お誕生日には・・・

〜その1〜

寒い寒い冬の朝。空はどんよりと重い曇りだった。
今日の天気は私の気持ちとそっくり・・・。
そんなことを思いながら私は学校に向かいながら歩いていた。

「あかね!お誕生日おめでとう!!」

校門の手前でそう声をかけられた。
そう、今日は私の誕生日・・誕生日なんだけど・・・。

「ちょ・・ちょっとぉ・・どうしちゃったのよ。あかねらしくない。」
「だって・・・」

もちろん声をかけてくれた友人にはなんの罪も無いんだけど・・
私はついついぷーっとふくれてしまう。

「なぁに?彼と喧嘩でもしたの?」
「・・しないよ・・永泉さん、優しいもん。」
「じゃぁなんだっていうの?」
「・・うん・・ここのところ・・ぜんぜん話ししてないんだよね。
いつ電話しても留守電でさ。」

永泉さんったらここのところ何時電話しても留守電なんだよね・・。
怨霊を倒して・・思いが通じ合って・・
それで永泉さんがこっちの世界に来て・・。
今までこんなことって一度も無かったのになぁ・・。
何がそんなに忙しいんだろう・・・。

「めずらしいね。あかねの彼って、
忙しいからって連絡もしないような
人じゃないよね?」
「・・うん。こんなのは初めてだなぁ。
何がそんなに忙しいんだろう・・。
それに・・今日は・・・。」
「忘れてないと思うよ。きっとさ、バイト忙しいんだよ。
だって彼のバイトって花屋でしょ?
この時期、花屋は忙しいって言うし。」
「私も信じてないわけじゃぁ無いんだけど・・。」
「帰りにもう一度電話してみたら?」
「う〜〜〜ん」
「大丈夫だって!!ね!!」

そうイって私の背中をポンポンっとたたいて、友人は校舎の中に入っていった。

『そうだよね・・とりあえず放課後、もう一度電話してみよう』

そう思いなおして私も友人の跡を追って校舎に入って行った。


続きます・・・。ちょっと長めですが、お付き合いくださいませ。