闇の告白

前編

俺はやっぱり我が儘か。

俺の我が儘が、かごめお前に辛い思いをさせているのか。

他の男と一緒にいるお前を見て

幼い子供のように嫉妬する俺は嫌いか。

わかっている。自分の幼さも我が儘も。

桔梗をほおっておけない自分も。

それでもお前に側にいて欲しい想いが止まらない。

お前の優しさに甘えていることもわかっているけど止まらない。

お前なしじゃ俺が俺でいられない。

自分の卑怯さも解っている。

でも、お前の温もりが忘れられない。

いつも考えてる。お前の本音を。

お前に嫌われたらどうしよう。

「さようなら」と言われたらどうしよう。

桔梗と会った後、お前が

「ひとりにして」と言った。お前に嫌われたかと思った。

子供のようにお前の顔色が

気になって。気になって。

怖かった。怖かった。

なのに、俺はいつも、変な意地を張ってしまう。

本当の事を聞くのが怖いから。

それがずるいことも知っている。

でもやっぱりお前に側にいてほしい。

何度もそう思ってしまう。

その手を・・・離せない。

そうお前に何度も叫びたい・・・。


「ここで奈落の臭いが消えてやがる・・・」

犬夜叉達一行、奈落の臭いを追ってきた。

木々が鬱そうとした森の奥。

目の前に広がるのは、暗い洞窟の入り口だった。

それも2つに分かれている。

「まるで私達に入ってくれといわんばかりですな」

「・・・。罠かな・・・。法師様」

心配そうに珊瑚は言った。

「ま・・・。いつもパターンでしょうね。奈落の・・・」

「けっ。罠だろーがなんだろーがこの奥から奈落の臭いがするんだ。行くしかねぇだろ!」

「でも犬夜叉・・・。入り口・・・。2つあるわよ・・・」

「ふん!どっちでも奥に突っ込むまでだ!行くぞ!かごめ!」

「あ・・・。ちょっと待ってよ・・・!」

犬夜叉、一人すたすたと右の洞窟に入っていってしまった。

「かごめちゃん!大丈夫?犬夜叉と二人で・・・」

「うん。“二人”だもん。大丈夫よ♪」

と、笑顔でかごめも心配そうに右の穴へ・・・。

「妬けますなぁ・・・。ふっ。愛が有れば暗闇なんて・・・ですか。さ、珊瑚私達も・・・ってあら?」

弥勒、肩すかし。珊瑚はすでに左の洞窟へ・・・。

「何やってんのさ。法師様。早く行こう」

「・・・。ですな」

二手に分かれ、洞窟へと入っていく犬夜叉達一行を木の枝の影からくぐつの奈落が不適な笑みを浮かべていた・・・。


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