私たちは、アドレノメデュリンノックアウトマウスのホモ接合体が血管形成が未熟で、胎生期にびまん性出血により致死であることを報告しました。この研究からアドレノメデュリンの血管新生作用がはじめて明らかとなりました。
そこで、アドレノメデュリンを治療薬として投与した場合も、血管新生作用があるかどうかを検討しました(Circ Res. 2004; 95: 415)。
マウスの左足の動脈を結紮し、下肢虚血モデルを作成し、血流回復をレーザードップラー計にて評価しました。
アドレノメデュリンを投与した群では、血流の回復が良く、血管新生が亢進していました。逆に、アドレノメデュリンノックアウトマウスのヘテロ接合体あるいは、アドレノメデュリンの競合阻害薬を投与したマウスでは、血管新生が減弱していました。
アドレノメデュリンは血管新生作用を有し、その作用の一部は血管内皮由来増殖因子(VEGF)を介していると考えられました。またアドレノメデュリンノックアウトマウスでは、複数の血管新生因子の発現変化が確認されることから、VEGF以外の因子の関与も想定されます。
A. 動脈を結紮したマウスの足です。
Controlでは足が壊死していますが、VEGF(血管内皮由来増殖因子)やAM(アドレノメデュリン)を投与したマウスでは足の回復が良好です。
B. 足の血流回復を示したレーザードップラー画像です。AM、VEGFを投与したマウスでは血流の回復が良好です。