ラムセス四世の経歴
第20王朝の王。メディネトハブに葬祭殿を作ったラムセス三世の息子。父王の治世を記録した41mにも及ぶ「大ハリス・パピルス」を残した。このパピルスは父王の副葬品として墓に収める為に作られたものだが、なぜかデル・エル・メディナの職人の墓で発見され、古物商に売りに出ていた。
建築用の石を手に入れる為、シナイ半島へ遠征を行う。父王が長命だった為、即位時すでに歳を取っており、治世はわずか6年。
 墓の発見
古代から開かれていた。
 
 墓の内容
全長66m。入口から玄室まで一直線につながる、この時代の墓の特色が見られる。
 
入口を入ってすぐのAとBの部分に古代の訪問者の落書きが残る。Bの方にはコプト今日の十字架が細かく絵がかれており、落書きではあるものの、歴史を感じさせる。
入口部分を過ぎると日輪を載せたスカラベやラーホルクアティの前に立つラムセス四世の図、杖を持った男の絵などが続く。
ビッシリと描かれた
ヒエログリフ
Cのホールには死者の書の壁画が見られる。
ところどころに上部までビッシリと書かれたヒエログリフ。ヒエログリフは壁画に比べて保存状態がよく、とても美しかった。
 
古代は家畜置き場になったり、人が住んでいた痕跡があるらしく、そのためか通路の途中の壁画は破損が激しい。
 
玄室に入るとかなり色彩が残されており、とくに天井一面に描かれた昼の書と夜の書は青い色彩が残り美しい。ラムセス6世の「昼の書と夜の書」より損傷が激しいが、なかなかのもの。
 
玄室の壁画(D)は門の書などの宗教文章の挿絵が描かれている。こちらは色彩は残るものの特に目の部分が削られているものが多く、残念だった。
 
玄室の中央には立派な石棺が残っている(E)。花崗岩で作られたもので、全長3.3m、高さ2.74m。王家の谷に残る石棺のうちで最も大きいと言われている。
 
下降通路から見た玄室 玄室の入口部分
(C)Paul Biesta
玄室の壁画。目の部分が削られている
(C)Paul Biesta
玄室天井部分
 感想
壁画の人物の目の部分がほとんど全て削り取られており、残念。でも、この日、昼の書、夜の書で有名なラムセス六世の墓が閉鎖中だったので、ここで見ることができて良かった。
ここでよかったのはヒエログリフと石棺。ヒエログリフは絵としてみても大変美しかった。
石棺は大変大きく、立派な物。これほど大きい棺が残っていると、いかにも王墓という感じで感動する。
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