日記の返事


    「日記で (その8)  2月24日  78号
             −「生活」と「文章」− 

前回の(例6)のような,日記の向こうに見える,その子の生活を評価していく(C)の形は,「交換日記」タイプ(A)とよく似ています。
どちらも(B)の形のように,日記文そのものについて,その書き方がどうのこうのと注文をつけていません。
日記帳を通して,お互いの思いを伝え合っているのは同じです。
(A)と(C)の違いはどこかというと,(A)が「友達的」であるのに対し,(C)は「教育的」であるというところです。
「交換日記」タイプでは,返事を書くのに,時間も意図的配慮も大していりません。
手紙の返事を書くつもりで,気楽に,リズムよく,ポンポンと言葉のやりとりをしていけばよいのです。
そして,その気楽さこそが(A)の形の長所であり,子どもの本音を教師がつかむには,最適の形であると思われます。
(C)は,それに対して,少し説教臭いもので,カタさがあります。{(C)を「説教」タイプとしましょう。}
「説教」タイプは,返事の中に,なにがしかの価値観を含ませようとしますから,書くのにも少し時間がかかります。
書かれた子どもの方は,時には,何だかよく分からないような言葉を前に,キョトンとすることもありますが,時には,それまで無意識だった価値に気づき,意識的に行動するようになることもあります。

ところで,生活,行動の評価の「説教」タイプでは,行動に影響があるとしても,これでは,日記文そのものの変化は望めません。
「交換日記」タイプも,文そのものを意識するようにはなりません。
「教練」タイプでは,意欲を喚起しません。




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