2学期に「大造じいさんとガン」を国語で学習し,最後に,全員が今まで学習してきたことをまとめる,学習作文を書きました。 原稿用紙にすると,約8枚分程度の量をどの子も書きました。 その中の男女2人の作文を紹介します。 この2人の作文から,大体の国語の授業の姿が見えてきます。 紙上で授業参観して下さい。 (まず国語の本でこの物語を一度読んでみて下さい。) 「大造じいさんとガン」 (女子) はじめに 「大造じいさんとガン」この題がついたお話。よく兄が読んでいた。っていう覚えがある。私は,手にとって読み始めた。読むと,大造じいさんがガンをとるために戦う。と,いう感じがした。が,これから,この物語を勉強するんだ。と考えるだけで,「あー。」と,いやになるほど長〜いお話。長い物語のきらいな私は,「いやだー。」って,心でさけんでいた。 さあ,どうなるのだろうー。 本当か 「この話,本当か?」 と,先生が私たちにかんたんそうで,むずかしそうな問題を出された。私は,前書きからさがし出したが,どう考えても本当にしか思えない。そこで,私は本当にした。が,ほとんどの人が本当にしたが,2,3人本当ではないにした。本当の人は,自分の意見を通そうと次々,みんな発表した。中には, 「大造じいさんは本当にいる。そのじいさんから,聞き,その話を土台としたのだから・・・・」 という意見があった。私も,そう思っていた。 だが,本当ではないの意見の人もがんばっていた。「どうして,本当ではないのだろう?」と,考えていると, 「全く同じなのですね。」 と先生が言われた。その言葉を聞いて,私は,「土台だから,少しくらいかえて書いてあるのだなー。」と思い,この問題は,本当ではないに変わった人がたくさんいた。私もその中の一人。私は,てっきり本当かと思いこんでいたが,「ちょっとでも」という深く読みとらないとな,と思った。 気持ちをたとえて この物語の中には,いろいろなところに,他の文とは,一味ちがうイメージの文がある。 「さあて,このような文,どうして,一味ちがう文なのか。」 と,もちろん,先生が聞かれた。まあ,いろいろあるが,たとえば, 『あかつきの光が,小屋の中にすがすがしく流れこんできました。』 というところで, 「あかつきというのは,夜明け。少し明るい。うすぐらい。」 というのが出た。そして,なんといっても,「すがすがしく」というところで,気持ちよい,さっぱりしている・・・といろいろでたが,中でも, 「これは,大造じいさんの気持ちをたとえて,作者は書いたのだと思います。」 この意見で,みんなの首はうなずいた。私も,「へー。」と思った。 このように,この話は,大造じいさんの気持ちを,一つの文を使って表したのだと思う。私は,気持ちをそのまま表すだけでなく,一つの文で,工夫して表すこともできるんだ。ということに気づいた。 小屋の位置・・・ さて,大造じいさんは,残雪たちをつかまえようと,小屋をたてたのですが,どこにたてたのだか分からない。手がかりみたいなものはかいてあるのだが・・・。私たちは,ありったけのヒントを見つけて,小屋の位置を見つけ出そうとした。私の意見は,ぬま地があったら,東だった。それは,「ずっと西側のはしに 着陸しました。」と書いてあり,西側のはしに着陸し,ずっとだから,一番遠くは東。だからこれは東。と考えた。 だが,みんな,小屋の位置はちがった。みんなの意見で,私の意見が,分からないをさしてしまいそうな感じがした。あるいは,南,東をいったりきたり・・・。そして,また,先生の言葉で,ふと,私の考えが一定にとまった。 「もし,みんなが残雪だったら,小屋をたてた位置からどこへにげる。」 そして,少しの時間がたったとき,南だった人全員が, 「もし,自分だったら,残雪は西へ着陸した。だから,一番遠い所は,東だから,東にたてたのだと思います。」 私も, 「もし,自分だったら,一番遠くの西へ着陸するし,残雪は,近づかぬがよいぞと思ったのだから,もし,東だったら,遠くの西へ着陸するから。」 という意見で,南だった私も東へかえ,みんなが東へかえました。この問題で,国語の時間をつかって,3時間も言い合いこをしたのだから・・・。けど,おかげで,書いてなくても,ちょっとの手がかりで,全部わかるんだ,って思う。 「ううん。」について この「ううん。」は,大造じいさんが,ガンがりのとき,出したうなり声である。 『「ううん。」と,うなってしまいました。』 この文から分かること・・・。みんな,「ううん。」のところで,いろいろ意見を言った。その中で, 「前は,「ううむ。」だったのが,今年は「ううん。」になった。」 「心がつまっている。」 私は,「前の文から見つけて,すごいなー。」と思った。それに,「しまいました。」という所で, 「うなりたくないのに,うなったという感じがする。」 と,だれかが言った。私も,これは,ずっと前に勉強して,時たま見つける。私も言おうと思っていたが,言えなかった。だが,この,一つの文で,大造じいさんの気持ちがどのようになっているかが,よく分かるように,みんなが,くわしくしていった。 そして,みんなが,前の文や,他の所の文や言葉に気をつけて,そして,さがしだして,関係づけて意見を言っているから,「成長したなー」と思った。 大造じいさんの方法とは 毎年,毎年,大造じいさんは,いろいろな方法を使ってつかまえようとしている。さあ,今年の方法とは? 「今年はひとつ,これを使ってみるかな。」の,この一言。この一言をもとに,みんなの力を出し合った。まず,自分の考えでは,「これ」というのは,2年前の方法で生けどったガンで,「これを使う」というのは,つかまえたガンを最初に飛びたたせ,そして,他のガンたちがこのおとりのガンについてきたところをやろうと思っていたのだ。と思い,今年の大造じいさんの方法を考えた。みんな,同じような考えで, 「じいさんは,ガンたちは,一番最初に飛び立ったものの後に飛ぶということを知っていたから,おとりのガンをよび,そして,ついてきたガンをとる。という方法だったのだと思います。」 という意見だったが,つけくわえたり,同じでも少しかえて言ったり,発表しようという気が出ていた感じがした。 ねらっていたのは 「あの大造じいさんの方法で,ねらっていたのは,とくに残雪だったのか。それとも,ガンならどれでもよかったのか。」 という問題が出た。そして,みんなの意見が分かれた。私は,とくに残雪をねらっていたのだと思う。それは,みんなの意見の中にもあったけど,なんか,「さあ,今日こそあの残雪めにひとあわふかせてやるぞ。」だから,こらしめようとしているような感じがしたから・・・。だが,○○君が言った, 「「残雪のなかまをとらえてやろう。」と書いてあるから,ガンならどれでもいいんだと思います。」 この言葉で,私は,「あっ,そこがあったのか!」と,しまったと思ったが,反対意見の人,つまり,「残雪をねらっていた」という人は,「いや,自分はこう思う。」というのを,ちゃんと言っていた。 「残雪がやってきたと知るとだから・・・。」 「ひとあわふかせてやるぞだから,ひとあわふかせるためには残雪をねらわないといけない。」 これより,もっとたくさんの意見が出た。私も,うんうんとうなずいた。だが,○○ちゃんが, 「ひとあわふかせるというのは,残雪だけをやらなくても,残雪のなかまをやるだけでも,残雪はびっくりするから,なかまをやってもひとあわふくと思います。」 と言った。 そして,残雪をねらっていたという意見の人は,「あっ,そうかー。」というように,意見を変えていった。そして,結果は,「なかまをとらえてやろう」から,ガンをねらっていることが分かった。残雪だけではない。このような結果が出て,この問題は,「ガンをねらっていた」というようになりました。 「ハヤブサとの戦い」 大造じいさんは,今年こそはガンがたくさんとれると,気合いを入れて待っていた。が,この方法をじゃまする者がいた。それはハヤブサ。そして,ハヤブサにおそわれそうになったのが,かいならされていたため,にげおくれた大造じいさんのおとりのガン。そこを,残雪が助けにハヤブサにつっこんでいった。そして,大造じいさんは,うとうと,じゅうをかたにあてた。が,なんと思ったか,再びじゅうをおろしてしまいました。 この文から気づくことを言った。その中に, 「なんと思ったか,だから,大造じいさんの気持ちはわからないのだと思います。」 という意見があった。それに対して,先生が, 「たしかに分からないけど,本当に,なにも分からないのですか?」 私たちは,考えた。そして,3つの意見が出た。 「ハヤブサの手助けをしてはいけないから。」 「じゃまをしてはいけないから。」 「大造じいさんのおとりのガンを助けているから。」 私たちは,おかしいのを消していった。そして,一つのいい意見が出た。それは, 「残雪は,自分の群れのガンだと思って,必死で戦っていたから。」 それを深めて, 「大造じいさんが,残雪たちをとらえようとしていたおとりのガンを助けるために,おそろしい敵に命がけで戦っていった残雪の行動。」 このような残雪を見て,大造じいさんはじゅうをおろした。そして,私たちも,「すごいなー,残雪は。」と思った。 第二の敵 『しかし,第二のおそろしい敵が近づいたのを感じると,残りの力をふりしぼって,ぐっとあの長い首を持ち上げました。』 この文から分かることは, 「第二のおそろしい敵というのは,大造じいさんだった。」 「第一は,ハヤブサだった。」 そして,もっと,もっと深読みしていくと, 「感じると,の所で,見てはいない。」 ということも見つかった。 『それは,最期の時を感じて,せめて,頭領のいげんをきずつけまいと努力しているようでもありました。』 この文でも,たくさん,分かることが見つかった。 「最期の時を感じて。というところで,死ぬ,だめだと思っている。」 という意見があった。それに,すごいことが見つかった。 『努力しているようでもありました』という所で,「本当は」ということをさがしました。そして,初めは,2つ出ました。 「本当は,戦いたい。」 「本当は,ぐったりしたい。」 みんな,なやんだ。だが,みんなが思うには,「ぐったりしたいんだ」という意見だった。だが,なんか,ひっかかる・・・。その時,○○君が, 「本当は,じたばたして,にげたいのだと思います。」 この意見を聞いて,みんなつけたして, 「私も同じで,理由は,最期の時を感じた。でも,もし,最期ではなかったら,じたばたしてにげるから・・・。」 このような意見が出た。そして,本当は,じたばたさわぎたいのだ。という意見にみんな変わった。みんなすごいと思った。これだけのことを思いつくなんて・・・。 最後に 最後に私たちは,大造じいさんの気持ちが,最初と最後は,どうかわっているか,対比を考えた。最初はいまいましく思っていたのに,最後は,はればれしている気持ち。うれしい気持ちに変わっている。 そして,この物語は,大造じいさんが,ガンに対する気持ちがじっくり書いてあり,じっくりつたわる感じがする。そして,何よりも,みんなよく発表し,分からない所も,分からしていき,そして,くわしくしていった,あの勉強。すばらしく,かがやいていた感じがするなー。 「大造じいさんとガン」 (男子) はじめに ぼくは,この「大造じいさんとガン」という話を読んで,大造じいさんと残雪の戦いにとても興味を持ちました。読む前は,残雪とは書いてなくて,ガンと書いてあったので,大造じいさんがガンをよくとったのかと思っていました。が,今年も残雪はガンの群れを率いてというところで,残雪という名前が出ていたので,残雪と大造じいさんがなにかするのだろうと,この文が出た時から分かりました。 本当か この「大造じいさんとガン」を始め,最初に勉強したのは, 「この話は本当の話か」 という先生が出してくれたぎ問です。ぼくは,その話を土台としてという所から,土台にしてるから,本当だと思っているということをみんなに言うと,反対意見が次々と出てきました。反対意見を言った人は,ほとんど, 「土台にしているのだから,ちょっとは変えているんだ。」 という意見でした。ぼくは,みんなの意見を聞き,すぐにぼくの意見は,おかしいと意見を変えた。けっきょく,みんなの,本当ではない,という意見が正解だったのでした。 小屋の場所 大造じいさんが,ガンがりをしているぬま地にたてた小屋の場所は,東にあることが分かった。「南にある」と最初は,半分以上が言っていた。ぼくも,その中にいた。いろいろ意見が出たが全部だめだった。ほかにも,北や西という人が2,3人いたが,西の人は,すぐいなくなった。 『残雪は,小屋をみとめ,急角度に方向を変え,西側のはしに着陸しました。』 という所で意見を言われたからだ。北は,よく分からないが,いなくなった。南と東の言い合いが2,3日は続いた。2,3日目,先生がすごいヒントをぼくらにくれた。そのヒントで5分の1の人数しか南の人がいなくなった。南の人は,何も言えなかったけど,ねばった。ぼくは,おいつめられたので,東に変えました。そして,みんな変えて,東になりました。小屋の場所については,勉強した時はすごくおもしろかった。でも,まだ,なっとくがいかなかったが,大造じいさんとガンの勉強がおわると,やっとなっとくがいった。 「小屋の場所の勉強をしてよかったなー」と今でも思っている。 ねらっていたのは・・・ ぼくは,今まで勉強している中はずっと,大造じいさんは,残雪をねらっていると思っていたけど, 「大造じいさんは,ガンをねらっていたのか」 という問題が出た。ぼくは,もちろん残雪をねらっていたと思っていたから, 「ガンより,残雪をねらっていたんだと思う。」 と,ぼくの意見を言った。人数は,どちらも同じくらいだった。意見は,ぼくらの方がだんぜん多かったが,向こうには,「残雪のなかまをとらえてやろう」と書いてあったので,どんどん向こうにうつり,ぼくも,うつった。そして,とうとうガンという結果が出た。ぼくは,「なぜ,残雪をねらわないのだろう。残雪をねらってとらえれば,ガンがどんどんとれるのに」と,思った。 「努力」について 努力と聞いて,最初に気づいたのは,残雪のいげんをきずつけまいとする努力でした。だけど,もっといい意見を考えて先生に言うと,先生が,すごく,すごく,ほめてくれたので,すごくよかったと思います。どんな意見かというと,自分の言葉を使ったのです。他にも2つ出ました。どちらも,いい意見だと思います。努力については,まだ,ほかにもありました。でも,言えなかったから,あの時,言ってたらなと今でもこうかいしています。 「とつ然に」の意味 とつ然にの意味についていろいろ調べました。とつ然に広がった世界というのは,ぼくは,ずっと外が見られなかったんだと思った。その意見をみんなに言うと,あちらこちらから,いろんなことを言われた。ぼくは,どーしても,おかしいような気がしてなりませんでした。でも,もう一度,ちがう意見を言うと,みんなが,さんせいしてくれたので,気をとりなおし,勉強に集中しました。ぼくが,言って,意見がおかしいということを先生がはっきりと分かりやすく言ってくれたので,ぼくも,なっとくがやっといきました。 もう一つ,ここで,勉強しました。それは,とつ然に広がった世界を見た時,外にいたか,中にいたかという問題です。外にいたが,たったの3人でした。だけど,いろんな意見をいっても,中にいるに変えませんでした。3人が変えないので,2,3日かかりましたが,2,3日目にやっと2人変えたけど,1人がどうしても変えなかったけど,○○君のおかげで,中にいるということになった。これは,最初からぼくが考えていた,中にいるというのが正解だったからよかった。 はればれしたわけ 大造じいさんは,最後にはればれとした顔つきで,残雪をにがしてやりました。という内容の,はればれしたわけについて考えました。 「ああ,大造じいさんは,残雪のきずがなおったから,よかったから,はればれとした顔つきでにがしたんだな」と,思いました。でも,これは,簡単な考えでした。まだ,こんないい意見が残っているとは,思いませんでした。その,意見を言ったのは,ぼくでした。でも,その後,もっとくわしく○○君が言ってくれました。 大造じいさんについて 大造じいさんは,よく分からない人です。そのわけは,初めのころは,残雪をいまいましく思っていたのに,最後の方になるほど,残雪に強く心をうたれたり,ただの鳥にたいしているような気がしないような気持ちになってきたからです。でも,ぼくは,大造じいさんは,すごい人だと思う。ぼくが教わらなければならないことがいっぱいある。 たとえば,「はればれとした顔で」の所で,残雪が頭領らしい堂々たる態度をとったから,じいさんもかりゅうどとしての堂々たる態度で,はればれとした顔つきでにがしてやったのだから,ぼくも,いやな時も,はればれとした顔つきでやらなければならない。もう一つは,あきらめないしゅうねんです。これをぼくは,特に学ばなければならない。 残雪について 残雪の気持ちは,分からなかった。残雪は,でもすごいとぼくは思う。勇気では,ぼくは,だんぜん負けている。ぼくは,残雪のように勇気を持った人間になりたい。それに,残雪は,すごく友だち思いだ。残雪が人間になるとすごいだろうと,ぼくは,いつも思う。 最後に ぼくは,この物語を勉強し,とても,とてもよかったと思います。それは,この物語の,残雪と大造じいさんの戦いにとても興味を持っていたので,「大造じいさんとガン」を勉強する時は楽しくやれたから集中できました。 それに,だんだん,ぼくは,意見を言うと,当たってたり,いいことを言えるようになりました。すごくうれしかったです。これも,先生や,「大造じいさんとガン」を勉強したおかげだと思います。 まだある。それは, 「この文について,わかったことを言ってください。」 と,ある文をかく。そしてわかったことをつぎつぎに言う。にたので,ある人が意見を言う。同じ所で,ある人がまったくちがう意見を言う。すると,全員がどっちかきめる。そして,こっちの意見の方が正しいとか言い,どちらかきめる。これも,おもしろい。けっして文の文字や文が長いといってもすごくおもしろい。 この「大造じいさんとガン」で一番心に残った所は,最後のあたりの,にがしてやる所です。勉強したのでは,やっぱり,小屋の場所です。 この話の最後は,大造じいさんが,ガンをにがしたので,大造じいさんは,やさしくなったんだなと思いました。 この物語を勉強して,ぼくの国語の力が上がったので,こんな物語の勉強をまだまだしてみたいです。 |
(通信枠外の一言) 土曜日,教室に入ると,子ども達は紙ふぶきで迎えてくれました。そして,窓には色紙で作ったバラの花で「こんにちは」の大きな文字。黒板にも迎えの言葉や飾り付けでハデハデに・・・。ありがとう5年生。帰ってこられてよかったなァと思わせてもらいました。 (この年,11月から翌年の1月にかけて,病気で入院していました。) |