Acte Kobe 2000 報告

渡航報告会

2000年3月26日 CAP HOUSE 2:00〜

マルセイユのラ・フリッシュで


参加者:杉山、稲見、小島、東野、角、佐久間、ウィヤンタリ、森、進藤、中島、中川、石上、林、下田、マキノ 、中西すみこ、龍神、内村、他(AKJメンバー以外)数名


中川 では、今回の感想を渡航メンバーから。

稲見 どんな人がいるかわからなかったが、無理もせず普通に、こちらにいるのと同じようなかかわり方でセッションできた。言葉がわからなくても、おもしろかった。初日は腹の探りあいのようなところがあったが、そのあとはどんどん出していけました。スイスでは真剣勝負。マルセイユでは、あまりでかい音は出せなかったかな。

小島 僕は2回目ということで、自分のペースで好きなことができた。向こうに行ってから、ベーシスト6人それぞれのソロの音をとり、加工しようときめて、それを実行しました。スイスでのコンサートもおもしろかったが、こっちは去年ほどのインパクトはなかった。画一 的で、即興の方向が一方向に向いていた。スイスのメンバーは、CDなんか聴かせてもらうと、もっとおもしろい音を出して
いるから、もっとできたなと思う。全体的にはすごく充実していた。

東野 ボクはとりあえず来年につなげるものとして50メートルの和紙に線を引く、というのをした。それが今回の僕にとってのメインでした。あとは、楽しみでいきました。今(その和紙を)持ってきているので、もって帰って、どんなものでもいいから作ってきてくださいね。最後にスイスで角さんと同じ舞台に立つことになった。どうしよう、思うたね。あれは楽しみでした。苦しかったけど。はじめのとっかかり、どう出るかが苦しかったけど、やってたら、楽しかったんですよ。自分自身、こんなこともやれるんか、と思った。

角  おもしろかったね。マルセイユに先立って、ぼくはリヨンにいきました。去年もマルセイユのあとベルンに行ってハンスとやったが、今回もワークショップをやった。その日やったことは、次の日ちがう、その次の日もちがう。そこから生まれてくるもの。それぞれが独立したものをもちながら、有機的に関わって、新しいものを作っていく。リヨンの会場ではパンフも作って、しっかりやっていた。3日間、日に25人くらいのお客さんがきていた。

中川 角さんが、このなかで、なんか一番得してるよね。ベルンでは脱いじゃうし。

角  ベルンでは、女の子(マルグリット:パーカッション)と二人でやるんだから、身体を全部彼女にあずけてもいいじゃないか、と。そういえば、ベルンに見にきていたフィリピンの人から、フィリピンでやる夏のフェスティバルへのオファーもありました。

佐久間 個人的には得るものが多かった。今回は自分であらかじめやることを決めていったが、次回は向こうの人と共同でやりたい。即興でなく、何かつくっていってとか、仕込んでおいて。即興が苦手な人もいるが、東野さんのように新しいものを発見することもあるということで、どんどんいろんな人を前に押し出していこう。

ウィヤンタリ 一緒に行けて、感謝しています。最初は憧れのフランスがあまり汚いのでショックを受けたが、芸術家は与えられた環境の中で作業をしなければならないということで理解しました。ベルンに移動すると、そこはすごくきれいで。マルグリットさん、小島さんとやったのは成功だったと思う。いい経験でした。ただ音楽については、聴いていて、モノトーンで似たような感じがしたので、もっといろんな展開があった方がよかった。

森  今回いってみて、むこうの体制と来年のこちら側の体制があまりにもちがうので心配。言葉も環境もちがうところで、いろんなことを感じることができてよかった。お茶も、みんなに助けてもらって何とかできた。意外とみんな飲んでくれてよかった。みんなのを聴きながら、今度は演奏したいな、と思ったが、ボニみたいに「聴かない、見ない」と決めて、まかないだけに徹するのも、かっこいいなと思った。

東野 ボクも来年、あれやろ、おもてんねん。(笑)

進藤 私は後半は風邪でほとんどポーッとしてて。記録もまかせっきりになってしまいましたが。ライブペインティングね、はじめて見たんですよ。みんなが集まってやるのはわかるけど、そこに美は存在するのか、と思いました。来年は10日間あるのだから、素敵な 吹きものをするジョルジュさんの本来の演奏を聴きたい。それと、まかないが大変。今からメニューを考えてしまう。鍋のレンタル
とか。15人でも大変だが40人きたら・・・がんばらなくちゃ。でも、「同じ釜のメシ」って古い言葉だけど、ホントに親しみが出てくる。あと、来年はワークのない、自由時間をぜひとりたい。

中島  空港でたくさんの人が出迎えてくれて、去年行った組が再会の喜びを交わしているのをみて、あ、ええなあ、と思いました。個人的にはそれぞれのメンバーとしゃべりながら写真をとっていった。その人のルーツをきいたりしていると、ロマンティックな気分になる。コンサートについては、自分がこのステージをもう一回見たいかどうかを基準に見ていった。見る側にとっては、ベルンの会場はよかった。やる側にはGMEMの方がいいのかな。フラ・クレ・ソルについては、長老側は気にしていたが、若い人はそれほど気にして いないように見えた。来年、鎌仲さんに手伝ってくれといわれているのがあって、クニコウとコリーヌといっしょに、フラジリテをテーマに作品づくりをしていこうとしています。3つのテーマのうち1つでもいいからテーマに使っていくと、見る方にはわかりやすくなる。今回のコラボレーションは、やる方は楽しめただろうが、見る方にも楽しみが伝わるものが欲しい。おもしろかったのは、映画でみたとおり、ぎゅうぎゅうに駐車中の車は前後の車にバンパーをぶつけて出る、というのをバスティアンの車で実際に体験したこと。あと地下鉄で中学生くらいの女の子に乗り換えの必要がないのに、乗り換えろといわれて。道をきくと嘘をつく、というのも、聞いてはいたが、実際に体験できておもしろかった。

中川 全体としては楽しかった。第一にバールにすごく感謝。奥さんの手術があったのに、がんばって世話をしてくれた。しかし、バールは否定していたが、フランス側はバールのカリスマ性にずいぶん依拠していると思った。AKJは有機的に、自発的にやれたらいいなあと思ってみていた。基本的姿勢は愛情だと思う。作品のレベルをどうするかということ以上に。バールが最初に神戸市役所に行っ
た時のようなフレッシュな気持ちを忘れないでいたい。ベルンも、これから少し動きがでてくればいいなと思う。個人的には去年やったのと同じ。お金を払って見に行くレベルではない。あそこではインド音楽はできない。やっていると学芸会みたいになる。来年やるならボニ・ファミリーバンド、フランスベース6人バンドを、ちゃんとしたホールでできたらいいと思う。来年は40人。県、市、企業などにあたる必要ある。

杉山 CAP HOUSEのこともあって、私は場所にすごく興味があった。ラ・フリッシュやダンプツェントラーレをみて、ああ、いいなと思った。ベルンはとくにかっこいい。こんな場所があると、もっと遊べるなと思った。あと、私はもっと個人を見たかった。私自身も個人として見せる。みんなが即興になるのは危険で、こわい。彼らがやってきた時、どういう人が関わっていくのかが疑問だ。いろんな糸口や工夫が必要になってくる。

石上 幸せな気分で帰ってきました。最初はひとつの作品をつくろうと考えていたが、着いてみたらとんでしまって、いかに多くの人と接するかになっていた。マルセイユではこもって集中できた。残念だったのは、去年会った人との交流が深められず(ボニなど)、そのかわり、新しいメンバーと交流できた。むこうは場所がすごい。日本では?模索が必要だと思った。

林 私は、即興ばかりでなく、古典ものもきちんと見せたいし、見せてほしい。セッションばかりでなく、きちんと自分の持てるものを見せる場が必要だと思う。ベルンでお客さんにきいたら「(中川さんの)横笛がすごくよかった」といっていた。(中川 口琴だって、すごくいいっていっていわれたよ(笑))個人的にはアラン・パパローンから、なにか物語をつくってくれといわれている。それにあわせて彼が来年までに絵を描いてくれるとのこと。自分にとっても新しい試みで、楽しみたいと思う。


このあと、下田より渡航期間中の出来事の報告、下田がジーベックを離れることの報告、CAP HOUSEのこと、来年のホームステイの可能性などについて話が続く。宿や研修施設については、各自情報を集めること、と中川から指示が出る。

鎌仲(メールにて)
今回は私はかつてないほど撮影するということを楽しませていただきました。仕事でもなくただただ自分の楽しみだけに撮影しました。申し訳ない。フランスのメンバーだけでなく神戸のメンバーも名前だけしか知らない人がいたのでメンバーを知るとても良い機会となりました。途中で旅芸人珍道中と名付けましたが、あの濃いフランス人の中にまじってもひけをとらない個性的なメンバーたちとの旅は最高におもろかったです。Acte Kobeがわたしたちに開いてくれた出会いの可能性はすごいものがあるぞうという感じ。個々の活動はそれぞれが経済的に自立してやっていけばいいけれど一緒にイベントをやる時の経済的な支援が日本はすこし足りないかなという印象を受けました。まあフランス以外だってそんなにアート支援が素晴らしいというところはあまりありませんが。ただ活動の場みたいなものを作るのはフランスはうまいなあということをラ・フリッシュを見て思った。多層的なアーティスト・コミュニティができていると言う感じ。


back AK2000報告書topへ next