燃油サーチャージとは
やっと原油の異常な高騰もおさまり、このままでいくと次の次あたりでサーチャージは廃止されるのではないかと思っています。
でも、この制度、ホント分かりにくいですよね。もう少々は継続すると考え、解説をしますね。
 
燃油サーチャージとは湾岸戦争以降、急激な原油の高騰を受け、高騰分を経営努力でまかなう事ができないとして、2001年から導入された制度です。後で出てくるシンガポールケロシンの表を見ていただければ分かるのですが、確かに酷い値上がりぶりです。これでは利益を出すのは難しそうです。
 
ものすごくお金を取られた感があるんですよね、このシステム。でも本来はその都度航空運賃を上げるよりも、変動する価格に応じて適正な値段を徴収するための物なんです。「原油が○○円なら△△円追加して徴収します。原油価格が下落したら、サーチャージもさげますよ」というように、流動的な原油価格に配慮されていて、消費者にとってもメリットがあるものなんですよね。
 
当然のことながら原油価格がサーチャージを取る必要がない価格まで下がったらこの制度は廃止されます。近年航空運賃より燃油サーチャージが高いチケットなんかもありましたが、燃油サーチャージが悪いのではなく、投機筋によって原油の値段が極端に引き上げられていたのが悪いんです。そう考えると航空会社も私達同様被害者だったりするんですね。
  
 燃油サーチャージの決め方
まずは使われる事が多いと考えられるJALを例にとってみてみましょう。
JALのHPには以下の様に書かれています。
 
公表されている航空燃油(シンガポールケロシン)の各日のスポット価格の3ヶ月平均によって適用額を確定し、3ヶ月間固定いたします。額改定を行う場合には、関係国政府に認可申請いたします。 なお、3ヶ月間の平均燃油価格が1バレル当たり60を下回った場合は、「燃油特別付加運賃」を廃止する申請をいたします。
 
さて、ここでいう「シンガポールケロシン」とはシンガポールで取引されている燃油の価格の事です。したのリンクを見てください。
シンガポールケロシン価格の推移
ここで表示されているのは1ガロンあたりの価格なので、0.42を掛けて1バレルあたりの値段に直します。例えば2009年1月2日のケロシン価格を見て見ましょう。132.62ですから、これに0.42をかけます。
132.62×0.42=55.7004(単位ドル)です。これが1月2日の1バレルあたりのケロシン価格になるわけです。
 
ここでJALの燃油サーチャージを決める表を見て見ましょう。

60以上70未満 80未満 90未満 100未満 110未満 120未満 130未満 140未満
韓国 $3 $5 $9 $14 $19 $24 $28 $33
ハワイ $28 $47 $66 $90 $113 $137 $161 $184
北米・欧州 $47 $76 $109 $142 $175 $208 $241 $274
 
いずれも日本から出発した場合です。
まずは3ヶ月の平均価格を出します。仮に11月から1月までの平均が1バレルあたり65だったとします。すると上の表の60以上70未満のレベルに入るので、欧州までの片道サーチャージは$47となるわけです。
しかし、燃油が下がったからといって、すぐに燃油サーチャージも下がるわけではありません。JALの説明にも3ヶ月固定とありますね。
 
平均値算出対象期間 適用額発表時期 発券日
11月〜1月の3ヶ月平均値 2月中旬〜下旬頃 4月〜6月
2月〜4月の3ヶ月平均値 5月中旬〜下旬頃 7月〜9月
5月〜7月の3ヶ月平均値 8月中旬〜下旬頃 10月〜12月
8月〜10月の3ヶ月平均 11月中旬〜下旬頃 1月〜3月
 
この表にあるように11月から1月の3ヵ月の平均が2月中旬以降に発表されます。そして4月1日以降に発券された航空券にこの運賃が適用されます。かなりタイムラグがあるんですね。
 
ここで注意したいのは燃油サーチャージの価格を決定するのは、搭乗日ではなく発券日だということです。たとえば5月に搭乗するチケットを3月に発券してしまったら、前の年の8月〜10月の燃油サーチャージ額が適用になるわけです。
燃油が上がっている時はこれを利用して早めの発券をすれば、値上がり前の価格で購入できますし、燃油が下がっている時はギリギリまで待って発券すれば下がった後のサーチャージが適用されることもあるのです。
 
ただ、ゾーンペックスなどの割引運賃だと発券日の制限がありますよね。それに下がるのを待っていると席がなくなっちゃうこともあります。でもまあ、数日の違いなら、安くなるのを待つのもアリですよね〜!次の改定はいつか位は頭に入れておいても損はなさそうです(^-^)
 
 各社で違う燃油サーチャージ
燃油が1バレルあたり90ドル〜100ドルになった場合の燃油サーチャージの比較です
JAL/ANA エールフランス ユナイテッド ノースウエスト コンチネンタル
ハワイ 16064円 19000円 21000円 34000円
欧州 25344円 19858円
 
2009年1月26日のレートで換算($1=89円 1ユーロ=115.5円) 往復の料金
結構違いますよね〜。家族で行ったりするとかなり大きな差になります。何でここまで違うのか謎です。ちなみにシンガポールケロシンでなくほかの市場を参考にして決めるエアラインもありますが、ほぼ連動して価格が推移しているので、ここでは詳細は省きます。
航空券の値段ばかりに気をとられていると、購入時にどーんと燃油を上乗せされて請求されるのでショックが大きいです。ツアーの場合もそうですよね、どこの航空会社を利用するのかチェックする必要がありそうです。
 
今回航空各社の燃油サーチャージを調べていて気付いたのですが、どの会社も一番下の方に小さな字で一覧表へのリンクをはってあるんですね。悪いなぁって思ってるのかな(笑)
安いツアーだと燃油がツアー代とほぼ同額だったりしますよね。行きたい気分が急にしぼんじゃう。はやくサーチャージがなくなればいいですね(^-^)
 
※ 本文は全て2009年1月現在。