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其の四・純情・発情ドキドキナイト2
結局、犬夜叉は昨夜はあまり眠れなかった 訳の分からない興奮に悩ませられる・・・ 目を赤くした犬夜叉。 食堂に下りてくる・・・ 「犬夜叉、おはよ!」 かごめの声と笑顔にドキッとする犬夜叉。 「ご飯出来てるけど・・・。食べる?」 「お、お、おう・・・」 かごめの仕草に犬夜叉の心臓はドキっと反応してしまう・・・ 「はい。お味噌汁」 すっとテーブルにお椀を差し出す 犬夜叉の視線は思わず、かごめの胸辺りに・・・ 「・・・ん?どうかした?」 「な、なんでねぇッ」 目を逸らし、ご飯をがつがつと食べまくる 「・・・変なの」 (変なのはどっちだ・・・。昨日・・・。あんなことがあったのに・・・) 意識しているのが自分だけだと思うと何だか ちょっと虚しい犬夜叉・・・ 食事もいつもは朝から3倍はお代わりするのに今日は 2膳だけ・・・ ため息をつきながら職場に向かう犬夜叉・・・ 「あっれー?先輩、目ぇ赤いっすねぇー!」 後輩の一人が犬夜叉の目を覗き込む 「もしかして。ふふ。昨夜、カノジョと頑張ったんですかーv くーーー♪奥手っぽい先輩も燃えたんすねーー!!」 「・・・」 後輩の甲高い声が犬夜叉にカンにビリビリさわる。 「あの・・・。カノジョを”イカセル”こつとかって知って・・・」 ギロリン! 「てめぇらのせいでオレまで変じゃねぇかぁあ!」 犬夜叉、後輩を羽交い絞め・・・ 「わぁああ。お助け〜。先輩、いいものあげますからー」 「いいもの?なんだよ」 「・・・。愛の準備体操・・・v切ない恋愛ドラマっす。これを見れば、きっと先輩のカノジョも 元気でますよ〜vv」 後輩はなにかビデオテープみたいなものを犬夜叉のバックに 強引にいれた。 「さーて。仕事仕事ー・・・」 昼休み。 「ふぅー・・・」 建築中の家。 材木に腰掛けかごめが作ってくれた弁当をあける (・・・うまそう・・・) たこウィンナーに玉子焼き。定番だが栄養を考えてかごめがつくったものだ。 「おっ。うまそうだな・・・」 「松さん」 松井が犬夜叉の隣に松井がオムスビを食べながら座った。 「どうした?若い奴らにからかわれて落ち込んでるってか?」 「別にそんなんじゃ・・・」 犬夜叉はたこウィンナーをぱくっと一口で食べる。 「はっはっは。若い奴らじゃなくてもお前、”発情オーラ”出まくってるぞ」 「ゴホッ!!!!」 ぴょーんと犬夜叉の口からたこウィンナーがロケットのように飛び出した。 「・・・。な・・・(///)」 「まぁ無理もないかぁ。あんな可愛い子と一つ屋根の下じゃムラムラ来ない方が異常かもな」 「///」 犬夜叉、リアクションにこまり、ひたすらに弁当のご飯をかきこんでたべる。 犬夜叉のそんな態度が可愛らしく見え、くすっと笑った。 「いいんだいいんだ。それで。最近の男は本能のまま突っ走りすぎる。 お前みたいに照れたりする位が丁度いいんだ」 「・・・」 「男と女っていうのはな。”そこ”まで行く緊張感が大切なんだから・・・。自然の流れにまかせりゃ いいんだ。あんま、考え込むな」 パンパンと犬夜叉の背中を叩いて励ます松井。 「惚れた女なのこと・・・。大事にしなけりゃ・・・。まもらねぇとな・・・。 男なら・・・な」 「松さん・・・」 松井の視線が切なく遠くを見つめる・・・ 犬夜叉にはその視線の先に誰がいるのかすぐにわかった・・・ 松井の亡き妻へ・・・ 3年前に事故にで妻を亡くした松井・・・。 仕事仕事で家庭を顧みなかったと心底後悔しているのだ・・・ 「・・・亡くしちまう前に・・・。”惚れてるぜ”ってカミサンに伝えて置きゃよかった・・・ってな。 はは。犬。お前は絶対彼女、幸せにしろよ」 犬夜叉はしっかりと頷いたのだった・・・ 「ふぅ〜・・・」 ため息が絶えないまま、犬夜叉は帰宅。 すぐにベットに横になる。 (・・・そういえば。アイツら、昼間何かいれてやがったな・・・) リュックから後輩たちがいれたビデオを取り出す。 ビデオのラベルをじっと見つめる犬夜叉。 (『戦国蜜月物語』・・・?切ない恋愛モノだとかいってやがったな・・・。 ”妙な”ビデオじゃねぇだろうな) 犬夜叉がテレビデオにカセットをいれ、 リモコンで再生ボタンを押そうとしたとき、ノックがした。 「犬夜叉。ちょっといい・・・?」 かごめが肉まんを持って入ってきた。 「ふふ。一緒に食べよ。久しぶりだよね♪」 犬夜叉のベットにちょこんと座り、 紙袋から肉まんを犬夜叉に一個、渡す。 「食い気だな。お前は」 「いいじゃなーい。美味しいんだから・・・。うふふv」 無邪気に肉まんをほおばるかごめ・・・ (・・・) 犬夜叉は何故かその様子をじっと見ている・・・ 「・・・おい。肉、口のまわりについてるぞ」 「あ・・・。やだ。あたしったら」 なにげなくハンカチで口元をふくかごめの仕草にドキッとする・・・ 「髪についちゃった」 (はっ・・・。お、オレは一体何を・・・) ドクンドクン鳴ってくる鼓動を・・・かごめに気がつかれまいと 犬夜叉はかごめに背をむけた。 「・・・?どうしたの?なんか朝からあんた変よ」 「な・・・。なんでもねぇッ・・・///」 「顔赤いし・・・」 下から犬夜叉の顔を覗き込むかごめ・・・ 「風邪ひいてるの・・・?」 「・・・!」 スッとかごめは犬夜叉の額に手を当てた。 「熱はないみたいね・・・」 (・・・っ。くそ・・・っ) かごめが間近にいる・・・ それだけで 体が変に熱くなってくる・・・ 「・・・ねぇ。どこかやっぱり辛いんじゃない・・・?たいじょ・・・」 「て・・・てめぇのせいだろうがッ!!」 犬夜叉は思わずかごめの両手を掴んでしまった・・・ 「な・・・、なんであたしのせいなのよ!!」 「・・・なんでって・・・」 ”かごめがする仕草にドキッとするから” などとはやっぱり言えない意地っ張りな犬夜叉クン。 「と・・・とにかく、オレに構うな・・・。わっ・・・」 「きゃ・・・」 ドスン・・・ 立ち上がろうとした犬夜叉は足元に転がっていたビールの缶を踏んづけ かごめもろとも倒れる・・・ 「・・・!」 「!・・・」 スカートをまたぐ犬夜叉・・・ 犬夜叉が上に・・・ かごめが下に・・・ 互いを見下ろし、見上げる・・・ 二人とも体が固まる・・・ 押し倒されたかごめの下は布団・・・ (ど・・・どうすんだ・・・。この体勢・・・) (どうなるの・・・。この状況・・・) ドクンドクン・・・ッ 真下にかごめが・・・ ドクンドクンッ・・・ かごめの鎖骨に視線が行ってしまう・・・ 「・・・か・・・ごめ・・・」 (くそ・・・。な・・・なんか・・・もう・・・訳がわからねぇ・・・) 「・・・!」 かごめの肩をぐっと抑える・・・ (犬夜叉・・・。ど、どうしよう・・・。で、でも・・・でも・・・) かごめは迷いながらもスッと目を閉じた・・・ (・・・!?こ・・・。これって・・・”いいよ”ってことか・・・) かごめの意思表示に犬夜叉はいっきにカァッと体に熱が走る。 「・・・かご・・・め・・・」 かごめの髪をなでる・・・ (・・・サラサラしてる・・・) 触りたい かごめ全部に触りたい・・・ 思いが震える指先となって・・・ スッと顔を近づける犬夜叉・・・ (かごめ・・・) コツン。 犬夜叉の足の先がリモコンのスイッチを押した。 「きゃああ♪もっとしてぇ〜vv」 「!??」 テレビの画面に映ったのはなんともすんごい18歳未満お断りな映像・・・ かごめ、犬夜叉、凝固・・・ プツッ。 犬夜叉は慌てえてテレビを切る。そして恐る恐る振る返ってかごめを見ると・・・ (・・・完全に怒ってる・・・) 「・・・最低ッ!!!」 バッターン! せっかくのラブモード・・・ 先輩オモイナ(?)後輩達のくれたプレゼントでぶち壊し・・・ 「・・・アイツら・・・。明日カンナで頭削ってやる・・・」 だけどどこか・・・ 犬夜叉はほっとしていて・・・ ”自然な流れにまかせればいいんだ・・・。焦るな。大切な女ほど・・・” 「・・・」 感情より欲望なんて (そんなのは嫌だ。なんか嫌だ・・・) かごめが持ってきた肉まんをほおばる。 一緒に美味しいものを食べて 一緒に楽しいもを観て・・・ ゆっくり時間を共に過ごす・・・ そんなながれがいい・・・ (・・・肉まん買って言ったらかごめ機嫌治るかな・・・) まだ温かい肉まんを見つめていた・・・ 一方。かごめは・・・ (・・・。犬夜叉のばか・・・。途中でやめるくらいなら最初から 迫らないでよ・・・) クッションをぎゅっと握ってなにやら不満げなかごめ・・・ (・・・や・・・。やだあたし。何期待しちゃってたんだろう・・・。なんか急に 恥ずかしくなってきた・・・) かごめは頬を染め机に向かい 遣り残していた保育園だよりの下書きを書き始めた・・・ ドキドキが止まらない・・・ 発情より純情。 ときめきを大切にしたい 春の夜だった・・・。
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