6 グレタ報道の真実は日本人には知らされていない
グレタ騒動もCO2 説も国連とマスコミが作ったお話
「グレタ騒動でいったい誰が儲けているか」の問いに、日本 の報道は全く答えていない
―国内外の新聞報道の調査結果は、丸山らの最新刊本「地球温暖化CO2 説は世紀の大ウソ」からとよく一致―
6.1 新聞報道見出しの比較一覧
表1 2019年9月の国内新聞各社のグレタさんの報道の見出し
表2 ロシアの新聞やウエブにおけるグレタの報道
(2019.9.20-10.1)
6.2 ロシア紙が報じた 2019 年 9 月のグレタ報道内容
私は、モスクワに旅行した友人からたまたまもらった新聞「ラッシース
カヤ・ガジエッタ」9 月 20 日(2019)の 8 面の論評欄に
「グレタの訪問:なぜ 16 歳のスウェーデンの女子高生が
ヨーロッパの若者の『環境保護の聖人像』となったか」
という記事を見つけ、日本の新聞の報じていないことばかりなのに大変
ショックを受けました。記事を書いているのは、エフゲニー・シェスタコ
フ 1966 年モスクワ生まれ、イズベスチャの編集者を経て、2005 年より国際
部編集者という方です。
同紙のインターネットに出ているもう一つの記事
「 魔力につかれたグレタ 」(10 月 1 日)
と合わせて、ロシアの報道の内容の概要を紹介すると以下のとお
りです。
①「気候のために学校ストライキ」というプラカードを持って、スウェ
ーデン議会のわきに座り込んだ自閉症で病む 15 歳のグレタ・トゥーンベル
クが、気候保護ソーシャルネットワークの創設者の投資家に見いだされた
のは 1 年前の 8 月でした。
その後、「2050 年までにエネルギー消費を 4 分の 1 に減らすか、再生可能
エネルギー源に 100%切り替える」というスローガンで、同世代の若者に共
感を呼び、彼女を教祖とするセクトが出来ました。
同時にこれを利用しようとする政治家により急速に広げられてきました。
②環境運動への政治家の介入の背景には、1974 年にフランスで起きた「エ
コフェミニズム」に関連しております。女性の方が気候変動をはるかに心
配していること、また、欧州議会の選挙で EELV 環境党への女性の投票が男
性の二倍であったことなのがあります。
政治家は、スウェーデン少女の教祖を支えることが、若者の有権者の支持
が得られる絶好の機会だと分かったのです。
③グレタは決して貧乏ではないということ。彼女がヨーロッパからニュー
ヨークに行くのに使ったヨットの価格は 500 万ドルであり、二週間の航海に
は少なくとも 4 万ドルはかかっているそうです。この資金がどこから出てい
るかははっきりしませんが、モナコ公国の名も挙がっています。
④グレタは、ビーガン(絶対菜食主義者)であり、両親や妹に肉、魚、乳
製品を食べることを禁じ、親類にも強制しています。また、飛行機を使
うことも禁止しました。スウェーデンの若者はこの種の家庭内の暴君支配
を当たり前のことだと考えているそうです。母親はこの娘を超能力者と呼
んでいます。
⑤グレタは、可燃性燃料を利用した交通機関は利用しません。フランスの
ル・モンドは、タイなどの海外での休暇についてのスウェーデン人による
公開討論は禁止されているそうです。グレタの影響で、飛行機がもたらす
環境破壊に抵抗する運動が国内で勢いを得ているからです。
⑥グレタを崇拝する人は、グレタを新しいイデオロギーの表明者だと言っ
てます。でも、誇大広告や PR 利益のために勉強を放棄した少女のスピーチ
にだれが興味を持つでしょうか?
「彼女のスピーチの多くは、極端な原始 主義、科学的アプローチの兆候
が欠如している特徴がありますが、同時に 彼らは集団的精神病の形成に
必要な高い感受性を持っている」と書かれています。
さらに、グレタの、「もっと科学者に耳を傾け、科学を中心に団結して
くださいという呼びかけは、その成果にについて教祖自身は全く理解でき
ていないのですから相当皮肉です」とも書いています。
フランスのフィガロ紙は、サピエンス研究所の会長のオリビエ・バボが、
グレタを〝感情が理性よりも優先される国の象徴″と呼んでいることを紹
介しています。
⑦グレタは、「家は燃えている」、「パニックなってほしい」と繰り返し、
国連総会でトランプ米大統領を攻撃しています。カナダのトルドー首相は
戦わずして降伏し、20 億本の植樹を約束しました。
フランスの知識人は率直に語っており、ゴンクール賞を受賞した 84 才の
バーナード・ビアは「10 代だったら、私にも恐ろしい恐怖を引き起こしたと
想像できます」と言っております。
そして、60 才の哲学者ミッシェル・オンフレはスウェーデンの教祖の信
奉者を「大人たちにより接木されたカテキズム(教理問答書)をとなえる羊
の群れ」と呼んでいます。
⑧グレタの批判は、彼女の見解から外観まですべて危険を招きます。イタ
リアのクラブ「グロッセート」のユースチームのコーチは、少女を非難す
る発言をしたことで解雇されました。米テレビ局でフォックスニュースに
出演して、16 歳の少女の知的能力を疑った専門家は、世論の圧力を受けて
番組への参加から除外されました。
⑨授業を放棄して環境活動をすることは、グレタにとっては、それによっ
て収入が得られるわけですからまったく問題ありません。しかし、グレタ
を見習って抗議に参加する同世代の仲間達にとっては、貴重な勉強のため
の時間を失うだけで、彼らに未来はありません。
⑩グレタがどんな効用をもたらしたかについて、Deutshe Welle は、一番大
きな利点は若者を政治に巻き込むという点であるとみています。野党は、
知識経験が少なく容易に暗示や誘導にかかりやすい若者たちを、非民主的
な体制の打倒のために利用するよい機会になります。
ドイツのメルケル首相は、「ドイツ中の子供たちが外部から影響を受けずに何年も
すごした後に、突然この運(グレタの〝未来のない金曜日″運動)に参加
すべきだと考え付いたとは想像しがたい」と言っています(フォーブス)。
⑪結局、重要なことは、地球の破滅が迫っているとの彼女の声明が、若い
人々に損害を与えているということです。
原文は下記サイトで読めます。
2019.9.20 ラッシースカヤ・ガジエッタ掲載記事
https://rg.ru/2019/09/19/zachem-shvedskuiu-shkolnicu-sdelali-ekologicheskoj-ikonoj-molodezhi.html
2019.10.1 の同上紙のインターネット記事
https://rg.ru/2019/10/01/doedet-li-shvedskaia-messiia-ekologii-do-rossii.html
6.3 「グレタ騒動でいったい誰が儲けているか」の問いに、日本 の報道は全く答えていない
―国内外の新聞報道の調査と、最新刊本「地球温暖化『CO2 説』は世紀の大ウソ」から―
(2020年3月19日)
6.3.1 日本とロシアの新聞報道
地球温暖化に対処するための「気候行動サミット」が昨年の 9 月 23 日にニューヨークの国連本部で開かれましたが、各国の首脳らが 集うなかで、スウェーデンから大西洋をヨットに乗って参加した環
境活動少女グレタ・トゥーンベルクさんの活動は世界中にはなばな しい話題を提供したことはご存じのとおりです。
グレタさんは、飛 行機は環境汚染をもたらすので使わないという徹底した環境活動家 です。
その 9 月下旬の、日本の主な新聞社のグレタさんに特化した報道 を調べてみると、国内紙はすべてグレタさんの主張に賛同しており、 これを批判的に報道したものは皆無です。
毎日新聞が最も過激で、一面トップの大きな扱い、記事内容のグレ タへの賛同を強要する感情的・扇動的な記事であふれています。次い で、朝日新聞がかなり過激に同調を表明しており、記事量・頻度も最
大です。その他の読売、産経、日経はおとなしい扱いですが、やはりグレタさんに賛同を表明しています。結局、日本ではこれを理性的、批判的に報道したものは皆無であり、グレタへの共感を強要する感情的・扇動的記事ばかりでした。
以下に、見出しを少し紹 介します。
毎日 9/25 ・涙の訴え届くか:16 才の環境活動家「おとぎ話語るな」
・懐疑派は「家で勉強を」
・若者に広がる抗議:危機感 世代で差
朝日 9/24 ・「学校スト」という警鐘:世界の若者 政治に対策要求
9/25 ・「よくもそんなことができる」怒りの訴え:気候サミッ ト グレタさん演説
読売 9/23 ・温暖化「今すぐ行動を」:ユース気候サミット 若者国 連で訴え
産経 9/24 ・「失望させる選択は許さない」:スウェーデン 16 才少女
日経 9/25 ・「失敗許さぬ」16 才訴え
これに対して、ロシアの新聞やウエブの報道例をラッシースカヤ・ガジエッタの見出しで紹介すると以下のとおりです。
9/20 ・グレタの訪問:「どうして 16 才のスェーデン女子高生 がヨーロッパの若者の『環境保護の聖人像』になったか」
9/25 ・誰がグレタさんからコインを入手しますか?「西欧の指 導者が 16 才の活動家を批判することを恐れるわけ」
10/1 ・魔力につかれたグレタ スウェーデンの「環境の救世 主」はロシアまで来るか
コンメルサントや他の報道紙もウエブで見ると同様です。一体全 体どうしてグレタさんが環境活動家の旗手となったのか、その経 緯、背景、今後の展望などを人柄も含めて伝え、グレタさんの主張 には批判的で、理性的・冷静な報道に徹しております。
ロシアの報道内容を読んでみると、政治家が、若者の支持を得る ための手段としてグレタという PR 少女を利用している姿が浮かび ます。グレタは自閉症を病んでいるビーガン(絶対菜食主義)です
が、ヨットの価格は 500 万ドル、航海費用は 4 万ドルもしますか ら、グレタは貧乏ではないということも報じられています。そし て、このような未成年者たちを動員した運動は子供たちに損害を与
えるだけだと警告しています。
6.3.2 丸山茂徳「地球温暖化CO2説は世紀の大ウソ」を支持
このような日本とロシアの報道の違いについて、どうお知らせし ようかと迷っていた時、丸山茂徳さんらの本「地球温暖化『CO2 犯 人説』は世紀の大ウソ」(宝島社
2020.2.14 第一刷)に出会いまし た。この本の帯に、表題の文字「グレタ騒動で誰が儲けたか」を見 つけたときは、グレタさんへの賛辞一辺倒の日本の報道の中でやっ
と真実を語る一筋の光を見た思いでした。 こ
の本は一般大衆に伝えるために書かれていますが、科学的議論 の最前線の解説も含まれ、文献も 100 余と充実しています。執筆者 も気候、海洋、地球科学のみならずシステム、農業、経済、国際情
勢などの 10 名のエキスパートがそろっています。論議も、CO2 説 の科学的根拠の大本であるシミュレーションモデルの誤りが複数の 方々により指摘されており、その他のすべての多数の誤りや欠陥の
指摘がやはり複数の方々が指摘しております。
この温暖化人為説の混乱は国連の名のもとに仕組まれたもので、 マスコミがこれに踊らされて作られたものであり、マスコミの社会 的責任は重大だと糾弾しております。
丸山氏は、現在の「知的カオス」の時代に展望を見出すために、 知識を体系化し全体像を把握することが重要だと言っております。 そして、1972
年の 21 世紀末までのローマクラブの未来予測図(人 口、資源、食糧、工業生産、汚染)に気候変動と政治・経済を加え るべきであると提言しております。
気候変動についての丸山氏の予測は「長期的な気候変動の流れを 見ると、今後は異常気象の時代であることは否めない。なぜなら、現 在の地球は気温変化の振幅の拡大が顕著になり、太陽活動の低下が
宇宙線の増加を招き異常気象の時代に突入した。これは寒冷化予兆 である(第 4 章参照)。この移行期には、大気中の湿度が増えるため、 降雨・降雪がこれまでにないほどすさまじいものとなり、夏はより暑
く、冬はより寒いという振れ幅の大きな時代を迎えることとなる。」 と記述しております。
この予測再検討図は非常に重要です。異常気象の時代は 2010― 2040 年ごろの範囲で示されています。この話は、古気候データの知 見とその科学的な解釈に基づいており、CO2 説のように根拠の薄い 温暖化異常気象説と違って、信頼性が高いと思います。
ここで、この書の中のグレタさんに触れた記述を少し紹介します と以下のとおりです。
(1) CO2 犯人説はサッチャー首相の石炭火力ではなく原発推進のた めという不純な動機から出たもので、CO2 は単にシンボルとして使 われているだけで、「どうやって世の中を変えていくべきかという部
分では、グレタ・トゥーンベリさんのように『人々の感情に訴える』 という方法は効果的だと思います。」
(伊藤公紀 横浜国大環境情報研究院名誉教授)
(2) 「・・若者たちを洗脳・扇動して大々的にマスコミに報道させ、 大衆洗脳活動を強化している(何も特別のことをしたわけではない 一人の少女が常軌を逸した特別扱いを受けて洗脳活動推進に利用さ
れているが、彼女の両親と取り巻きを調べると、女優への登竜門の最 初の仕事をこなしているだけではないか、という疑念を感じざるを 得ない。・・)
こういった動きのなかではカモにされがちなのが日本の国民なの で、・・」
(中村元隆 大気・海洋・気候科学者、理博)
(3) 「筆者がグレタ・トゥーンベリの国連演説を聞いて最も違和感を 持ったのは『私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。なのに、あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおと ぎ話ばかり。よくそんなことが言えますね(How dare you!) 』という 部分である。 これは気候変動対策をすべてに優先させる環境原理主義にほかな らない。…環境原理主義は日々の現実から乖離しているのだ。」
(有馬純 東大公共政策大学院教授)
(4) 400ppm を超えると後戻りできない暴走効果が始まって、地球は 灼熱の惑星になってしまうという「その‶脅迫〟が大国の科学者や
政治家に国境を越えた心理的圧力を加え、市民がボトムアップで政 府を攻撃する材料あるいは『知的兵器』を、国連が考え出したともい える。そのことによって起こった活動のひとつが、スウェーデン人の
グレタ・トゥーンベリさんが訴えた地球温暖化対策のための抗議で ある。 …彼女が基本にしているのは地球温暖化という IPCC の誤ったモ デルである。地球温暖化の真相を理解するレベルまで至らない小中
高生などの若年層が、IPCC の誤った説明に踊らされて世界的な運動 を展開する事態に発展している。」
(丸山茂徳 東京工大地球生命研究所主任研究員)
グレタ報道ひとつを取り上げても、われわれ日本人は本当の真実 が聞かされていないのではないかと思います。報道の公平性は厳し く問われなければならないと思います。
【最後に、中傷的記事を意図して書いていると思われる具体例をひとつ紹介 します。】
毎日新聞の記事(上記 9/25 3面)のなかのハートランド研究所 の 「なぜ科学者は地球温暖化に同意しないか」 の本が米国の小中高の 教諭などに無料配布されたことを報じる中で、「公的機関が作成したような ‶それらしい装丁″」 「数ページめくってうんざり」 「本をその ままごみ箱に捨てた」 ことが大々的に報じられております
(私は、こ の本を取り寄せて読みましたが、れっきとした科学者が 100 余の文 献を付けての本です)。‶本を読まずに捨てなさい″と勧めること自体が秦の始皇帝の焚書坑儒に匹敵する蛮行ですが、さらに、記者(あ
るいは新聞社)が対立する一方の肩を持っていることは明らかです。
丸山さんは、「マスコミが日本や世界の未来を支配する時代になっ ているのにもかかわらず、現在のマスコミ報道の中にそういう見識 はあるだろうか?地球温暖化の報道を見ればわかるように、何が正
しく、何が嘘なのかを自ら判断する基準さえ持たないのである。」と 言っております。全く共感です。マスコミの猛省を望みます。