2016年8月13日
この日も素晴らしい快晴。会社のスタッフと2人で登山。
往復は前回と同じ。しかし下山は色気を出して中級コースへ。
これが悪夢の始まりでした・・・・・
2016年8月13日
この日も素晴らしい快晴。会社のスタッフと2人で登山。
往復は前回と同じ。しかし下山は色気を出して中級コースへ。
これが悪夢の始まりでした・・・・・
「眺め最高!」 「誰もいないじゃん!」
お盆で混雑していた「天神平尾根」と比べ、ほとんど人が歩いていません。
先を見ると、尾根沿いに道らしきものが見え、ポツリポツリと登山者が見えています。
「西黒降りるんですか?」
と立ち止まっていた男女のペアに声をかけました.
「迷ってるんですけど、この先どうですか?」
男女ペアも 我々と同じ初中級ぐらいで、我々に聞いてきました
「ネットで見たら、この先は岩場もあり、そこそこ難しいコースらしいですよ。
でも天気も良いし、空いてる道で帰りたいので、我々は進みます」
「そうですか、じゃあ僕たちも行こうかな」
このペアも、迷った末行く事にしたようです。
しばらくは快適な尾根コース 富士山のお鉢の幅を細くした感じです。
「西黒尾根は上級者コースって書いてあったけど、脅かしてんだな、せいぜい中級者コースだな」
「富士山の「お鉢めぐり」に比べたら空気が濃いから楽勝だな」
などと、舐めた事を言いながら歩いて行くと、だんだん道が狭くなり、尾根の幅も狭く、三角木馬の上を歩くような感じに。
右も左も断崖絶壁。落ちたら最後です。
「おおっとお~ 危ない危ない!」
登りで体力を使い果たした膝は笑い、小さな石につまづいて、もう少しで奈落の底に落ちるところでした。
「Mちゃん、大丈夫か?」
「ちょと疲れて、立ちくらみがします」
2人ともボロボロですが、もう行くしかありません。
高所恐怖所の私は、下を見ると歩けなくなります
ゴールは はるか下に見えており、パラグライダーが有れば10分で降りられそう。
滑空比の悪い私のパラシュートでも行けそうです。
碁石のようにツルツルで滑る岩を歩いて行くと・・・・
「上級者ってこれのことか~・・・」
急角度、と言うか上から見るとほとんど垂直に見える岩場に、鎖が垂れています。
地図にも書いてあった「鎖場」
この区間、たいした距離では無いのに、ルートマップで2時間と書いてあるのは、こんな「鎖場」が続くおかげです。
後ろ向きになって、鎖をつかんで下りて行きます。
岩は、みんなが足をかけるので、磨き石のようにツルツル。
雨が降ると最悪でしょう。
(帰ってからネットで検索したら「日本3大急登」だそうです)
最近、懸垂もサボっているし、握力も無いので鎖が滑って落ちそうです。
体力が落ちたと言っていたMちゃんは、フルマラソン走ったアスリート。
「怖い」と言いながらも、確実に降りてきます。
いくつかの鎖場を降りて、少し広い場所で休憩。
振り返って見上げると、とんでもない岩山が続いています。
岩場に貼りつくように歩いているのは、さっきの男女ペアの様です。
「良く降りてきたな」「登りだったら、ここであきらめて帰るな」
「お疲れ様です」 例のペアが追い付いてきました。
「鎖場どうでした?」
「こわかったですぅ~」 女性も頑張ってました。
さあ 我々も汗が冷えないうちに、先に進みましょう
「さあMちゃん行くぞ」
立ち上がると・・・ 「あれっ?」 脚が言う事を聞きません。
すこし休んだので、腿と膝に力が入りません。
この先まだ、三角木馬の岩場や、鎖場が続くのに立ち上がるとふらついて、まっすぐ歩けません。
ふらついて滑落したら、救助ヘリコプター代 何百万円か?
「飛んで帰りたい・・・」
斜め下に、良い角度でゴールが見えています。
しかし、今日背負っているのは、いつものパラシュートでなく、カッパや防寒具、お昼のゴミが詰まった、タダのリュック。
滑空はできません。
「高所恐怖症なので・・・」と書きましたが、私の場合、飛べる気になって、「ついつい飛び込むのが怖い」という恐怖症。
誰かが後ろで「GO!」と言ったら、間違いなく飛んでいたでしょう。
飛び込みたくなる気持ちをひたすら我慢して、ようやく三角木馬の尾根が終わり、樹海の中に突入します。
頂上から登山口までの標高差は1200Mほど。
富士山だと5合目から9合目くらいの高度差になります。
高度計見るとまだ400Mは残ってます。
GPSで地図を見ると、急な岩場を鎖で降りるので、水平距離はほとんど減りません。
「あと、どれくらいですか?」
だいぶ疲れたMちゃんが聞いてきますが、
さっきから 「あと1時間」と同じ解答。
「お盆は 地獄の釜の蓋が開くんだそうです」と、
ついにMちゃんは、訳のわからない事を言い出しました。
樹海に入り、地獄の釜に吸い込まれるような湿った坂を延々と降りますが、なんの目印も無く、これが一体いつまで続くのやら。
「あと、どれくらいですかぁ~?」
「あと・・・まだ1時間・・・」
これでは、社長としての管理能力を疑われます。
Mちゃんは、お盆明けに会社に出てきてくれるでしょうか。
JRの清水トンネルを超えたあたりで、やっと看板が現れました。
『←土合 1時間・谷川岳頂上 3時間→』
「土合って駐車場ですかぁ?」
「いや違うよ、車停めたのはもっと上だから、あと30分かな」
ようやく先が見えてきました。目標の高圧線の鉄塔も見え、ゴールのロープウェイ駅のモーター音も聞こえてきました。
結局、目標タイム3時間10分のところ、4時間でゴール
今回はきつかったです。先月の富士山の方が慣れてるだけ、はるかに楽でした。
ゴールしたと言っても、自宅まで150キロの運転が待ってます。
せっかくの水上温泉なので、日帰り温泉で汗を流します。
風呂上りにビール飲んで、豪華な晩飯食べて泊まりたいのですが、今回は人妻のMちゃんが一緒なので、泊まる訳にはいきません。
ノンアルコールビール飲んで、頑張って運転します。
「簡単な天神平ルートとロープウェイで降りてたら、どうだったでしょうか?」
帰りの車で、Mちゃんが聞いてきました。
「そうだな、ルートは大混雑で前に進めず、ロープウェイも順番待ち。
景色が良い西黒尾根行けば良かったなと 今頃言ってたかもな」
「そうですね、チャレンジして良かったですね」
苦しかった谷川ですが、また行きたいです。
次は、当初計画していた、新潟側に抜ける縦走でしょうか。