谷川岳 2回目(下山中級)

2016年8月13日

この日も素晴らしい快晴。会社のスタッフと2人で登山。
往復は前回と同じ。しかし下山は色気を出して中級コースへ。

これが悪夢の始まりでした・・・・・



昨年に続いて、谷川岳に行ってきました
昨年は、天神平から頂上までのピストンだったので、今回はもっと先に行きたい

可能なら新潟の土樽駅まで縦走したいのですが、頂上から4~5時間 車は群馬の土合駅付近に停めているので電車で戻ることになりますが、
15時の電車を逃すと次は18時。

そのあとは・・・無い なんと18時が終電
迷ったのですが、お盆の渋滞で登山開始が遅れたので、土合方面にもどるコースで計画。




今回は、我が社の女性社員「Mちゃん」と2人で行動

手抜きして一気に天神平までロープウェイで上がり、そこからスタート。
ココからしばらくは たいしたアップも無く快適なハイキング道

しかし1時間後、途中の避難小屋を超えると、手を使って登る岩場の連続。
Mちゃんは「ダマされた・・・」と、だんだん無口に。

天気は快晴、風も無く最高景色なのですが、とにかく暑い。
谷川は標高が2,000M以下なので、真夏は涼しくありません。

 



予定より早く頂上に到着。
谷川は、猫の耳のように2つの頂上が有るので、
群馬から見て手前が「トマノ耳」 照れながら猫耳で写真で
「ハイ、ポーズ」

奥にある「オキノ耳」に移動して、ここで昼飯
今回コンビニで買った昼飯は 「おにぎり2個」「アンパン」
行動食は「金つば2個」「栄養食品2つ」「ちーかま」その他

昔は食事もせず後半バテたのですが、最近はガンガン食います。




時間は12時前 さあこれからどうやって降りるか?

A案 
土樽駅まで縦走。この時間なら行けない事は無いのですが、出発時点でこの案は却下。

B案
天神平に行きロープウェイで帰る。これは少しつまらないし、下りのロープウェイがこみそう
しかも、この混雑で対面通行の岩場はおりにくい

C案
天神尾根から、田尻尾根で降りる  まあ、妥当なコース

D案
先の「一ノ蔵」まで2時間往復して B案で帰る 一ノ蔵まで行けば土樽まで行きたくなりそう。

E案 
西黒尾根で帰る。これは上級者向き。急な岩場を鎖で昇り降りしなくてなりません。



迷った末 チェンジャーのMちゃんが賛成したので 西黒尾根に行くことに決定。
頂上から見える 西黒尾根は、眺めが良さそうです。

「じゃあ西黒で帰るか」
この判断が 凄い結果になったのです。


 

 

「眺め最高!」 「誰もいないじゃん!」

お盆で混雑していた「天神平尾根」と比べ、ほとんど人が歩いていません。
先を見ると、尾根沿いに道らしきものが見え、ポツリポツリと登山者が見えています。

「西黒降りるんですか?」
と立ち止まっていた男女のペアに声をかけました.

「迷ってるんですけど、この先どうですか?」
男女ペアも 我々と同じ初中級ぐらいで、我々に聞いてきました

「ネットで見たら、この先は岩場もあり、そこそこ難しいコースらしいですよ。
でも天気も良いし、空いてる道で帰りたいので、我々は進みます」

「そうですか、じゃあ僕たちも行こうかな」
このペアも、迷った末行く事にしたようです。



しばらくは快適な尾根コース 富士山のお鉢の幅を細くした感じです。

「西黒尾根は上級者コースって書いてあったけど、脅かしてんだな、せいぜい中級者コースだな」

「富士山の「お鉢めぐり」に比べたら空気が濃いから楽勝だな」

などと、舐めた事を言いながら歩いて行くと、だんだん道が狭くなり、尾根の幅も狭く、三角木馬の上を歩くような感じに。

右も左も断崖絶壁。落ちたら最後です。



「おおっとお~  危ない危ない!」
登りで体力を使い果たした膝は笑い、小さな石につまづいて、もう少しで奈落の底に落ちるところでした。

「Mちゃん、大丈夫か?」
「ちょと疲れて、立ちくらみがします」
2人ともボロボロですが、もう行くしかありません。

高所恐怖所の私は、下を見ると歩けなくなります
ゴールは はるか下に見えており、パラグライダーが有れば10分で降りられそう。
滑空比の悪い私のパラシュートでも行けそうです。

碁石のようにツルツルで滑る岩を歩いて行くと・・・・

「上級者ってこれのことか~・・・」

 



急角度、と言うか上から見るとほとんど垂直に見える岩場に、鎖が垂れています。
地図にも書いてあった「鎖場」

この区間、たいした距離では無いのに、ルートマップで2時間と書いてあるのは、こんな「鎖場」が続くおかげです。

  

 


後ろ向きになって、鎖をつかんで下りて行きます。
岩は、みんなが足をかけるので、磨き石のようにツルツル。
雨が降ると最悪でしょう。

(帰ってからネットで検索したら「日本3大急登」だそうです)

最近、懸垂もサボっているし、握力も無いので鎖が滑って落ちそうです。

体力が落ちたと言っていたMちゃんは、フルマラソン走ったアスリート。
「怖い」と言いながらも、確実に降りてきます。

いくつかの鎖場を降りて、少し広い場所で休憩。
振り返って見上げると、とんでもない岩山が続いています。
岩場に貼りつくように歩いているのは、さっきの男女ペアの様です。

「良く降りてきたな」「登りだったら、ここであきらめて帰るな」



「お疲れ様です」 例のペアが追い付いてきました。

「鎖場どうでした?」
「こわかったですぅ~」 女性も頑張ってました。

さあ 我々も汗が冷えないうちに、先に進みましょう

「さあMちゃん行くぞ」
立ち上がると・・・ 「あれっ?」 脚が言う事を聞きません。
すこし休んだので、腿と膝に力が入りません。

この先まだ、三角木馬の岩場や、鎖場が続くのに立ち上がるとふらついて、まっすぐ歩けません。

ふらついて滑落したら、救助ヘリコプター代 何百万円か?




「飛んで帰りたい・・・」
斜め下に、良い角度でゴールが見えています。

しかし、今日背負っているのは、いつものパラシュートでなく、カッパや防寒具、お昼のゴミが詰まった、タダのリュック。
滑空はできません。

「高所恐怖症なので・・・」と書きましたが、私の場合、飛べる気になって、「ついつい飛び込むのが怖い」という恐怖症。
誰かが後ろで「GO!」と言ったら、間違いなく飛んでいたでしょう。

飛び込みたくなる気持ちをひたすら我慢して、ようやく三角木馬の尾根が終わり、樹海の中に突入します。

頂上から登山口までの標高差は1200Mほど。
富士山だと5合目から9合目くらいの高度差になります。

高度計見るとまだ400Mは残ってます。
GPSで地図を見ると、急な岩場を鎖で降りるので、水平距離はほとんど減りません。



「あと、どれくらいですか?」
だいぶ疲れたMちゃんが聞いてきますが、
さっきから 「あと1時間」と同じ解答。

「お盆は 地獄の釜の蓋が開くんだそうです」と、
ついにMちゃんは、訳のわからない事を言い出しました。

樹海に入り、地獄の釜に吸い込まれるような湿った坂を延々と降りますが、なんの目印も無く、これが一体いつまで続くのやら。

「あと、どれくらいですかぁ~?」
「あと・・・まだ1時間・・・」
これでは、社長としての管理能力を疑われます。
Mちゃんは、お盆明けに会社に出てきてくれるでしょうか。


JRの清水トンネルを超えたあたりで、やっと看板が現れました。

『←土合 1時間・谷川岳頂上 3時間→』

「土合って駐車場ですかぁ?」
「いや違うよ、車停めたのはもっと上だから、あと30分かな」

ようやく先が見えてきました。目標の高圧線の鉄塔も見え、ゴールのロープウェイ駅のモーター音も聞こえてきました。

結局、目標タイム3時間10分のところ、4時間でゴール
今回はきつかったです。先月の富士山の方が慣れてるだけ、はるかに楽でした。



ゴールしたと言っても、自宅まで150キロの運転が待ってます。
せっかくの水上温泉なので、日帰り温泉で汗を流します。

風呂上りにビール飲んで、豪華な晩飯食べて泊まりたいのですが、今回は人妻のMちゃんが一緒なので、泊まる訳にはいきません。

ノンアルコールビール飲んで、頑張って運転します。

「簡単な天神平ルートとロープウェイで降りてたら、どうだったでしょうか?」
帰りの車で、Mちゃんが聞いてきました。

「そうだな、ルートは大混雑で前に進めず、ロープウェイも順番待ち。
景色が良い西黒尾根行けば良かったなと 今頃言ってたかもな」

「そうですね、チャレンジして良かったですね」

苦しかった谷川ですが、また行きたいです。
次は、当初計画していた、新潟側に抜ける縦走でしょうか。