第1章・拾い犬@ 雨が降り出した。
街を歩く人々も近くのコンビニに駆け込んだり、足早と家路を急いだり・・・。 その人並みを逆行して、一人、虚ろな顔をした若い男が歩いている。 足下がおぼつかない・・・。 ドン!! 「気を付けやがれ!!どこ見てあるてんだよ!!」 通行人とぶつかっても呆然としてふらふらと歩く。 雨が激しくなった。 男はドコヘ向かう出もなくとにかく歩く。 彷徨うようにあてもなく、歩く。 歩く。 気がつけば景色は住宅街。 まるで迷路の歩くように細い路地を入っていく。 小さな神社が見えた。 男はなぜだか解らないがそこに足を向ける。 階段を上ると小さな社。境内に巨大な古木が立っていた。 しめ縄がついているから相当の樹齢だろう。 男は虚ろな顔で古木を見上げた。 「・・・」 不思議と・・・。なぜだか微かにここに自分が呼ばれた気がした。 不思議な・・・。
激しく咳き込む男。 視界がぐらりと揺れる・・・。 ドサッ! 男はそのまま古木の根本に倒れ込んでしまった・・・。 ※
築30年以上は経っていると見える。 アパートの名は『楓荘』。 アパートの入り口に犬小屋がある。 “犬夜叉の家” と書いてある。しかし中には何もいない。 「犬夜叉・・・」 犬小屋を寂しそうに見つめる若い女・かごめ。 このアパートの住人だ。 この楓荘でずっと可愛がってきた犬・犬夜叉がつい1週間前、交通事故で亡くなったのだ。 「ごめんね・・・。犬夜叉・・・」 かごめは小屋に向かって何度もそうつぶやく。 それも仕方のないことかも知れない。犬夜叉は散歩中、かごめを車からかばって死んだのだ。 泣いた。子供のように泣いた。 朝、大学に行くとき必ず小屋から出てきて見送ってくれていた犬夜叉。 かごめはこの1週間犬夜叉の事ばかり考えていた。また、どこからかひょこっと出てきそうで・・・。 犬夜叉を子犬の時に拾ってきたのもかごめ。 だから、犬夜叉を一番可愛がっていた。 雑種だったけど、体の色は白でそよ風が吹けば、毛が銀色に映えてすごく綺麗だった。 目の色は茶色だったけど光があたるとオレンジ色に光っていた。 性格はかなりの嫉妬深くて、散歩中、かごめが他の犬にかまうだけで近所迷惑になるくらい吠えた。 でも可愛かった。 「犬夜叉・・・」 かごめと一緒に散歩するのが大好きだった犬夜叉。 かごめは雨の中、買い物の帰り道、無意識にその散歩コースを歩いていた。 そして、ある場所で立ち止まる。 『日暮神社』 ここで・・・。子犬だった犬夜叉を拾ったんだ・・・。 キャンキャンと鳴く声が聞こえた・・・。
「!?」 一瞬、犬夜叉の泣き声が聞こえた。 「いぬ・・・やしゃ?」 聞こえたのは神社の方から・・・。 何かに引き寄せられるようにかごめの足は日暮神社の階段を上っていた。 階段を上ると境内は激しい雨に打たれ、誰もいない。 犬夜叉を見つけた時も、雨だった。 そう・・・。あの御神木から鳴き声が聞こえて・・・。 かごめはゆっくりと御神木の方へ歩く・・・。
犬夜叉が震えて鳴いていた場所。 犬夜叉とかごめが出会った場所。 その御神木の根本に・・・。
しかしパロディというより、犬夜叉キャラをモデルに したかなり管理人風味の強い代物になるかもしれません。キャラが少し違うかもしれませんが、犬とかごめちゃんの心の交流を日常的にゆっくりした感じで書いていきたいと思います。『めぞん』と『犬夜叉』を足して割ったような・・・(あくまでイメージです)。もしよろしかったら、犬かごノベル原作編共々読んで頂けたら幸いです。 |
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