龍福寺の過去帳と私
                 さとう よしひこ

 平成12年、兄弟で相談の結果「父の墓を建てるのを機会に、我が家のこれまでの先祖を調べ、これを記録に残したい、調べてくれないか」と託されました。
 丁度そのとき、私は「定年」になったばかりで、45年という人生の大半を費やした仕事から解放され、「夢職」を得たばかりのときでした。
 ご先祖の墓石は江戸時代から並んで残っている。寺には過去帳も揃っていると言われる。
故郷の旦那寺は加治田の龍福寺です。遠く離れたところに住んでいる私は、寺に行くのは年に二、三度盆や法要の時に行くだけだったことから、「寺にある過去帳」がいかなる様式のものかをそれまで見たことがなく知らなかった。
 
寺に行けば過去帳があって、それを墓石と照合すれば、おおよその調査はできるだろうと思い、これを引き受けたのです。
現住職の後藤大安和尚とは、過去に何度もお逢いしたことがあって、本家を守る弟ともどもお願いに上がり、「過去帳」を見せていただきました。
 それは、20冊以上にもなる大量のもので、一見したとき、まずは古いなあー・・と云う感じを受け、それは「古文書」の域でした。
 何百年も前のことを調べようというのだから当然といえば当然のことと納得し、まずは一冊目の何ページかを繰ってみました。これも当然、総てが毛筆書きで、長い間に数多い人たちの手を経て来た故か、用紙の角付近は汚れがひどくて、手垢で読めなくなっています。
 結局、以後何日にもわたって、龍福寺通いを続け調査をすることになりました。

解体修理が進み、庫裏・楼門・総門・鐘楼・本堂・位牌堂など平成の大修理が完成しました。

故第22世後藤大安和尚

本堂は、間口8間・奥行き6間、総桧皮葺きの荘重な寺院建築で約280年前の建物