今回のセミナーに参加して感じた事は、軟酥の行法での気の使い方です。武澤塾では、軟酥の行法を重要視されていて、セミナーではいつもこれを行います。私はいままで、この意味がよく分かりませんでした。仰向けになってリラックスして、体に意識を集めていくと、気持ちよくなって眠くなる。ただそれだけでした。ヨガで死体のポーズという全身弛緩のポーズがありますし、自律神経調整法で、手や足や体の各部分が温かいとか、涼しいと思念するやり方がありますが、同じようなものだと思っています。やると心や体の疲れが取れるのでしょうが、私には価値や効果がよく分かりませんでした。
セミナーの少し前に、家で体操をして息を吐いている時、邪気を吐いている事に気がつきました。体のストレスである疲れは、邪気になって溜まっている。邪気が溜まると気の流れが止まってしまいます。邪気を外に出す事が大切です。ため息を吐いたり、あくびをしたり、大声で叫んでも、邪気は出ていくと思うのですが、日常生活でなにげなく呼吸しているときも、邪気を吐いている事があると気づきました。
それからは、セミナーでやっている軟酥の行法を思い出して、身近に感じるようになり、生活に活かそうと思うようになりました。
軟酥は白くてやわらかくて、卵くらいの大きさの、香の良いチーズのようなものです。軟酥を頭の上に載せていると、体温で軟酥が溶けて、蒸気のようになって、体の中を流れていく。頭の皮膚から脳に流れ、内蔵に流れ、体が良い気(正気)で満たされて、古い汚れた気(邪気)は洗い流される。そして最後に、頭から新鮮な気を吸って、両手両足から息を吐く。これを2回する。これで体中の老廃物が、すべて洗い流されて奇麗になる。これが軟酥のやり方です。
私は、以前から疲れを取る為に、邪気を吐きたい。邪気を吐かなければいけない、という気持ちがありました。邪気が溜まると、新鮮な気である正気が流れてこないので、気の流れが止まるからです。
それで、軟酥の行法でどのように邪気を吐いたらよいかという疑問が生じました。
今回のセミナーで分かった事は、ストレスある処に意識を集め、正気(軟酥の蒸気)を集めると、体が勝手に動き出すということです。後は動きに意識を集中して、動きを導いていく。息を吸いたければ吸えば良い。吸うと気が体に満ちて元気になる。息を吐きたければ吐けば良い。吐くと邪気が吐けてストレスが取れる。ストレスが強く(邪気が凝り固まって)びくともしない処は、意識を集中して気を集めると、思わず息が止まってしまいます。そしてその状態で集中していると、少しづつ息が吐けるようになってくる。
息を吐いて邪気が外に出た分、息を吸えるようになり、正気が体に入ってくる。そのようにしながら普通に息が出来るようになると、ストレスが取れて正常になるのだと気づきました。気を集めて意識を集中して体の動きを待てば良い。体は常に健康になろうとする本能があり、気のエネルギーで実現すると思います。
軟酥の行法・・より効果を上げることを考えてみました。
1.手を当てて、気の力を補う
軟酥の行法で体に意識を集中して、気を集めると、気のエネルギーが働いて体が動き出す。(呼吸してない処が、呼吸を始める)体は本能で健康になろうとする働きがあり、気のエネルギーが体を動かし、回復する力になる。体が疲れて気の力が弱い時や、ストレスが強く邪気が溜まってびくともしない時は、手の平を当てて気を補うとよい。すると回復する力が強くなり、体が動き始める。意識した処が呼吸を始める。
2.体の動きで気を導く
軟酥の行法で仰向けになって、体の力を抜いて意識を集めると、意識した処にストレスがある(呼吸が止まる)か、ストレスがない(呼吸している)かを感じる。このやり方は、全身のストレスを感じるのは良い方法だと思います。(ストレスは感じるから取れるからです。)しかし、特定の処に気を集めて健康につなげる力は弱いと思います。仕事をする時も姿勢を偏らせて力を発揮するように、気を集めて疲れを取るにも、集中できる姿勢がある。体操で体を動かすのは、そこに効率よく気を集めて、気持ち良さを味わい疲れを取るためである。体を動かして集中力を高めると、気の力が強まると思う。
3.気を感じて健康に活かす
気を送る人と受ける人がいた時、受けた人が感じて気を返していく。ちょうど会話をしているようなものだ。同じ気を受けても、受け取り方で感じ方が変わり、気の反応も変わる。軟酥の行法では自分で気を送り、自分で気の反応をする。気の感じ方、受け取り方で体の反応が変わってくる。今回のセミナーで気づいたのですが、気は蒸気やガスのような気体だということです。今までは、液体のように流れてくるイメージをしていたように思います。気は気体なので圧縮して保持していなければ保てない。手を離すと拡がって逃げてしまう。肩凝りの人が肩に気を集めても、気のエネルギーは分子の動きになって肩の中を動き回っている。そうイメージすると、肩に動きを感じるようになる。気のある処は、気体の分子が動いて体を動かそうとする働きがある。
4.腰に力を集める事が大切
腰に力が集まると体がひとつにまとまるので、力が発揮できる。呼吸する時も、腰の力が大切である。邪気を吐くのも腰に力を集めるとうまくいく。正気を体に取り込むのも、腰の力で行う。腰の力が弱いと、口先だけの表面的な呼吸になり、体の中を気が通らない。腰に気を集めるには、足芯に気の風船を膨らませる事だと思う。足芯の気の風船がしっかり膨らむと重心が下に降りて体が安定する。足芯の力が弱ければ上半身に力が上がって、丹田を維持できない。
瞑想呼吸法との違い
瞑想呼吸法は体の動き、呼吸、イメージを使って、体の中に気を流していく。邪気を吐いて体のストレスを取り、正気を吸って体を気のエネルギーで満たす。ストレスが取れて体の動き、イメージ、呼吸は何にもとらわれることない自由になる。武澤先生が肉体感覚が無くなり、気エネルギーだけ感じるようになると言われるのは、この事だと思う。すべてに集中できて、すべてに実感が出て来るのだと思う。
軟酥の行法は仰向けになって脱力して、呼吸、意識(神経の働き)の力を抜いて自由になろうとする。しかし実際には力を抜くとストレスが出てきて、そのストレスを取ろうとして正気と邪気が体の中で葛藤を始める。ストレスを感じイライラして葛藤するからストレスは取れるのである。呼吸と意識で正気を集め、体の動きを応援する。それに対して、瞑想呼吸法は呼吸、意識、動きを最大限まで動かしていく。特に呼吸で動きをリードしていく。息をできるだけゆっくり吐いて、止めていると、苦しくて体と意識が動き出す。すべてが自由に動くようになり、自由を獲得する。息を吐いて、止めるのがポイントである。息を吸って止めると、体に力が入って、体全部が止まって、ストレスになる。
セミナーで軟酥の行法について感じることがあり、纏めてみたいと思いました。私の独断と偏見で纏めたものですが、気について多少理解が深まったような気がします。今後も御指導宜しくお願い致します。
|