(1992年10月16日) (10月13日 第2次の1時間目) 家庭学習で,「やまなし」の主題は何だと考えるか日記に書いてくるようになっていました。 その日,初めて「やまなし」を家に帰って読み,どの人も自分なりに考えた主題ですが,これがなかなかおもしろいのです。以下に紹介します。 【第1次「やまなし」主題観】
日記には,「やまなし」の主題と感想も書くように言ってありました。 ○子さんの日記を紹介します。 10月12日(月) 「やまなし」 宮沢賢治作のこの話。宮沢さんの作品は読んだ事がある。それが,おもしろおかしくさらにかわいいっていうのが正直言ったところですね。 この「やまなし」,2ひきのかにの初めの会話が人間には理解できないっていう,やっぱりかにの話という感じがして,かわいかった。 そして,かわせみがでてきた時,本当におそろしいというかにの思いがつたわってくるような・・・。 やまなしが落ちてきた時,かにがやまなしの流れる方へついていくすがたが,これまたまぶたの裏にうかんでくるようでした。 この主題というのは,『川の中にもおそろしい出来事があるが,安心感と幸せを見せてくれる物がちゃんとある』 この主題が勉強していくうちにどうかわるか楽しみだ!! はっきり言って,困りました。 この日記にあるように,「この主題が勉強していくうちにどうかわるか」ということについてです。 14人の日記に書かれていたそれぞれの主題観を見ていて,これらを「勉強していくうち」に本当にかえていけるのだろうか?と心配になってきたのです。それに,中には「かえる」必要も,かえようもないものもあるように思えたのです。 この主題観を紹介して,この授業記録も終わりにしたくなりました。「主題について考える」というのは,難しいのです。初めて読んで,自分だけで考えて,これだけ書けていれば大したものなのです。 しかも,「主題観」は,読み手によって変わってきて当然でもあります。「桃太郎」の話からでも少なくとも3つの主題が考えられるという学習を6年生はしてきています。 とにかく,これから,この難解な「やまなし」を学習していかなければなりません。まず最初の1文で1時間の討論になってしまいました。その報告を次回に。 |
(通信枠外の一言) ある日の授業中,一人の男子がイスと共にこけてしまいました。その時,さっとかけよって声をかけていたまわりの多くの6年生たち。こけても,笑い声だけで終わる集団ではない,とホッとしたひとときでした。 |