第5話
かごめの・・・。背中のかごめの血が流れるたび、かごめの命まで一緒に削られていく気がする。

犬夜叉は、頭の中が爆発しそうだった。

動かないかごめ。

段々と顔が青ざめていく。

かごめの・・・かごめの・・・命が・・・命が・・・っ!!

俺のせいで・・・。俺の・・・この爪で・・・っ!!

死ぬな・・・。かごめ・・・。

絶対に・・・死ぬな・・・っ!!

かごめっ!!

犬夜叉は無我夢中でかごめを背負って楓の小屋へと走った。

「かごめ様?!」

小屋についた犬夜叉はすぐさまかごめを床に寝かせた。

「かごめちゃん!」

珊瑚はかごめに駆け寄った。

「ちょっと・・・。すごい血・・・」

「かごめぇー!」

七宝はかごめに泣きつく。

「犬夜叉・・・!一体・・・何があったというのだ・・・?」

「とにかく、なんでもいいから・・・かごめを・・・かごめを助けてくれ・・・。頼むから・・・。かごめを助けてくれ・・・助けてくれ・・・」

「だから・・・一体何が・・・」

犬夜叉は半ば混乱して弥勒の襟を掴んで必死に訴える。

「かごめを助けてくれ・・・。頼むから・・・頼むから・・・かごめを助けてくれ!かごめを・・・」

バキッ。

弥勒は犬夜叉に一発殴って落ち着かせた。

「落ち着け!!犬夜叉!」

「・・・」

か犬夜叉はそのまま呆然と床に座り込んでしまった。

そして、ぽつりぽつりと今まであったことを話した。

「な・・・なんじゃと・・・犬夜叉!お前がかごめを・・・?!」

七宝は半泣きで犬夜叉を責めた。

「バカ者バカ者バカ者・・・っ!!かごめがどんなつらい想いをしたとおもっとるんだああ!!うわーん!!」

「七宝・・・。犬夜叉は奈落に操られてですから・・・」

「しかし、しかしこんなんじゃかごめがあんまりじゃあああ!!わーん!!」

「・・・」

犬夜叉は俯いたままだ・・・。

仕切りの向こうでは珊瑚と楓がかごめの手当にあたっていた。

そして、珊瑚がでてきた。

「とりあえず・・・応急処置は終わったよ・・・」

「珊瑚!!かごめは・・・!!」

「それが・・・。傷口はふさいだんだけど・・・。血が止まらなくて・・・」

止血の薬草で首の傷をしっかりと塞いだが、白い包帯がうっすらと赤く滲む。

「どうにか・・・どうにかならねぇのかよ?!楓ばああ!どうにか・・・」

「・・・」

「かごめが生きるなら・・・俺は何だってする。俺の命やってもいいから、たのむ!かごめを助けてくれ・・・!!」

楓はしばらく考えてからこういった。

「本当に何でもするのだな・・・?」

「ああ!!だから・・・」

「人に頭を下げられるか?」

「?!何言ってンだよ?何だってするっていってるじゃねぇか!!」

「・・・。ならば、青い勿忘草をとってこい」

「青い勿忘草?!」

「作用・・・。幻の薬草といわれておってな・・・。どんな深い傷でも瞬く間に治癒していまうと言われておる」

「どこにあるんだ?!今すぐ俺とってくる!!」

「この先の・・・崖のしたにまれに生えているが・・・」

犬夜叉は焦って出ていこうとした。

「まあ、待て!犬夜叉!」

「何だよ!!」

「たとえ、青い勿忘草を見つけられたとしても、その薬効を引き出すには特別な調合法があるのじゃ・・・。そして、それができるのは今ではあいつだけ・・・。幻の薬師・一郎太のみ・・・」

「!!」

弥勒は知っているかのような表情をした。

「知ってんのか弥勒?!」

「・・・。どんな病気やけがをもその調合した薬でたちどころに治すという・・・。幻の薬師・・・!」

「だったら、そいつんとこ、早く教えろ!!今すぐに行って来る!!どこにいるんだ!楓ばばあ!」

「・・・。森の先の崖の先の一軒家だ・・・」

バタバタッ・・・!

犬夜叉は今度こそ、出ていこうとした。

「・・・。弥勒・・・珊瑚・・・七宝・・・。楓ばばあ・・・。かごめを・・・頼む!!」

「ああ。わかっている。早く行け。犬夜叉」

「すまねぇ。弥勒・・・。さっきの一発効いたぜ・・・。ありがとうな・・・」

仲間達にかごめを託し、犬夜叉は楓の小屋を後にした・・・。

「・・・。犬夜叉・・・頼んだぞ・・・」

七宝はポツリとそう言うと布団に眠るかごめをじっと心配そうに見つめた。