
(その7)
| 43人のクラスでは,学期毎の通知表を作成するのも一苦労でした。ある年の3学期,通知表を渡す前の日の夜,何を思ったか,一人ひとりの生活面と学習面についての様子を便せんに書き始めたことがありました。これを通知表と一緒に渡せば,家の方にもよく分かっていただけるし,コピーしてとっておけば,この後の要録の記入の参考にもなると考えたのです。 ところが,書いていくに従って段々時間がかかることに気がついてきました。下書きもせず,万年筆で直接書いていきましたから,時々失敗するとまた最初から新しい便せんに書くことになるのでした。 一人分の時間を計って計算してみると,全員分を書くにはどうも夜が明けそうでした。途中でやめようかとも思ったのですが,せっかく何人かに書いたのだから,どうせなら全員に渡したいと思い,続けていきました。 果たして最後の子の時には朝が来ていました。いや正確には,なかなか書けない子の分が最後になり,とうとうその子の1枚は書けずじまいで学校に行って書いたのを覚えています。 今思えば,何とも無謀なことをしていたものだと思います。 周りの教師への気配りもできていませんでした。 |