あなたのために強くなりたい

前編
奈落の罠を見事うち崩した犬夜叉とかごめ。

必死にがむしゃらにかごめの命を救った犬夜叉。

一層、犬夜叉とかごめの仲も盛り上がっているかとおもいきや・・・。

「あんた、いい加減にしなさいよ!その程度のことでおこってんじゃないわよ!!んっとに短気なんだから!」

「んだとー!?怒らしてるどっちでえぃ!!」

とまあ、いつものようにケンカばかりの毎日。

周囲は平和が戻ったと安堵してはいるが、七宝は首を傾げている。

「どーしてあやつらは結局ケンカになってしまうのじゃ?ワシはかごめに犬夜叉の奮闘を一部始終を話したというのに・・・」

「あの二人の愛情表現はね、ケンカすることなのですよ。七宝」

「・・・。オラにはちっともわからん。もっといちゃついてもいいのにのう」

「心配しなくても、ちゃんと私達の知らないところでいちゃついてますから」

「知らないところとはどこじゃ?弥勒」

「それはですね・・・おとなな場所・・・」

ゴガン!!

珊瑚、純粋な子供の心を守る鉄拳の図。

「子供にまであんたの趣旨おしえなるな!!」

「しかし、珊瑚、私はただ、男と女のイロハを教えようと・・・」

「そのイロハじゃなくて平仮名のイロハでも教えなさい!!」

こちらでもケンカ勃発したようだ。七宝ははあと深いため息をついて、川の水をくみに行った楓の所へと行った。

「というわけで、ケンカばかりなのじゃ。あいつらは」

「ふふ。ケンカするほど仲がいいというではないか。七宝」

小川の冷たい水を樽にいれる楓。

「ケンカ、しすぎなのじゃ。ずっとあやつらの色恋を見守ってきたオラとしてはこう、もっと仲良くしてもらいたいのに・・・」

「男と女は分からないものと昔も今もきまっておるのじゃよ。七宝」

「昔・・・?」

昔・・・。そういえば、その昔、楓には許嫁がいた事を思い出す。

七宝、楓をじっと見る。

「何じゃ七宝」

「楓は今でも元許嫁を好いておるのか?」

バシャン!

七宝のストレートな質問に楓は思わず樽の水をこぼした。

「な、何を突然・・・。と、とと年寄りをからかうもんじゃない!」

うろたえる楓をじっと見る七宝。

「バカなことを言ってないで!ワシはさきに行くぞっ!!」

七宝、腕組みをして男と女の事情について考え込む。

「うーん・・・やっぱり難しいワイ。男と女は・・・」


夜、七宝はかごめに相談事があると外に呼び出した。

「七宝ちゃんなーに?話って」

「うむ。実は楓の事なのじゃ」

「楓おばあちゃんのこと?」

「そうじゃ」

七宝は昼間、楓とした会話の内容をかごめに話した。

「ふうん・・・。そんな話してたの・・・。きっと楓おばあちゃんも昔の許嫁の事、まだ好きなのね」

「オラもそう睨んだのじゃ。一郎太とかいう元許嫁と楓を会わせてやりたいと思ったのじゃ!。どうじゃろう。かごめも協力してくれぬか?」

「うーん・・・。楓おばあちゃんの恋かあ・・・。そうね。おばあちゃんだって女だもの!わかったわ!私も協力する!」

「しかし、高齢な男女の恋となるといささか複雑ですぞ」

と、かごめの背後からいきなり弥勒と珊瑚が登場。

「弥勒様!どっから湧いて出たんですか?!」

「ふっ。色恋の事相談なら私におまかせを・・・」

「お任せできるのは女ひっかけることじゃないの?」

珊瑚、いつもの如く白い目。

「と、とにかく、一郎太殿と楓様をどう引き合わすかです。これをしくじるとなかなか機会がないですからな」

「・・・。うーん・・・」

かごめ、七宝、珊瑚、弥勒の4人は、ごく自然な楓と一郎太を引き合わす方法を考える。

そこへ、何も知らない自分だけ仲間はずれにされた思った犬夜叉が、不機嫌そうな顔でやってきた。

「おう。おめーら、俺だけのけものにして何こそこそやってんだ!」

一同、犬夜叉を一度見るが、無視して話し合いを続ける。

犬夜叉、血管一本切れましたの図。

「んだよっ!お前らっ!!俺を無視すんじゃねえっ!!」

「だって、あんたが入ったら話がややこしくなるのよ。いい子だから、あっちいってなさい。おすわり」

「ぐえっ!」

かごめ、犬夜叉を上手に寝かせました♪

この夜、かごめ達はあれやこれやと楓の恋を復活させようと考えたのだった。・・・。おすわりしている一人を除いて。

「んなろー!!俺にも教えやがれーーーっ!」


次の日。かごめは楓にとある薬草を取りに行きたいのだが、付き合ってくれと頼んだ。それは、勿論一郎太の小屋の近くまで連れて行く口実だった。

しかし、楓、何かを見通したように、断る。

「ねぇお願い。楓おばあちゃん。あたし、何だか風邪気味で。あの薬草一緒に取りに行って・・・」

「一郎太の所へは行かぬぞ」

「えっ・・・」

かごめ、弥勒、珊瑚、七宝一同、驚く。

「ふん。図星か」

「ど、どうして知ってるの?!」

「さっき、犬夜叉が一郎太がどうだとかって文句言って屋根ですねておったわい」

「・・・」

弥勒、珊瑚、七宝一同、犬夜叉に冷たい視線を送る。

「な、なんだよっ!!俺、何も悪いことしてねーぞっ!!」

犬夜叉、そう言いながら、こそっと小さくかごめの背後に隠れる。

「か、かごめ・・・」

「・・・。(やっぱし)おすわり!!」

「ぐえっ!!」

犬夜叉、再び静かに床におすわりいたしました♪

「言っておくぞ。ワシと一郎太とはもはや何の関係もない。年寄りの過去にいちいちいい若いもんが首をはさまぬことだ」

「だ、だけど楓おばあちゃん。まだ、一郎太さんの事・・・好きなんでしょ?」

「・・・。お前達と一緒にするな。惚れたはれたなど等の昔に終わっとるわい」

「でも・・・」

「かごめ、くどいぞ!人のことより自分の色恋でもかんがえて・・・ってこら何すんじゃいっ!!犬夜叉!!」

犬夜叉は楓とかごめをひょいと抱える。

「たく!めんどくせーことばっかり言いやがって!!要するにあの一郎太のジジイのとこへつれていきゃいんだろがっ!!」

「こら!!はなさんか!!犬夜叉!!」

「うるせえっ!!かごめも行くぞ!!」

「う、うん」

短気犬夜叉。楓とかごめを抱えて一郎太の小屋へと向かった。

「ああ。計画が台無しじゃあ!せっかく昨日考えたのに・・・」

「そうでうすな。私のプランだとこの後、楓様が一郎太殿と偶然に会うという設定だったのに・・・」

「いいんじゃないの?色恋沙汰は計画通りにいくものじゃないし・・・って何この手は」

弥勒、珊瑚の手を握りしめる。

「お前との出会いは計画通りだよ。運命という名のな・・・」

「なっ・・・」

珊瑚、真面目な弥勒の顔にかなり照れる。

じいいいい!

七宝、興味津々。

「どうした?オラ、後ろ向いてるから続けろ、続けろ」

「気遣いありがとう。七宝。では、お言葉に甘えて・・・。珊瑚・・・」

バキャッ!!

珊瑚の照れの一発、かなり弥勒に効いたらしい。

「し、七宝あっち行こう」

珊瑚は七宝を肩に乗せ顔を真っ赤にして出ていった。

弥勒のあたまにそれはそれは可愛い(?)たんこぶができていた♪

「・・・。私が珊瑚に一発をくらって終わるオチはそろそろやめませんか。水音さん(誰に言ってンだこら)」

一方、こちら犬夜叉達。一郎太の小屋へとやってきた。

「犬夜叉!さっさと連れもどさんか!!」

「うっせーな!!お前らのせいで俺一人のけものにされたんでい!さっさと決着つけな!じゃあな!」

「あ、こら!!」

犬夜叉は楓を小屋へと放り込み、閉じこめ犬夜叉とかごめはその場を離れた。

「こらーーー!あけんか!!犬夜叉ーーー!」

楓がどんどんと入り口の戸を叩くと背後で人の気配を感じた楓。

「誰だ・・・。人がいい気持ちで寝てるってのに・・・ヒック」

ゆっくりと振り向く。

「・・・。一郎太・・・」

遠い昔・・・。心惹かれた男の姿が蘇ってくる。

初めて恋をした時の胸の高鳴りと共に・・・。

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