10回目 2012年6月30日


2012年6月30日 吉田口
天候  晴れ  気温 3度 (登頂時) 風 10ノット 
登り  6時間00分
下り  3時間30分 




今年も行ってきました富士山。これで10回目です
今年は山開きを待たず、1日早い6/30早朝に登山開始。
梅雨の谷間で、天気は良かったものの、山開き前と言うことで、 それなりのアクシデントもありそうです。
今回の課題

1. 山開き前なので、8合目以上の山小屋は閉まっており、 トイレが無いので注意。

2. 迷った末、登山口は「吉田ルート」に決定。  
  (前日のニュースで、とりあえず登山道の除雪が終わった模様)

3. ここ数日間の頂上の気温は、5時ごろまでマイナス。 そのため普段より少し遅い、2時スタートとする。

4. 天気予報は曇りですが、3000m以上は雲の上に出ると判断。

5. 行程は7時間のペースとする。


金曜の夕方、仕事が終わって急いで富士スバルラインへ。
料金所で、2000円を払うと、窓口のオジサンが、

「21時までに出て下さい」
「・・・?・・・」
「夜間は閉鎖します」


そうなんです。6月はまだ24時間営業じゃないんです。
「は~い」と答えながら 「まいったな~」「まあ良いっか」

霧の中5合目に向かうと、すでに売店は閉店。 駐車場には車が数台。
停まってる車は同じく登山者なのか、21時までに降りる気はなさそうです。

それにしても5合目は完全に雲の中。 明日は上が晴れることを願います。

仮眠の準備をしていると、パトランプを点けた警備車が回ってきました。
今更帰れと言われても困るので、照明を消して身を隠すことに。
(この時は気が付きませんでしたが、「夜間は人も車も5合目に留まれません」の看板が有りました)



1時に目覚ましが鳴るまで爆睡。
久しぶりにオールナイトニッポンを聞いたら、AKBが担当でした。
空を見上げると満点の星。さあスタートです。

服は迷いましたが、上はTシャツ2枚にゴアテックスのカッパ。 下は速乾ズボン。
寒そうですが、内部から暑くなるのでこれで十分。 3000m越えて寒くなるころには、太陽が出ているはず。

2時過ぎに5合目をスタート。 トボトボゆっくり歩きます。

6合目を通過し、予定通り4時前に岩場の下に到着。
少しずつ明るくなるので、岩場を登るにはこの時間以降がベスト。

さっき1組に追い越されただけで、その他全く人影なし。
シーズンならこの岩場に、アリのように登山者が群がるのですが。


鳥居荘前でご来光

山肌が赤く染まります


7合目の「鳥居荘」でご来光を迎えます。 思ったより雲は低く、雲海から太陽が昇ってきます。

山を振り返ると、一瞬山肌が赤く染まります。
「レッド・プラネットだ」 昔見た火星探検のSF映画を思い出します。

ユックリのペースが幸いして、ほとんど汗もかかず休憩もせず、 3時間で中間点の「太子館」へ到着。
このあたりから、山肌には雪が残っています。 雪を見て気分が盛り上がり、上へ上へと高度をかせぎます。



今回も6合目の葛藤がありました。

「来なきゃ良かった、家でビール飲んでDVDでも見てりゃ良かった」
「あと5時間も歩くのか、帰るなら今だな」 ってやつです。

毎度の事なので、もう一人の自分が無視。
この葛藤が7合目に来ると、諦めがつくのかピタッと無くなるのが不思議です。

ニュースの通り除雪が終わったらしく、登山道は綺麗に見えてます。
が、雪解け水で岩が滑るので要注意。



8合5勺で須走ルートと合流すると、先が見えてきます。 見上げると9合目の鳥居と、
その上にかすかに頂上の鳥居が見えます。
ここからはペースが落ちるだろうから、「あと2時間かな」 ここまで4時間半です。

9合目の鳥居をくぐり、深呼吸を繰り返し最後の岩場を登ります。 「今回は苦しくない・・・」
仮眠で爆睡したのが良かったのか、5月から秩父を歩いたのが良かったのか。ジグザグの岩場を登るので、
何度も何度も往復します。

北に向かうときは向かい風で寒いので一気に登り、南に向かう時に 岩場の陰で立ち止まって深呼吸。

同じことの繰り返しで、本当に嫌になるのですが、確実に上に向かっています。
これが仕事なら、直前でゴールが遠くなったり、道を間違えたり、突然邪魔が入ったりするのですが、富士山はそんなことはありません。

自分が頑張れば頑張っただけ、必ず上に進めます。
「一歩ず~つ、前え~ 進むおお~」 と言う NHKドキュメンタリーの テーマ曲が頭に浮かびます。

鳥居をくぐれば頂上

人影の無い頂上



数え切れ無いほどジグザグを繰り返すと、突然目の前に、狛犬と鳥居が現れました。
「頂上だ!」 いつもなら写真撮影で渋滞するこの場所も、今回は貸切状態。

ということはシャッター押してくれる人もおらず、担いできた三脚立てて、記念撮影。
いつも、写真の順番待ちになる頂上の標識付近も誰もおらず、貸切で記念撮影

今回は予定より早く、6時間で登頂。 気分爽快。 火口周りには、まだ雪が残っていますが、この天気で回らないのは損。
さあ「お鉢めぐり」だ。





吉田口から見る剣ヶ峰は、雪が多そうです。
「行くか、帰るか?」 と迷う余地もなく、念のために持ってきたアイゼンが背中を押して、一気に進みます。

吉田口頂上のベンチにいたのは5人くらい。 富士宮口に回ると、10人くらいが、休憩しています。

神社も鳥居も、まだまだ雪に埋もれています。
剣ヶ峰までのルートも雪。 この時間風もなく、太陽の照り返しで顔が焼けるのが解ります。
サングラスを取ると、目を開けてられません。



最後の坂を上り、日本最高点へ。
毎回同じ服で同じポーズで写真を撮るので、あとで見るといつの写真か解らなくなりますね。
ここから裏を回って吉田口に帰る「お鉢めぐり」 さすがに、斜面に雪が多いので、アイゼンを付けます。 (本格的なアイゼンでなく軽アイゼン)

が、雪はシャーベットになっており、アイゼンは意味がなく、 ミニスキーでも持って来れば良かったかな。
まあ、こんな道は、坂道を30分くらい雪道歩いて小学校に通った、 秋田時代の経験が役に立ちます。
それにしても、かなりの角度で右下は火口。火口見学は、またの機会にしたいものです。



雪の道を歩き、富士山を1周して登ってきた吉田口へ。
先ほどより人が増え、登山者は20人くらいに増えています。 時計は10時半。 そろそろ下山しましょう。

下山道は登山道と異なって、ブルドーザーが走れるような広い道。
「さあ駆け降りるぞ~ ・・・・あれ?」 下山口には進入禁止のロープが。

「残雪のため、立ち入り禁止?」  「除雪終わるまで、頂上から下りれない?」 
そんな訳ではありません。 普通なら一方通行の登山道を、逆走することになります。

「普段はおおっぴらに下れないから、良い経験だな」

ところが、これがとんでもないことになったのです。

富士宮口の鳥居もまだ雪に埋もれてます

剣が峰までは雪

日本一の石碑より、奥の岩場が高いんです。

測候所も雪



登山道を逆走して下りていくと、大勢の登山者とすれ違います。
そう言えば、昨夜の21時に、いったん閉鎖された有料道路は、今朝の未明に開門し、 登山者の車が大勢登ってきたはず。
駐車場で支度して登ってくると、今くらいの時間になるんでしょう。
これから登山者も増えそうです。

9合5勺のあたりでは、登山者は今にも死にそうな表情で登ってきます。
すれ違いでぶつからない様に、狭い岩場では道を譲ります。

「こんちわ-!」と、すでに頂上に立った優越感の、上から目線で声をかけると
「・・・んじゃ~・・・」 と声にならない声が返ってきます。

7合目から8合目付近は、登る時に苦労した岩場ですが、これは下りのほうが怖い。
足を滑らせると、ゴロゴロ転がって、骨折は必至です。

横を見ると、残雪を滑り下りる下山者が。 うらやましいですが、ところどころ岩肌が顔を出しているので、大変危険です。



下から雲が湧き上がってきました。 富士山は午後から天気が悪くなるので、午前中に下山を始めるのがベスト。

大勢の登山者をかわしながら下を見ると、アリの列のような登山者の集団が。
これはお昼くらいに5合目を出た、バスツアーの集団です。

狭い岩場で、この集団とすれ違うのはかなりの無理があります。
彼らが来る前に、岩場を急いで下りることにしなければ。



ガイドさんの引率で、30人~50人くらいのグループが、おそろいのバッチや リボンを着けて歩いています。

5組6組7組・・・ 10組以上は数える気もしませんでした。
当分の間、下山道は閉鎖だそうで、日曜日の混雑は想像しただけで恐ろしくなります。

予想外に岩場を下りる事となり、すれ違いで何度も立ち止まって、5合目に着いたのは、3時間半後の午後2時すぎ。

下山道を駆け降りれば、2時間の予定だったのですが、倍近くかかりました。
5合目は大勢の観光客で賑わっています。

例によって、駐車場でパンツ一丁になって水をかぶり、帰る支度をします。 振り返ると、一瞬雲が切れたようで、雪の残る富士山がくっきりと。

 「さっきのバスツアーは山小屋で仮眠して、明日の日の出のころに登頂かな」
 「すれ違った、タンクトップ半パンの外人女性は、どこまで登ったのかな」
 「今回は天気もコースも最高だった」
 「早く帰って仕事しなきゃ」

いろんな思いが頭を巡りま
本当は土曜の夜から登るつもりでしたが、日曜日に仕事が入ってしまい、1日前倒しで登頂。
最初は仕事を恨んだのですが、これが幸いしたようです。 次回は富士宮ルートか?
 
「お腹すいた~」 とりあえず飯かな。