「初個展を終えて」                   福谷文男



「何故絵を描かなくてはいけないのか?」と
答えを出すために描き続けていたら25年が経ってしまった。
ずっと一人で描いてきた・・・


今回、初めて皆様に作品を見ていただく。
個展という特別な空間。戸惑いの中、お客様をお迎えした。

お客様が、自分の絵の前でたたずみ、覗き込んでいる。
絵肌の一つ一つが心の襞の積み重ねであり、もろく柔らか。
作品は自分の体でありながら被写体である。
私はヌードモデルの心境だった。


期間を通して100人程の方々にご来場いただきました。
皆様には、温かいはげましの言葉をたくさんいただき感激しています。
アトリエから銀座へ旅したことで、世界が広がった気がします。

今回、個展を開催するにあたって、
私自身が初めてで、
何をどう見せるかについて、まったく見当もつかなかった。
知人でプロデューサーをしているSさんに
DM、パンフレット、会場レイアウトなど色々手ほどきを受けた。

今考えると、デザインは言葉であり文章なのだから、
見せる技術とセンスが無ければ伝わらない事を学んだ。
企画から運営まで全面的に協力してバックアップしていただいた。
プロデューサーのSさんには感謝感謝です。


会期初日には青木画廊の青木外司氏から、色々励ましの言葉を
頂きました。実は私も以前から青木画廊には何度も伺っていました。
日本の画廊の中では一番好きな画廊であり、
自分が絵を飾れる唯一の場所だと思い続けていた。
青木外司氏は既に高齢でいらっしゃったけど、
じっと私の作品を見て

「うん、なかなか良いね。このまま描き続けてほしいね」

と嬉しい言葉をいただいた。

お世辞を言われた気はしなかった。むしろ心構えを問われた気がした。
幻想的な世界が好きでここまで来たけど、
追っても追っても到達できない世界へ改めて踏み込んだ思いだった。


小さい頃から回想することが好きだった。
もう少し幻想の海辺に浸って、絵を描き続けていきたいと思います。
⇒個展の案内へ
古い階段を3階へゆっくり登っていくと、私の絵を飾った部屋に
たどり着く

幻想の世界へようこそ
                           
青木画廊は銀座の大通りから1本入った場所にあるため
都会の喧騒からは少し隔絶されている
福谷文男展
◆2007.5.21〜26
◆青木画廊3F LUFT