。

初日のロンドンはあいにくの雨模様、車は雨のハイウェイをロンドン市内目指して走ります、E塚さんは車を運転しながら、ここがなになに、あれがなになに・・・といろいろ地名とか建物とかの説明をしてくれるのですが、初めての異国の街は方向感覚も位置関係もわからず、だたうなずいて聞いているだけでした。

車はやがて会社が手配してくれていた「アボカハウスホテル」に到着、そのホテルはロンドン中心部からさほど遠くない、周囲は閑静な住宅街といった場所にありました。ホテルのチェックインは社用で宿泊するためもあり、E塚さんがやってくれました。そして案内されたホテルの部屋でしばらくE塚さんとおしゃべりをしていましたが、やっと落ち着いたせいか次第に睡魔が襲ってきました、E塚さんもそれを察してか・・・
「長旅でつかれたんでしょ?すこし寝たほうがいいですよ。夕方また来ますからいっしょに晩飯でも食いに行きましょう。それじゃあおやすみなさい。」
と帰って行きました。
INDEX  << 11 >>