詩の学習で
(1998年5月13日)

  屋久島の杉の木     川崎 洋

きみはいくつ?
きみの父さんは いくつ?
きみのおばあさんは いくつ?
おれたち屋久島の杉の木は
1000歳で やっと一人前
7200歳だって いるぞ

かみなりに うたれて
ぼきりと折れて倒れても
木に あぶらが
ぎっちりと詰まっているから
腐らない
折れたところに
杉の種が落ちて 芽が出て
また
何千年も生きるのだ



     深く深く読み取っています(その1)
          −−−− 詩の学習で −−−−

国語の授業で詩を学習しました。
その中に,上の「屋久島の杉の木」という詩もあります。

授業に入ると,子どもたちはどの行,どの言葉についても次々と深く読み取り,この詩について,3時間以上もかけて学習していきました。
ある日などは1行についてだけで国語の時間が終わってしまったこともありました。
  
授業の一部の記録を紹介します。



「『7200歳だって いるぞ』の『』の言葉からいばっている感じがします。」
「えらそうにしている感じがします。」
「何かじまんしているみたい。」
「力強い感じがします。」
「かっこつけているみたいです。」
「もっと長生きしている木もいるみたいです。」
「『』というのは,『いるんだぞ』の『』で,満足している言い方だと思います。」
「これは,自分のことを言っているのかもしれません。」
「それか,自分もそこまで生きたいという夢というか,あこがれも入っているような気がします。」
「7200歳だから,人間なんてくらべものにならないぞ,と言っている『』だと思います。」
「すごいんだぞ,と言っているんだと思います。」 −−−−



以上,『』という一文字についてだけでもこれだけの意見が出てきました。
この後,更に学習は盛り上がっていきます。(次回につづく)




(1998年5月19日)

     深く深く読み取っています(その2)
          −−−− 詩の学習で −−−−

』について次々と意見を出し,しっかり杉の木の心に寄り添った後,次の行に移りました。
続いて,授業の一部を紹介します。



「『うたれて』とか,『ぼきりと折れて』とかいうのは,杉の木にとってはあまり言いたくないことだと思います。」
「さみしい感じがします。」
「それで,ここで,さみしい感じを出しておいて,後の『腐らない』のところで,もり上げるんだと思います。」

T(教師)「そう,文のつくりには,そういう,言葉のしかけがあることがあります。」

「『ぼきり』という言葉は,読み方で,迫力を出すのと,さみしさを出すのと,2通りの読み方があると思います。」
「『ぼきり』という音から,大きい木だと分かります。」
「『ぼきりと折れて倒れても』の『』は,かなしみの反対を表す『』だと思います。」
「『木に あぶらが』で1行が終わっていて,『』でとめてあるから,読む人が,えっ,どうなるの?とドキドキするんだと思います。」
          ・
          ・
          ・
「『また』で終わって,行を変えているのは,次に,大切なことを言うためだと思います。」
「『また』から,いやなこと,苦しいことがあっても,また生きていくんだという気持ちがあるんだと思います。」 −−−−



こうして,全員で主題に迫っていきました。    


(通信枠外の一言)
学級園に,コスモス,ホウセンカ,キュウリ,トウモロコシ,マリーゴールドの種を植え,苗ができてきました。少し分けて家に持って帰りますので,子ども用の畑をつくってあげて下さい。




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