歩く効用
 

頭脳の老化防止について、次のようなことが書かれていた本を読んだ記憶がある。

「老化防止のため、将棋や碁を指したり読書することよりも、歩くほうが効果的である。将棋や碁・読書は脳の一部しか使わないが、歩く時は、頭脳というコンピュータを総稼動している、しなければ歩けない」。

 

精神科医の斎藤茂太氏は、著書の中で歩く効用について次のように書いている。

<<歩くということは、頭脳を刺激する。頭ばかりを使っていると、頭脳は活性化しないのだ。頭の切り替えには、体を動かすことがいちばんである。日本医大の金子仁教授は、頭脳活性化のためには歩くことが一番いいという説を唱えている。その理由は次の通りである。


  1. 外を歩いていると目から鼻から、そして、皮膚からさまざまな刺激がひっきりなしに入ってくるが、歩くことの少ない閉鎖的な生活では、そうした脳への刺激が少なくなってしまう。
  2. 「足は第二の心臓」ともいわれるように、歩くと全身の血行がよくなり、血管がリズムカルに動き、全身の新陳代謝が活発に行なわれる。しかし、歩くことが少ないと、血行が悪くなり、脳への酸素と栄養の補給が不足してくる。もともと「人間は血管とともに老いる」ということばがあるように、血管も動脈硬化を招きやすくなり、老化が早まるのである。
  3. 歩くことによって、手足の筋肉から大脳へ送られるさまざまな信号が、大脳にとって外部から与えられる非常に効果的な刺激になっているのだが、自発的運動をしないでいると、筋肉はたちまち衰えてしまう。 

このような理由から、教授は、歩け歩け運動を勧めている。>>

 

斉藤茂太著『“うつ”もまた楽し』大和書房

 

私たちは、子供の時から歩いているので、歩けることは当たり前だと思っている。しかし、歩行ロボットの開発には、多くの時間と費用と知識をかけている。脳の一部でも障害が起こると、歩行が困難になることが多い。二本足で歩行するにはバランスが必要であり、そのために脳は常に働いていなければならない。これが脳の老化防止につながるのであろう。

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