第3話・蛇と清魂草と父の思い出

清魂草の森へと一行は雲母に乗り、一直線にむかう。

しかし、犬夜叉腕組みをしてむっつり機嫌が悪い。

「犬夜叉さまぁ。そんなに接吻がしたかったのなら、ワシの口づけをうけとってくだされ!ムチュウ〜」

と、みょうが、ブーンとハエの如く犬夜叉目がけて飛ぶ。

バシ!べちゃ!

犬夜叉、冥加つぶし、終了。

「気色悪りぃこと、すんじゃねぇっ!!ったく・・・」

「犬夜叉、そんなに怒らなくても・・・。それよりあんた、ちゃんと熱、下がった?」

かごめ、犬夜叉のおでこをさわって検温。

「・・・うん。下がったみたいだね。よかった・・・」

「大分休んだからな・・・(かごめのひざで♪)。けっ・・・。ガキあつかいすんな!」

「あんまり無理しないでね」

「心配すんな。俺はそんなやわじゃ・・・」

見物人、冥加有り・・・。

「今度は邪魔などしませんぞ♪ささ、おつづけくだされ♪」

「・・・」

バッチン。

犬夜叉、再び冥加つぶし両手にて終了。冥加、1oの体が風に舞う。

「い・・・犬夜叉様・・・何も両手じゃなくたって・・・。お・・・おおっ。見えてきましたぞ!!あの森です!!」

広い広い緑の中にぽつんと水辺が見える。

湖のほとりに降り立つ犬夜叉一行。

「おお懐かしい・・・」

湖の畔に薄紅色の3つの花びらの花の群生が咲いていた。

不思議なことに、水の中から茎がでていて、パッと見る限り、水の上に浮いて咲いているように見える。

「かごめ、この花が清魂草じゃ」

「わあ・・・。可愛い花。ごめんなさい。ひとつだけ、もらうね」

かごめが清魂草に触れた瞬間!

「きゃあ!」

ピカッと花が発光した。

「ひ・・・光ってる・・・?」

「おお。この輝きこそ、清魂草!かごめ、お前は清魂草に認められたんじゃな。清い魂だと・・・。ではワシだって光るはずじゃ♪」

と、冥加、清魂草の花びらの上に乗ろうとした。

バチバチッ。ジュウッ!!

黒こげ冥加できあがり。

「な・・・なぜじゃあ!ワシの様なかわゆいぴゅあな魂はおらぬというのにッ!!」

「・・・。お前以上に腹黒い魂はねぇーよ」

かごめの手の中の一輪の清魂草。白い光が神々しく光り続けている。

「ねぇ、冥加じいちゃん、これからどうするの?」

「おお。そうじゃったそうじゃった♪まず、かごめ、お前、ワシの言うとおりに調合するのじゃぞ。名付けて冥加の3ッ分クッキング♪むふ♪」

べちゃり。犬夜叉、エプロン冥加を成敗。

「真面目にやれ(怒)」

「は・・・はい・・・」

かごめは冥加の指示通り、清魂酒を作り始めた。

「まず、この湖の水を適量に清魂草の花びらを入れ、湯を沸かす」

「はい」

「そして、沸騰した湯に酒を2:3の割合で混ぜ、再び火をかける。そして最後のさっき犬夜叉様から採取した血をまぜ・・・」

そして・・・。

冥加特製(?)清魂酒のできあがり。

「ささ、これをぐいっと一気に飲み干してくだされ。効き目は夜明けですじゃ」

「・・・」

コップの中の清魂酒。やっぱり神々しく白く光っている。

犬夜叉、少しとまどうがぐいっと飲んだ。

ゴクゴクゴク・・・。

「どうですじゃ?お味の方は・・・。かごめの味がしますじゃろ?」

ぶはッっと犬夜叉、ふく。

「ん・・・な・・・な・・・」

「かごめの魂の一部が入っておる清魂酒を飲んだということは、犬夜叉様とかごめ様は魂も混ざり合わせたとうことで、まさに一心同体。もう既に結ばれたということですじゃ・・・ってあれ??」

犬夜叉とかごめ、思いっきり赤面している。

「ふおほほっ♪初ですなぁ初ですなぁ♪」

「や・・・やだっ。冥加じいちゃんたら!!」

照れたかごめの一発が冥加に的中。冥加、今日は何回はたかれたか・・・。

「あ・・・あ、あんまし人をからかうんじゃねぇよ!ったく・・・」

後ろを向いて腕を組む犬夜叉。しかしその背中は思いっきり嬉しそう・・・(?)。

そんな犬夜叉に優しく笑いかけるかごめ。

その光景が冥加の遠い記憶を・・・。

「嗚呼・・・おもいだしますなぁ。犬夜叉様と母上様を見ているようですじゃ」

「おやじとおふくろ?」

「はい。ここでよくお二人はお会いになっておられました。人目をしのんで・・・」

清魂草を目印に、犬夜叉の両親はここで会っていた。それにこの湖にはとある言い伝えがある。

“この湖で出会った男女は絶対に離れない。死ぬときもずっと・・・”

「お父上はそんな言い伝えを信じるお方ではありませんでしたが、なぜだかこの湖がお好きで・・・」

「けっくっだらねぇっ。女どうかしらねぇが、そんなセンチ話し、俺は気にイラねぇ!!」

「うん!あたしも気にイラねぇッ!!」

かごめ、思いっきり歯切れ良く言う。

「え''・・・」

「だって悲しすぎるじゃない。死ぬときまで一緒ってことは二人とも死ぬってことでしょ・・・。どうして、一緒に『生きよう』っておもはないのかな・・・。だってあたしは大切な人には生きててほしいもの・・・」

「かごめ・・・」

誰の事を言っているのか・・・。何だかいきなりシリアスな空気に。

「犬夜叉様のお母上もかごめと同じ事をおっしゃっておられましたぞ。いつも犬夜叉様のお父上の体を安堵されておられましたから・・・」

父親と母親の過去。

少しだけ知った今、どことなく今の自分達の関係に重なり合う気がする二人。

かごめは嬉しかった。

少なくとも、犬夜叉の両親が想い合っていたことがわかって。

「犬夜叉。よかったね」

「あー?何がだ?」

「ううんっ。何でもない。さ、かえ・・・!!!」

その時、ゾクリとかごめは四魂の玉のかけらの気配を感じた。

「どうした!かごめ!」

「いる・・・。かけらを持った奴がすぐ近くに・・・!」

「!」

驚くふたりの背後から・・・長いくだのような影がしのびよる。

「いーぬーやーしゃー♪」

「だれ・・・わッ!!!」

ビュンッ!!

犬夜叉が振り返った瞬間、蛇骨の刀が犬夜叉とかごめに斬りかかる!!

「きゃっ」

犬夜叉はすんでのところでかごめを抱えてよけた!

「お・ひ・さ♪」

「蛇骨、てめえっ!!なんでこんなとこにいやがる!!」

「なんでってー!犬夜叉に会いに来たにきまってるでねーのぉ♪おお。人間の姿の犬夜叉も可愛いじゃーん!」

蛇骨はるんるん気分。

「き、気持ち悪りぃこと、言ってンじゃねーよ!!ちょうどよかった!返り討ちにしてやるぜ!!」

「そうこなくっちゃ♪さ、あーそーぼ!!」

ザン!!

蛇骨の刀、くねくねと曲がって犬夜叉に襲う!

「くっ・・・!!」

犬夜叉は鉄砕牙でなんとかふんばるもののやはり人間の体では、限界か。

「ほおら!どうしちゃったの?犬夜叉!もっとあそぼーぜっ!」

と、蛇骨、ジャンプして犬夜叉の頭上に!!

「犬夜叉ーー!」

そして、蛇骨、素早く犬夜叉に背後にまわって蛇骨刀を首にきりつける!!

「なっ・・・」

蛇骨、犬夜叉の髪に鼻をあて、くんくんと嗅いだ。

「ふふー。ふーんこれが犬夜叉の黒髪かぁ♪艶があっていいにおい♪でも、ちょっと痛んでるよー」

犬夜叉の背筋に強烈な悪寒が走る。

「き・・・きしょくわりぃことすんじゃねーーーー!!」

バキッ!

犬夜叉, 蛇骨に一発くらわせた!!

「・・・。きゃーやった!犬夜叉♪」

かごめの応援もよそに、蛇骨はよっこらしょと起きあがる。

「人間の犬夜叉もいいけどやっぱなー。よわっちぃなー。今のパンチ、全然効いてねぇし。俺としては『耳』が欲しいなー。」

「な、何いってんのよ!!この変態おかま男!!犬夜叉から離れてよ!!」

蛇骨の血管かぴくっとかごめに言葉に反応した。

「女・・・。お前・・・。言ってはならない言葉を言ったな・・・。てめえっ!!」

「きゃ・・・!!」

蛇骨はかごめに蛇骨刀をかざした!!

「かごめ!!」

ザシュッ!!

雲母がかばった!!

「雲母!!」

「・・・。ちっ・・・。つまらなぇな・・・。そうだ。いいこと考えた♪犬夜叉、お前、夜が明けねぇともとに戻らないんだろ?んじゃ、それまでかくれんぼしよーぜ♪」

「なっ・・・」

「それまで、この女はあずかっといてやる。景品だな。んじゃ、鬼サンこちら手の鳴る方へってかー♪」

蛇骨はそう歌いながらかごめをひょいと片手で持って森の中へ消えていく。

「まちやがれっ・・・うっ・・・」

後を追うとした犬夜叉。だが、さっきくらった傷が痛んで動けない。

「雲母!!きら・・・」

雲母も倒れたまま・・・

「かご・・・め・・・」

犬夜叉も・・・気絶してしまった・・・。


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