かんちがい

「週番の先生の話」その5

全校の前での話で意識していたのは,やはり,「エピソード」です。
「エピソード」を辞典で引くと,「逸話」とあり,「逸話」を引くと,
『その人の隠れた一面を知らせる材料となる,おもしろい話』
とあります。
全校の前だからこそ意味がある,一人ひとりのちょっとした価値ある行動の紹介をしていきたいと思っていました。
話題にのった児童本人の更なる意欲付けと共に,周りへの影響も当然計算しています。
そして,時には,「問題」があるからこそよけい,いいところを無理にでも見つけて「ほめる」ということをしていきます。
ところが,そのあたりの「オモンパカリ」に気づいてもらえないこともあります。
朝の話をした後,聞こえてきた教師の一言でそれが分かりました。

この日の話は,前回の続きということで,ある児童の職員室に入って来た時などの態度がとてもしっかりしているという内容でした。
その子を担任したことはなかったのですが,クラブや委員会等でみていると,感情の起伏が激しい方で,友達との仲違いも時々あるようでした。
小さい学校では特にそれぞれに固定観念ができてしまい,なかなかその殻を破ることはできなくなってしまいます。
「すぐ怒る」「怖いところがある」「孤立しがち」・・・
少しでも,そんなイメージを和らげたい,という思いもありました。

話が済んだ後,廊下を帰っていると,
「ちょっと見には,そう(態度が良さそうに)見えるんよね。」
という教師の話し声が聞こえてきました。
ここには,勘違いがあります。
目に見えたままを話していると思われているのです。
問題があるからこそ,ほめている
ということに気づかれていないのです。
問題があればあるほど,手を変え,品を変え,あらゆる方向から意図的に騙されたり,裏切られたりしながらアプローチしていく必要があります。
そしてまずは児童が,教師に対して,この人は自分を認めてくれている,という信頼感を持ってくれるように努力していかなければなりません。

朝の話は,そういう意味では,絶好のチャンスでもあります。
全校の前で自分の名前を出してほめてくれた,というだけで,ちょっと見る目が変わってくると思います。
      


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