「二つの橋」     混合技法  45×45p 2001 
      島のようなこの町の両端にかかる二つの橋 

      西の橋に続く街は老婆の街 橋を渡った所に八百屋があり 老婆が柿を売る

      その隣の坂を下ると現れる老婆の群れ 決まって杖を持ち 杖を振る

      私は小走りに通りすぎる 

      東の橋に続く街は幼児の街 小さな公園があり 夜がふけるまでボール遊びをする

      あきると橋の下に生息する蟹を取りにいく 葦が群生する所 白い泥が堆積する

      時折、幼児の一人が足を滑らせ 川に流される

      大雨の後、川が増水し橋の喫水まで水がくる  私はかならず二つの橋を見にいく

      喫水の喜び 流れる水のどよめき