脊柱管狭窄症で入院-2

第4章 点滴

     
ブロック注射の無い日は点滴を行います。
中身は、腰の神経に栄養を送る為、血管を拡張し、血行を良くする薬だそうです。

午前中は9時から12時までに1本。
午後は5時から8時までに1本。
入院中は腕に針を射したままで、ジョイント部分から交換する事になります。

「1日2本なら楽だな」 と思ったのも初日だけ。
じつはとんでもない点滴だったと気がつきます。

2日目になって点滴を行っていると、腕に妙な痛みを感じます。
「なんだろう?」 と自分の腕を見てビックリ。

手首付近の静脈から点滴していましたが、そこから上腕にかけて血管が赤く浮き上がっています。
まさに「静脈がここにあるぞ!」と主張しているようで、赤く腫れた血管をたどっていくと、
鎖骨付近まで痛みが走ります。

「先生!これはいったい何なんですか?」

もともとこの薬は血管を拡張する為のもの。
それが効き過ぎて、急激に血管が広がった為に、痛みがあるとの事。

痛いだけなら良いのですが、どう見ても正常ではありません。
「プッツン!」と いつ血管が切れるか心配になります。

さすがに看護師さんも心配になったようで、5日目から左手で行っていた点滴を右手に変えました。
普通は1週間程度で変えるそうですが、早めの交換です。


点滴の針は夜も腕に刺さったまま。

「折れたらどうするんですか?」 と聞いてみたところ、
「やわらかいので折れません」との事。

そうは言っても、気持ちの良いものではありません。
寝る時には常に腕を気にして寝ることになります。

第5章 仕事しなくちゃ    
         
  
何と言っても自営業の身。
仕事しなきゃ生活できないし、なんの保証もありません。

2週間の予定で入院なので その間の入院費はもちろんの事、2週間分の営業利益もマイナス。
なかなか苦しいです。

そんな訳で、せめてここで仕事しようと個室を奮発した訳ですが、それだって1日8,400円。
元が取れるように頑張ります。



まず、6時に起床。
軽く体をほぐし、朝食後から仕事にかかります。

一応病室なので携帯電話は禁止されましたが、パソコン持込は可能だったので、堂々と広げます。
仕事内容は建築の設計。

がんばってPCで図面書き。
それにしてもこのPCが有るおかげで、仕事は随分楽になりました。
こんな感じで何処でも仕事できるなら、旅行にも行けるなあと考えます。

電話も病室に付いているので、打ち合わせもバッチリ。
非通知でかければ、まさか相手はここが病室だとは気が付きません。

今日のために、FAXもPCに転送できるように契約。
もちろんこちらのPCからも送れるので便利です。



入院していると遊びの誘惑が無く、食事も規則正しいので、仕事がはかどります。
溜まっていた図面をドンドン書き上げます。

「カラーボックス買ってくれば良かった」
と思うほど、仕事の資料も充実。



ドクターの回診時間には、ちょっと遠慮して仕事中断。
終われば仕事再開。

昼食も上げ膳据え膳。
コンビニに買いに行く手間も無く、テレビ見ながらノンビリ食事。

午後は軽く散歩して、仕事。

夕方にはかなりの仕事が終わり、メールとFAXで送付。
ずっとここで仕事したいくらいです。

高名な作家先生は、高級旅館や高級ホテルに缶詰になり、執筆活動を行うそうですが
病院に缶詰も悪くありません。

第6章 とりあえず退院



ブロック注射は月曜と木曜。
注射が無い日は点滴のみですが、起床から朝食までと、12時から17時までは、点滴もありません。
この時間を利用して、病院の外を散歩します。

病院の駐車場を大きく回ると、徒歩10分。
朝食前に1周。 昼食後に1周。
1日20分は歩けるようになりました。

今までは、1回5分でアウトでしたが、これでも大きな進歩です。
20分歩ければ、とりあえず仕事ができそうなので、退院を決意。

2週間の入院で 4回のブロック注射と、たっぷりの点滴。
そして何よりも、たっぷりの休息がとれたのが良かったかも。

これからの仕事の事を考えると、気が重くなりますが、とりあえずはおめでたい退院です。



退院当日は朝から、ビクビクで請求書を待ちます。

「請求金額 30万円」

何といっても、差額ベッド代がかさみました。
これだけ有れば、相当豪遊できたはず。

おまけに2週間仕事サボったので、来月の入金は半減。
自営業は辛いです。

これからは、痛みを我慢して歩くように頑張るしかありません。
「手術も視野に入れてね」とドクターからも言われてます。

手術するなら、また、ご飯の美味しいこの病院でしょう。
部屋も気に入ったこの部屋でしょう。

戻って来るのはいつになるのか・・・・・
「お世話になりました、また戻ってきます!」

帰りのナースステーションでの挨拶でした。