新採日記

(その1)

 私が初めて赴任した小学校は児童数約1800名のマンモス校でした。1学年約300名で,どの学年も7クラスありました。教員数は約60名。4階建ての校舎が2棟建っていました。コピーをするには階段を降りて隣の棟の事務室まで行かなければならない年もあり,とうとうある年に自分のコピー機を買って,教室に置いておくことにしたぐらいです。

 最初に担任したのは3年生です。クラスの児童数は43名。始業式の挨拶が終わって教室に入り,初めての自分のクラスの子どもたちに向かって挨拶をします。話をしながら,「あの後ろに座っているちょっと太った男の子ぐらいが学級のボスで,自分に反抗してくるのかな〜」なんて思っていたのを覚えています。

 初めての年は,まず名前を覚えるのに一苦労します。そして,やんちゃ坊主たちとの戦いが待っています。これに勝つとその後の1年は比較的平穏にすぎます。しかし,その頃はそんな先のことなど分かるはずもなく,目一杯の毎日でした。
 ある時は全員を床の上に正座させ,その前にあった集会での態度について考えさせたこともありました。一人,なかなか注意の聞けない子がいましたが,むりやり力で抑え込むようにしていました。そんな稚拙な抑え方でも,初めての参観日には,その子が1時間じっと椅子に座って授業を受けていたというだけで,親の方からは感心してもらったということを後で知りました。

 家庭訪問は全て自転車で回りました。と言うより自転車しか持っていなかったのです。家を探して行くのも面倒なので,訪問が済んだ家の子に次の家まで案内してもらいました。ある年には学校の近くの子何人かに頼んで,家庭訪問が始まる前の日曜日に全員の家を自転車で案内してもらっておくことにしました。
 その時,今でも覚えている出来事がありました。