イギリス滞在記 第2章〜生活編
12. 東京物語 〜 テレビをGet!


僕のフラットには洗濯機も掃除機も冷蔵庫もあるのになぜかテレビがありません、で、この先半年もテレビ無しで暮らすのもあまりにも寂しいので、何とか手に入れようと思ってE塚さんに相談してみると・・・
「じゃあ、セカンドハンズの店、ああセカンドハンズって中古のことだけど、お店知ってるから今度の休みに一緒に探しに行きましょうか。」ということになりました。そして週末・・・

僕とE塚さんはゴーダスグリーンという町の中古品店を訪ねました。
その店の表のショーウインドウには比較的新品に近いさまざまな電気製品が並んでいて値段もそこそこですが、店の中に入ると結構古いタイプの製品も並んでいます、でテレビのコーナーで、なるべく安いもので、まあ半年映ればいいという感じの、14インチ室内アンテナの付き、チャンネルはダイヤル式のテレビを選び、60ポンドで買いました。
E塚さんには買い物に付き合ってくれたお礼代わりにピザハットで昼飯をおごることにしました。

ゴーダスグリーンの町はロンドンでも比較的郊外にあたり、高い建物は少なく一戸建ての住宅が多く見受けられます、E塚さんいわくゴーダスグリーンは別名JJタウンというのだそうで、1つめのJはユダヤ人(Jew)のJ、もう一つのJは日本人(Japanese)のJ、つまりユダヤ人と日本人が多く住んでいる街と云う意味だそうですが、たしかにこのあたりを通る地下鉄に乗っていると、1車両に必ず1人か2人くらいは日本人(らしき人)を見かけます。

食事を終え、E塚さんのBMWに積まれてテレビが僕の部屋にやってきました。
アンテナをつなぎ、コンセントを差込み、スイッチを入れるとテレビから流れる音声は当然のことながら英語、英語、英語・・・
イギリス人との生の会話なら、こちらが日本人という状況を相手も認識して、それなりにわかり易く話してくれるのでしょうが、その点やっぱりテレビはテレビ、スイッチを入れると聞こえてくるのは英語というより何かの呪文としか聞き取れません、つまりどこからどこまでが一つの単語を成しているのかがぜんぜん分からないのです。
「あー、早く英語が聞き取れる耳になりたい」と心底思いました。

でも1週間、2週間と経つうちに耳が慣れてきたせいか、次第に単語が分かれて聞こえてくるようになりました。
でもやはり決定的に足りないのは単語のボキャブラリー!

ある日、テレビをつけると小津安二郎の映画「東京物語」を放映していました、吹き替え無しの日本語に英語の字幕が画面の下に出ています。
試しに英語の字幕を追ってみるものの、その量とスピードにすぐ断念・・・
でも日頃英語ばかりでフル回転だった僕の左脳言語野も、このときばかりはリラックスして「東京物語」を鑑賞しました。


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