其の一 愛の言の葉幸せになりたい。 誰もがそう思い、日々生きている。 だけど。 幸せなんて どこにでもあるのかもしれない。 小さな変わった色の小石を見つけたとき 足元のタンポポの綿毛を見つけたとき・・・ 自分が吹いたその綿毛がどこへ飛び、どこで根付き、どこで花を咲かすのか・・・ それを想像することも幸せかもしれない 幸せ。 探せばきっとすぐそこに ある。 幸せの種がほら・・・※ワンワンワン!!【はー!!いい朝だわ!】 楓荘に朝がくる。 玄関先のゴマちゃんの新しいおうちに朝日があたる。 新築された旧楓荘はアパート経営はやめて今は一軒屋となり、 3人と一匹が住んでいる。 「さーて。朝の体操じゃ」 縁側にラジオを置いて、ラジオ体操をする楓。 この家を建てた本人である。 年齢は・・・ 「ワシは万年花の二十歳じゃ!」 と、空にむかって応えてくれました。今日も元気な楓さんです。 そして。 「ほら!犬夜叉起きなさい!」 エプロン姿のかごめ。 フライパンをパンパンと犬夜叉の耳元でたたいて 起こす。 「う、うっせぇな。てめぇ!耳が壊れるじゃねぇか!!」 「だってあんた目覚まし時計じゃおきないでしょ!ほら!朝ごはんできてるから 起きて!」 布団にもぐりこもうとする犬夜叉のTシャツをひっぱるかごめ。 「だあぁあ!今日は休みなんだ。もちっと寝かせろ!!」 布団をぐいっとひっぱる犬夜叉。 かごめも一緒に引っ張って布団の中に引き込んでしまいました。 「///」 「・・・。///」 お布団の中でお見合いをする二人。 「な、なにすんのよっ。朝からえっちね!!」 「ばっ。妙な想像してんじゃねぇ!!」 「妙な想像ってなによ!!」 白いシーツがもそもそ暴れあう二人。 どっすん、ばったん 天井が揺れる。 その下の食堂で楓は一人お先に朝食。 「若いもんは朝からお盛んじゃのう・・・」 お茶をすすりながら天井の上の二人の様子を伺う楓でありました・・・ いつもの朝。 かごめと犬夜叉。 今は近くの戦国保育所のりっぱな保母さんです。 かごめが戦国市に戻って何かプロポーズらしい(?)ことは 二人の間にあったようだが・・・? 一緒の部屋で暮らそうとしたのだが。 「ちょっと!お洗濯ものちゃんと洗濯機にいれておいてよ!」 「うるせー!」 「それからビールのみながら漫画みるのやめて!」 「ここはオレの部屋だ。文句があるならでていけ!」 些細なことでケンカして結局。 同じ屋根の下ではあるが別居しちゃいました。 「・・・ったく。あいつったら女をなんだと思ってるのかしら! 家政婦じゃないのよ!」 そういいながら犬夜叉の洗濯物を干すかごめ。 やっていることと言っていることが違うのでそばでみていた 楓は可笑しい。 「いや、本当は犬夜叉は毎日大変じゃと思うぞ」 「どうして?」 「若い男が惚れた女子と始終一緒なんて・・・。色々な意味でな」 「?」 首を傾げるかごめ。 「・・・それに。私・・・まだはっきりとした”言葉”っていうか 何も言ってもらってないの」 「プロポーズのことか?」 「うん・・・」 同じ部屋の合鍵を渡されただけで。 やっぱりストレートな言葉が欲しいのが女心というもの。 「人一倍照れ屋で意地っ張りじゃからのう・・・。女は苦労するワイ」 「・・・でもま・・・。それが犬夜叉らしいんだけどね・・・」 犬夜叉の白く風にはためくTシャツに微笑むかごめ・・・ 「・・・。ごちそうさまじゃ。お前さん見てるこっちが照れくさいわい」 「え??」 頬を染めるかごめ。 「ほっほっほ。ま。犬夜叉の奴もちゃんと考えておる。かごめ。 焦らず待ってやってくれ」 「・・・うん」 うなずき、かごめは再びお洗濯も干し。 「お布団も全部ほしちゃおっと」 (ずっと待ってるよ。私・・・) 形ある言葉は欲しい。 だけど お互いの心は通じ合っていると信じている。 気持ちはつたわらないから・・・ 『居酒屋・狼』 「・・・なんかムカつく名前の店だ」 名前の通り狼の写真が貼ってあったり 店の入り口には狼の人形が・・・ 先輩の大工と居酒屋街に飲みに来た犬夜叉。 給料前なので財布の中身がちょっと寂しく財布を除く。 あらまぁ。夏目漱石さん4人しかいらっしゃいません。 「おいおい。犬。先輩のオレが誘ったんだぜ。 金のことは気にするな。さ、いっぱいやれ」 ※大工仲間では犬夜叉のことは通称”犬”って呼ばれてます。 犬夜叉より一回り上の先輩大工・松井。 しょっちゅう、小競り合いを起こす犬夜叉と他の大工を中を取り持ってくれる 犬夜叉にとっては最も信用し、尊敬している同僚だった。 「で・・・。話ってのはあれだろ?彼女のことだろ?」 「・・・」 犬夜叉の性格を一番理解している。 携帯の待ち受け画面がかごめの写真だということも(笑) 「結婚考えてるのか?」 「・・・」 黙ってうなづく犬夜叉。 「なら話は早い。こういうのはな。タイミングってのが あって。照れくさいからとか言ってると女から愛想つかされるぞ?」 「・・・」 松井はつまみのイカの黒作りをうまそうに食べながら話す。 「一人の女・・・いや人間の人生に責任を持つんだ・・・。生半可な気持ちじゃないだろ?」 「・・・ああ」 「男にとっちゃ結婚なんて・・・って最近の若いモンは 思ってるかもしれんがな・・・。一人だったのが二人になる。 そして三人、四人・・・。力強くなれるんだ。家族を持つっていうのは本当に いい・・・」 作業着の懐から定期いれを取り出す松井。 そこには愛息子の海(かい)6歳の写真が・・・ 二年前、妻を亡くし、それ以来ずっと男一人で子育て中。 「オレもお前と同じでさ。幼い頃に親と別れてるから、一人の寂しさってのが 身にしみてわかるんだ。だから逆に家族への憧れも 強くて・・・。親ばかみてぇだけど、家帰ったとき、”パパ、おかえりなさい”って 言われるともう、腰くだけるほど、オレ、顔が緩じまってしょうがねぇんだ」 写真を本当に愛しそうになでる・・・ 現場じゃ”仕事の鬼の松井”なんて異名を持つほどに厳しい男なのに 家族のことになると本当に優しい目をする。 犬夜叉はそんな松井に親近感をすごく感じていた。 「・・・ってオレがのろけてどうすんだ。とにかくだ!照れや意地をすてて、 『結婚してくれ』って言う!それしかねぇ!!男ならバシっと決めろ!!」 そう言って犬夜叉のお猪口にお酒をとくとく・・・と注ぐ。 「かごめちゃんって子、可愛い子じゃねぇか。・・・他の男に取られたくなかったら先手必勝!!いいな!!」 (・・・他の男・・・) 何故か店の入り口の狼の置物に目が行きある人物を思い浮かべる。 (・・・ムカ!) 犬夜叉は深くうなずいてお銚子ごとぐいっといっきに飲む。 「おお。そうだ。それでこそ男だ!それにな・・・」 松井は犬夜叉の耳元でぼそぼそっと呟いた ”結婚すれば惚れた女とすき放題毎晩いちゃいちゃ・〇〇できるぞv” (!??) ぶはっと犬夜叉君、お酒をお口からシャワー。 「・・・な、な、何言ってんだ!!(真っ赤)」 「・・・。おい・・・その初々しい反応・・・。まさかお前、”まだ”なのか?」 「な、な、な、何がッ」 「キスもなんていうんじゃねぇよな・・・?」 「・・・」 図星ですと、犬夜叉の真っ赤なお顔に書いてある。 「・・・。お前・・・。そーか・・・そうなのか!あっはっはは!こりゃいいや! 傑作だ!」 犬夜叉の背中をバンバンと叩きながらお笑い。 「傑作とはなんだ!」 「お前、まだチェリーボーイだな。はやく”男”にならねぇとな」 「意味深な言い方すんなっ」 「はっはっは・・・!そーかそーか・・・」 からかいながら 犬夜叉に祝い酒。 犬夜叉にも松井の真意がわかっている・・・ 犬夜叉には兄弟がいない。 (きっと”兄貴”ってのは・・・こんな感じなのかな・・・) 松井と一緒に飲む酒は一段とうまい・・・ その夜は遅くまで 笑いあいながら 兄弟酒を交し合った・・・ 現在午前零時5分前。 犬夜叉、ちょっとほろ酔いです。 (・・・よし・・・!今夜こそ言うぞッ!) 玄関前で決意を新たにする犬夜叉。 ワゥワゥ・・・?【ちょっとあんた。帰りは御前様のくせにかごめちゃんに 何言うおうってのよ?】 足元で犬夜叉の顔を見上げるゴマちゃん。 「・・・よしッ」 思わず拳を握り締め 二階のかごめの部屋にたつ犬夜叉・・・。 ”ばしっと決めろ!!男なら!!” 松井の言葉を励みに犬夜叉は部屋のドアをノックする・・・ ワゥワゥワぅ・・・【夜中にプロポーズなんてする男がどこにいるのよ。全く アイツったら・・・。ま、九割はふられれるわね】 犬小屋のゴマちゃん。 ゴマちゃんの予想はあたるのでありましょうか・・・
い、如何でしたでしょうか(汗)一話目。 あのそれと弥勒ご夫妻のことですが、まだ、弥勒サラリーマンは北海道 に転勤中でして、其の後、こちらへ引っ越してくることにはなっておりますが それはまた後の話で・・・。さらにちょいとネタバレしますと 犬っちの先輩の松井さん。この方、ちょっと後々かごちゃんと犬っち にあることを託します。それもまだ後の話で・・・ ・・・え?かごちゃんのベイビーが見たい?? ・・・コウノトリさんとご相談いたします(待て) では続・居場所をさがして 再スタートでがんばりますね(^^)