フライトシミュレーター

フライトシミュレーターの世界



本物の飛行機は1時間4万円。 しかしパソコンのシミュレーターはいくらやっても電気代のみ。
飛べないときは「FS」で自分をごまかします。

しかし「FS」はただ安いだけではありません。
絶対に乗れない飛行機に乗れ。絶対に行けない場所に行くことが出来ます。

石垣空港の滑走路


初めてB-737に乗って石垣空港に降りたとき、接地したらすぐ機体は急ブレーキ。
シートから体が滑り落ちそうになりました。

それでもUターンするときにチラリと見えたエンドはすぐそこ。
たった1,500mのランウェイ。B-737にとっては、あまりにも短すぎます。

そこで自分でも挑戦しました。 風は無風に設定します。自信が無いので視界も良好に設定、雲はありません。
アプローチは135ノット。ちなみにセスナ172は半分の65ノット。

ランウェイ手前ギリギリをねらいます。 迫ってくるランウェイの見え方は600mの本田エアポートと変わりません。
これがエアラインの飛びかう空港とは思えません。

接地したらすぐにリバース、フルブレーキ。
それでもエンドがアッと言う間に接近。なんとかギリギリで止まってUターン。

無風設定なので、そのまま反対向きで離陸に挑戦します。
ブレーキを踏んでフルパワー。すかさずパッとブレーキリリース。エンドがどんどん近づきますが、まだVRに達しません。
エンドギリギリで離陸。

FSなのに冷や汗が出てきます。 実機のパイロットの緊張は相当なものでしょう。
石垣島は台風の通り道。 風の強い中、こんな短いランウェイに降ろすパイロットは神業です。

レインボーブリッジをくぐる

 

数年前。ジャンボをハイジャックした男が操縦席に入り、
「レインボーブリッジの下をくぐれ」と言った事件がありました。

犯人はフライトシミュレーターマニア。
自宅のパソコンで練習したから、俺はジャンボを飛ばせるんだと言ったそうで。

実はこの事件の直後、犯人の名前が発表されなかった為、私のところには複数の友人から電話がありました。
「家にいる? じゃあ大丈夫だ。犯人はお前じゃなかったんだ」と言った内容でした。

以前からFSやってると言っていた為に、どうやら皆に疑われていたようです。
最近はシーナリーも複雑になり、実写と変わらない映像が楽しめます。

そこで、不謹慎とは思いながらもう一度挑戦してみました。
重いジャンボでは急旋回は不可能。

遠くからレインボーブリッジ目指して緩やかに直線降下。
フラップを少し下げ、180ノットでアプローチ。

ビルの屋上をかすめ、海上に出たら目いっぱい高度を下げます。
垂直尾翼が気になりますが、意外に余裕がありました。

背中をムズムズさせて通過したら一気に「フルパワー!」高度を取って前方のビル郡をかわします。
こんな事が出来るのもパソコンの中だけ。 実際に事件は起こさないのでご安心を。

ジャンプラン



「ジャンプラン!」
 私のハンドルネームにもなっているセリフですが、これはスカイダイビングで、飛行機が最終進入に入った時にいう言葉です。

飛行機は C-208 キャラバン。
高度は12,500ft。
約4,000m ターゲットの本田飛行場を目指して南からアプローチ。

最近はGPSがあるので簡単ですが、昔はスカイダイバーがドアから顔を出して下を見て、
パイロットに「5度右ーイ!」と指で指示を出してました。
合図を見たパイロットも機体を滑らさないように注意深く旋回してくれます。

この映像はフライトシミュレーターの画面。
ここまでリアルに再現できます。

航空写真を元に作ったソフトだそうで、まったく驚きです。
実際はこんなに晴れることはまれで、途中には邪魔な雲が浮いており、GPSの無い時代は誘導が大変でした。

スポッター(パイロットに指示を出す責任者)は飛行場周辺の写真を熟知し、
一瞬でもどこかの目印が見えたら、ジグソーパズルのように、どこのピースか当てる技術が必要でした。

ここまで上がると冬場は西風が強く、30度くらい風上に機首を振って飛ぶこともあります。
冬場の気温は 上空12,500ftでは、マイナス20度。 風速60m/秒では、体感温度はいかほどでしょう。

飛行機がこの位置に来ると、機内では緊張顔のスカイダイバーが飛び出す準備を整えています。
「5秒前ー!」 気合が入ります。

「3、2、1、カットー」 
ポイントに来るとパイロットはエンジンをアイドルまで絞ります。

エンジンを絞らないとプロペラの後流が凄く、飛び出すことが難しくなるからです。
スカイダイバーは12,500ftから、パラシュートを開く3,000ftまで、約1分間のフリーフォールを楽しみます。

B24を撃墜



たまにはコンバットFSで空中戦もやってみます。

山岳地帯を低空で逃げるB-24をゼロ戦で追跡します。
ゼロ戦が優速ですが、B-24もなかなか速く、簡単には追いつけません。

無用心にまっすぐ近づくと、敵の尾部銃座からバリバリ撃たれます。
一旦高度を取って急降下で速度をつけて接近。 照準器いっぱいに広がった敵機の翼を狙って20ミリ機銃を撃ち込みます。

「命中!」
 速度差があるので一旦離脱し振り返ると、燃料タンクを撃ち抜かれた敵機は翼から火を噴いて落ちていきます。
敵の攻撃を避け、速度差をつけるので攻撃のチャンスは一瞬。

最後はラダーで機軸をむりやり合わせて撃つだけ。
敵の攻撃も熾烈で、自機に敵弾が当たる音がガンガン響きます。 本当なら怖いです。

敵空母を雷撃


飛行機は日本海軍の「97式艦上攻撃機」
超低空で海面すれすれを這い、敵空母に肉薄。

実はここまで来るのが大変。これ以前に撃ち落されて何回も挑戦しなおしました。
毎回良い所まで来ると対空砲火を浴びて海面に突っ込んでしまいます。

敵機の追尾を振り切って、護衛艦の対空砲火に耐え、 絶好の射点に到達。
敵空母も回頭して逃げるので、真横に来るのも大変。
最後はエルロンとラダーを逆に使って横滑りさせて、微調整しながら射点をキープ。

「テーィ!」
この位置で魚雷を投下できれば命中間違いなし。

本当ならこのまま低空で逃げ切りを図るところですが、ゲームなので魚雷の行き先が気になります。
高度を取って振り返ると白い雷跡が空母にグングン向かって行きます。

空母も回頭し、角度がどんどん開いていきます。
「まずい、かわされるか?」
「ボーン!」 音は聞こえませんが、ギリギリのところで水柱が立ちました。

敵空母ヨークタウンは大破です。
しかし、喜んでいる場合ではありません。

ここからまた反対側の護衛艦を避け、敵機に見つからないように味方の空母まで帰らなければなりません。
フルパワーで飛んだので燃料の減りが激しいです。
無茶苦茶に旋回して攻撃したので現在位置をロストしてます。

小隊長の設定なので、後ろには生き残った味方機がついてきます。
どっちに飛べば味方空母が待っているのか・・・・。 泣きたくなります。

香港カーブ


初めて香港に行った時。着陸寸前に機体は大きく右旋回。エンジン音もアップ。
右の窓には中高層のビル郡が迫り、右の翼端は洗濯物を引っかけそうです。

「墜落する!」と感じた私はおもわず膝の上に置いていた革ジャンを着込みました。
炎上した時の事を考えたからです。

しかし機体は何事も無かったように着陸。
これが有名な「香港カーブ」でした。

磁方位88度で進入した機は、直前で磁方位136度まで48度もひねります。
この間に高度処理もあり速度も一定に保つ為、大変難しい操縦になります。

そこでやってみました。 速度を140ノットに保ち88度で進入。
正面に見えるチェカーボードを左足で蹴る様に右旋回。

高度も上手く処理しPAPIが白白赤赤になるように調整。
旋回が終わったらランウェイにピッタリとアラインできれば合格。

大きな飛行機では、なかなか難しい操縦になります。
こんな「啓徳空港」ですが数年前に新空港に移転してしまいました。もう一度乗ってみたかった~。

ルクラに着陸


ネパール。ヒマラヤの入り口に「ルクラ」という飛行場があります。
標高は 9,000ft。 この高さだけでも恐ろしいのに、なんとランウェイは行き止まり。

右旋回でファイナルに入りますが、ミスしてもゴーアラウンドは出来ません。前面は壁です。
この高度ではセスナ172はアップアップ。 今回は「バロン」で挑戦。

フラップ下げて脚出して緊張のアプローチ。 壁が怖いので低めに進入。
実際は風が巻いており手前の谷底に吸い込まれるかもしれません。

接地したらフルブレーキ。
本物の飛行場は手前の崖側に傾斜しており、止まりやすいはずです。

むかし「紫電改のタカ」という漫画で、トンネルになった秘密基地がありましたが、そんな感じです。
こんな飛行場が実在するとは驚き。

定期便はツインオッターあたりが飛ぶそうです。
離陸は崖に向かって下り坂のランウェイをフルパワー。エンジンが故障しないことを祈るだけです。

本田エアポートでアクロ

航空ショーでアクロバットを見て感動し、家に帰って真似してみました。
機体はエクストラ。セスナ172とは比べ物にならないパワーです。

尾輪式なので離陸から大変。 前が見えずまっすぐ進めません。
「スモークNOW!」ランウェイにフルパワーでアプローチ。操縦桿を引いてループ。

操縦桿の引きが一定だと、スモークは縦長の楕円になってしまいます。
方向維持も大事。グルッと回ると、とんでもない所に出てしまいます。

着陸も難しい機体です。ファイナルでは自分のエンジンに隠れてランウェイが見えません。
1回目はゴーアラウンド。2回目でなんとかバウンドしながらの接地。

エンドが近づいてあわててブレーキ踏んだら、つんのめってひっくり返りました。