続・居場所をさがして
〜タンポポの種〜

其の二・指輪物語
コホン。 かごめの部屋のまえでちょっと緊張解しの咳払い。 (よし・・・!ストレートに、ストレートに決めてやる・・・!) コンコン。 大人しめのノック。 「はーい・・・」 犬夜叉とお揃いに水玉のパジャマを着たかごめ。 目をこすりながらおきてきた。 「悪いな。遅くに」 「なーに・・・?」 「そ、その・・・。だ、だ、大事な話があって・・・」 もじもじする犬夜叉。 「・・・今日でないと駄目・・・?眠くて・・・」 「こういうのはタイミングがあんだ!!だから・・・」 「わかった。じゃあさっさと済ませてね。入っていいよ」 「お、おう・・・」 鼻の頭をぽりぽりかきながら犬夜叉はかごめの部屋に入った。 「・・・」 布団の上にちょこんと正座して向かいあう二人。 かごめは半分目が閉じかけており・・・ 「そ、その・・・。あ、あの・・・」 「うん」 「お、オレだって男だ。な、何にも考えてねぇ訳じゃねぇ。 そ、その、こ、これから先のこととか・・・」 「・・・うん・・・」 股に両手をはさんでもじもじしながら 言う犬夜叉。 「だ、だからな・・・。こ、言葉にするのは苦手だけど・・・。 い、いいか?一回しかいわねぇから、耳の穴、かっぽじって聞けよ」 「・・・う・・・ん・・・」 (い、いよいよ言うぞ・・・っ。言うぞ・・・っ) 犬夜叉の心臓・・・ バックバックンッ 「か、かごめ・・・っ」 「・・・」 「け、け、結婚してやってもいいぞッ!!!」 (きまったァーーーー!!) 犬夜叉、心の中でガッツポーズ! しかし・・・ (・・・あれ・・・。なんか妙な言い回しになっちまったような・・・) それにかごめの反応がない・・・ 「・・・むにゃ」 「!??」 犬夜叉の膝にかごめが枕にするように 顔を置いて眠ってしまった・・・ (な、なんだ!こいつちゅー女は肝心なときに限って寝てやがる・・・!) 「・・・むにゃ・・・。犬夜叉・・・」 「///」 かごめの寝顔が自分の膝に・・・ いつもは自分が膝枕してもらっているけど・・・ かごめの寝顔を独り占め・・・ (・・・オレの夢・・・見てるのか・・・) 結婚したら。 この可愛い寝顔を一番最初に見るのは自分なのかと思ったら何だか 顔がにやけてくる犬夜叉。 (・・・はっ。俺らしくもねぇ。デレデレするもんか!) しかし。 「うーん・・・」 寝返りをうつかごめ。 パジャマのボタンが開いて胸元がチラリ・・・ (///) 犬夜叉・・・やっぱりほっぺが赤いです。 「・・・。う、動けねぇんだから仕方ねぇ」 なんか強引な理屈を一言言ってしばらくそのままかごめの 寝顔を独り占めしていた・・・ 翌日。 食堂にて。 「おっかしいなぁ。昨日、犬夜叉、私の部屋、訪ねてこなかった?」 「し、しらねぇ(照)」 白いお米を口にかきこむ犬夜叉。 「そう?なんかね。犬夜叉が私に”結婚してやる”とかなんとか言ってたような・・・」 ゴホッ・・・。 ご飯粒が楓の顔面に直撃。 かごめはエプロンで楓の顔をフキフキ 「・・・お、オレはそんなこと言ってねぇッ」 「そうだよねー。もし本当だったとしても”結婚してやる”なんて 偉そうなプロポーズきいたことないもの。オッケー したくなくなるわ」 「・・・」 犬夜叉、ただいま、箸が止まりかなりハートブレイク中。 「・・・犬夜叉?」 「・・・し、仕事いってくる・・・」 「行ってらっしゃい♪」 かごめの笑顔とは裏腹に 犬夜叉はかなりガックリした顔でご出勤されました・・・ 「・・・かごめ。お前もかなり犬夜叉の”操縦法”を覚えたのう」 「操縦法?何それ?」 「・・・。本当に何も覚えておらんのか?」 「うん」 きょとんとしたかおで返事するかごめ。 「・・・。ふっ・・・。ほっほっほ。いいコンビじゃ。かごめと犬夜叉は・・・」 大笑いする楓がわからず首を傾げるかごめ・・・ パタパタと 洗濯物が揺れている初夏の午後だった・・・
(よし・・・。今晩こそ決めてやる・・・!) 同僚の誘いも断り、犬夜叉君。今夜は お早いお帰りです。 ワゥワゥワぅ??【気合いれすぎよ。あんたねぇ。大体、指輪とか用意してんの? 全く・・・。犬のアタシでもあんたのプロポーズは受けたくないわね】 人間観察・ゴマちゃん。 犬夜叉の足元でちょっと呆れ顔・・・ コンコン。 かごめの部屋。 (まだ8時だ・・・。いくらなんでも寝てねぇよな・・・) 腕時計を見ながらかごめが出てくるのを待つ・・・ 待つ・・・ 待つ・・・ (・・・。出てこねぇ・・・。まさかまた寝てるのか・・・?) ドアの隙間を覗く犬夜叉・・・ 「何してるのよ」 「わッ!!」 いきなり背後からのかごめの登場に、犬夜叉、びびる。 風呂上りのかごめ。パジャマを姿だ。 「・・・その驚きよう・・・。あんたまさか部屋を覗こうとしてたんじゃ・・・」 「ばっ・・・。んなわけねぇだろ!」 でもちょっと覗いてた犬夜叉。 「まぁいいわ。あ、そうだ。美味しいワインもらったの。 一緒に飲む?」 「お、おう・・・」 昨日もそうだったが・・・ 風呂上りのかごめ・・・ シャンプーや石鹸の匂いに犬夜叉はちょっとドキドキ・・・。 「保育所の子供たちのお母さんに貰ったの。実家がワインつくってるんだって」 ワイングラスをテーブルの上に二つおくかごめ。 「そ、そうか」 「犬夜叉はワインよりやっぱりビールの方が好きかな」 「ま、まぁな・・・」 生返事の犬夜叉。 ワインよりビールより今は大事なことを伝えなければ・・・ 「・・・ふふ。これ・・・」 かごめはガラステーブルの上に小さな指輪を置いた。 「これ。保育所の女の子にもらったの。”かごめ先生にあげるって・・・” どうしてだと思う?」 「何でだ」 「あのね。今日、結婚式したの」 (け、結婚式・・・?) 犬夜叉の脳裏でかごめと鋼牙が教会でカラーンコローンと結婚式・・・ 「て、てめぇ!オレというものがありながら、鋼牙といつのまに・・・!!」 「・・・。どうしてそこまで飛躍するのよ。子供たちよ。保育所で結婚式ごっこしたの」 「・・・///」 犬夜叉、墓穴を掘る。 照れ隠しにぐいっとワインを飲み干した。 「が、ガキのママゴトが何だってンだ(照)」 「結婚式ごっこした女の子がね・・・。”私にはまさくんからもらった指輪が あるからこの指輪、先生にあげる”って・・・。ちっちゃな指にね、指輪が 光ってるの・・・。可愛いなぁって・・・」 「だからガキのママゴトに興味はねぇ・・・」 「ママゴトだけど・・・。あの子たちにとってはすっごく真剣で 一生懸命な結婚式なんだろうなぁって・・・。本当・・・。子供たちって 純粋だなって思って・・・」 園児からもらった指輪を優しそうな眼差しで見つめるかごめ・・・。 (・・・) 風呂上りのかごめは・・・ 何だか一段と・・・ 犬夜叉の瞳には綺麗に映って・・・ 見惚れる・・・ 「・・・か、貸してみろ」 「え・・・?」 「い、いいからその玩具、かせッ」 玩具の指輪を犬夜叉はちょっと強引に取った。 「・・・。出せ。手ぇだせ」 「何よ」 「いいからテェ出せ!」 かごめの指に犬夜叉は指輪をはめようとする・・・ 「ま・・・ママゴトで喜ぶならしてやる・・・」 「犬夜叉・・・」 「でも・・・。いつか”本物”やるから・・・」 「え・・・?」 「・・・。本物買ってはめてやるからもうちっと待ってろ!いいな!(照)」 「・・・。うん・・・」 不器用で 遠まわしで 分かりにくいプロポーズ。 ロマンチックじゃないけれど 犬夜叉らしくて かごめは嬉しかった・・・ 「・・・くっそ。なんではいらねぇんだ」 「犬夜叉・・・。普通、指輪は薬指にはめるものよ」 親指にはめようとしていた犬夜叉・・・ 「・・・。けっ・・・!お、玩具だ。ほ、本物買ったときちゃんと はめてやる」 「うん。待ってるね・・・」 かごめは自分で指輪を薬指にはめた 「うふふ。玩具でもなんかうれしv」 「///」 「ありがと。犬夜叉・・・」 犬夜叉はかごめを見つめる・・・ かごめはそれを感じ取ったのかスッと目を閉じた・・・ (か・・・かごめ・・・) ごくっと唾を飲む犬夜叉・・・ 犬夜叉は少し手を震わせてかごめの頬にてを添わせ唇を近づける・・・ (かごめ・・・) あと一センチぐらいというところで・・・ (ん・・・?なんか臭うな・・・) 足元がなんだか生暖かい・・・ ワゥワゥワン・・・【あ・・・ごっめーん。犬夜叉。アンタの足でもよおしちったーv】 なんとゴマちゃん犬夜叉の靴下に黄色い地図を描いちゃいました・・・! 「ゴマ・・・てめぇ・・・(怒)」 犬夜叉、二度もかごめのキッスおあずけで 激怒・・・ ゴマちゃんの首をくいっとつかんで怒ってます。 ワゥワゥワ!!【何よ!キスしそびれたからってアタシに八つ当たりすんじゃないわよ!!大体あんた、 キスの上手な仕方、しってんの?】 「何キャンキャン吠えてる・・・?んっとにてめぇは・・・」 ぶちゅ♪ 「!!」 犬夜叉、ゴマちゃんに唇奪われる・・・ ドックフードの味がしますv ワンワンワ・・・v【どう?アタシのキス、上手でしょ?舌はいれなかったけどねー】 「こんの・・・クソ犬ーーーー!!!」 ワンワン【きゃあーー!かごめちゃん助けてーー!!犬夜叉が発情してあたしの大事なものを奪おうとしてるわーー!!】 かごめの腕の中のひょこっと逃走するゴマちゃん。 「ちょっと!ゴマちゃん怖がってるじゃないの」 「てめぇ!自分の男より犬をとるのか!」 「なっ・・・なに 言ってんのよ・・・!あんた嫉妬深さにも呆れたもんだわ!」 「んだとー!やんのか!」 「やるわよ!!」 ラブラブモードが一点・・・ 夫婦喧嘩にはや代わり・・・ その原因のゴマちゃんは・・・ ワゥワゥワゥ〜・・・【ケンカするほど何とかっていうけど・・・。ま、これも愛のバロメーターってとこね・・・。 ああ眠たい・・・】 ケンカするかごめの腕の中で・・・ すやすやと眠りについたのでした・・・(笑)
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