| イギリス滞在記 第2章〜生活編 | ||
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| 9. 真夜中の国際電話と間違い電話 | ||
フラットに引っ越して約1週間、電話が開通しました、さっそく料金を気にしながらも日本に電話をかけました。 日本とイギリスの時差は9時間、日本の会社にかける場合イギリスで午前0時を過ぎないと日本では9時の出勤時間にならないわけです、とりあえず午前0時を過ぎるのを待って会社にかけてみると、電話に出たY部長は相変わらず元気そうで「どう、そっちは」と聞きますが、話せば話題は山ほどあるので仕事の状況とフラットに引っ越した事、電話がついたことなどを手短かに話しました。すると部長は「何か必要なものはないかね、もしあれば送るよ。」というので、こっちではタバコが高い話をし、セブンスターを送ってくださいと頼んで電話を切りました。 連絡もしたし、そろそろ寝ようかと思っていたところに、電話のベルがけたたましく鳴りました。この電話にかかってくるのはこれが初めてで、ベルの音がものすごく大きいのにちょっとびっくり。 僕はてっきり部長が何か言い忘れて電話してきたのだと思い、なにも疑わず受話器を取ると、なんと相手は部長ではなく外国人(いやここでは僕のほうが外国人か)、受話器の向こうの相手は英語でしきりに何かいっています・・・「Hello!mini-cab please!」 こっちは意味もわからず、またどう答えていいかも分からず「もしもし、もしもし」と応えるしかありません、すると相手はビックリした様子で「Oh No!」といって電話を切ってしまいました。こんな間違い電話が、電話が付いたその日から毎晩必ず1,2回はかかってくるのです。しかも決まって午前0時を過ぎたころからなので、さすがにこれには参りました。 間違い電話がかかってくるのも困りものですが、だいいち夜中に突然鳴るベルの音はかなり心臓によくないこと、それに掛けてくる相手は性別はさまざまですが、決まって酔っ払っている様子で、お互い何を言っているか理解できないこともあり、かなりイライラします、でも2〜3日してようやく状況が掴めてきました。 かかってくる電話で共通しているのは「mini-cab please!」つまり白タクを呼んでいるんです、ということはパブあたりでつい飲みすぎて終電に乗り遅れた人たちがこの時間帯にミニキャブに電話してくるのだとすると辻つまが合います。それにしてもなぜ僕の電話にかかってくるのかについては分かりません、たぶん以前この番号がミニキャブ屋で実際使われていたか、あるいは、一桁違いの間違えやすい番号だったかのどちらかでしょう。 そうなると次に考えなければいけないのは相手に間違い電話である事を分からせる事です、そこでまず最初にとった方法は「Hello!」と電話にでて相手にまずしゃべらせたあと、こちらから「I'm aflaid you have wrong number」と丁寧に教えてあげることでした。実際試してみると約半数の相手は「I’m sorry」と電話を切ります、でも残りの半分は謝りもせずに電話を切ったり、あるいは僕の発音が悪くて通じないのか、さらに何かしゃべりつづける人もいる始末。 僕もさすがにそれ以上説明するのは面倒くさく、そのうち決定的な撃退方法を見つけました、それはこちらが電話に出て、相手がしゃべるよりも先にこちらから日本語で「もしもし、本多です」としゃべる事です、これはかなり効果的でほとんどの相手は驚いて一言もしゃべらずに電話を切ります。 この間違い電話はその後も3カ月ほど続き、僕は金曜の夜は電話線を抜いて寝るようにしました、そしてそのうち掛かって来なくなりました。 |
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