2003年に実施されたウォーキング大会である。この種の大会の参加は初めてである。下記の文章は、“耕雲寺坐禅堂”のホームページに掲載したものである。
 第113回歩こう会 「第16回でっかいどうオホーツクマーチを歩く」 (2003.7掲載)
   2003614日から19日にかけて行われた「第16回でっかいどうオホーツクマーチ」に参加した。

日本ウォーキング協会認定で、北見市、女満別市、網走市が主催し、各々の市、町で各大会2日間づつ6日間連続して行われた。大会は北見市で開催される「ハッカの大地北見ツーデーマーチ」のウォーキングを終えると、その日に次の開催地女満別町の「女満別メルヘンツーデーマーチ」へ列車で移動する。ここを終えると次の開催地網走市「オホーツクはまなすツーデーマーチ」へ列車で移動し、“転戦”しながらウォーキングを楽しむ?

10キロコースから40キロコースくらいまで何段階かのコースに分けられており、各自の体力、脚力に応じたコースに参加する。各大会1日目には、ウォーキング後に、費用500円で歓迎レセプションが開催され、会食や表彰式、抽選会などが行われた。

6日間連続しての参加者は200人強。各大会の参加者は500人から1000人である。参加者名簿を見ると、沖縄、大阪、東京など全国から参加している。

“転戦”と書いたが、例えば40キロコースは8時スタートでゴールは16時に設定されている。正味8時間、これは毎時間5キロペースで、休憩なしで歩行しなければゴールできない。私は30キロ前後のコースに参加したが、皆さん昼食時20分くらいの休憩をとるだけで歩き通す。私にはついて歩くだけで精一杯であり、景色や草花を楽しみ、談笑しながらのウォークとは程遠いものである。しかもこの中の73歳の人の歩く速さの早いこと。

相部屋になった北海道ウォーキング協会理事のKさんに、こんな休憩もなしで早く歩くとは予想外である、と感想を述べたら、ウォーキングは競技であるとの答えです。まさに“転戦”しながらである。

 

ウォーキングコースは、北海道を歩いていることが満喫できるコースが設定されている。

あるコースは、起伏に富み、丘の上にくると前方一面に畑が広がっている。大きく横に広げたパイプから噴霧液を舞い上げ、タンクを積んだトラクターが畑を一直線に進んでいる。別のトラクターは作物と作物のあいだの土を、何ヵ所も同時に掘り込みながら作物の根元に土をかけてゆく。それこそ一列でも手作業ではできない長さの畑である。その中を歩く。

馬が放牧され、青草が地平線まで続き、時期には一面お花畑になるという原生花園に沿って歩く。すぐ後ろを歩く熟年の男ふたりの話し声が聞こえる。「こういうウォーキングをしていると、知らない女性にも気楽に話しかけることができる。普通ならセクハラ扱いされちゃうよ。この前、話しながら歩いた東京から来たという女性は、こんな大きなホウレン草はじめて見た、さすが北海道ね、と大きな声で感心していたので、見たらビートだったよ。笑っちゃったよ」

コース途中に何ヵ所かあるチェックポイントでは、冷水、麦茶、あめ、チョコ、ジュースなどが用意されている。受けるほうも環境に配慮して、紙コップを使用しないようマイコップを持参する。

   

 

“ハッカの大地北見ツーデーマーチ”での歓迎レセプションは、ゴール会場となる駅南多目的広場で行われる。受付で、缶ビールと缶ジュース、野菜と3個のパックに詰められた牛肉、マトンなどが入ったビニール袋を渡される。広場では、ドラム缶を縦切りにしたものに炭が入れられ、それが20個ばかり並べられている。これをガスバーナーで次々と炭に火を付けてゆく、スケールの大きなバーベキュー会場である。乾いたのどにビールを流し込む。玉ねぎは甘く、タレの良くきいた肉はおいしく、グッドアイデアのレセプションである。途中から、急にどしゃ降りとなる。テントの上にたまる雨水を、会場係がテントを棒で押し上げ、ザーと滝のように次々とこぼしていく。地面に置いたリュックや荷物を、背負ったり持ったりしながらのバーベキューとなる。

この雨の中を、40キロコースに参加した人がゴールして来る。ゴールして来る人達を見ながら、早々にホテルに引き揚げる。

 

  “女満別メルヘンツーデーマーチ”での歓迎レセプションは、ゴール会場隣にあるホテルで開かれる。受付で缶ビール、缶ジュースと抽選番号札をもらう。丸テーブルに料理が盛り付けられ、日本酒、ビール、焼酎が自由に飲めるコーナーが設けられている。町長、日本ウォーキング協会会長などの挨拶があり、会食をしながら表彰や景品の抽選が行われる。
 

日本ウォーキング協会では、本大会を含めて日本全国に15の日本マーチング加盟大会を認定しており、これらの加盟大会の8エリアの8大会を完歩すると、日本マスターウォーカーに、全大会を完歩すると日本スーパーマスターウォーカーに、通算30回完歩すると日本ウォーカー金メダルに認定され表彰される。会場では、本大会でこれらに該当する完歩した人達が表彰を受けている。

抽選の景品は、商工会議所、農協、商店、ホテルなどから提供され、ジャンボじゃんけんや抽選により、参加者100余人の半分以上が景品をもらっている。私は残念ながら外れ組である。このような歓迎レセプションは、各地の大会で同じように開かれるらしい。このレセプションを楽しみにしている人も多いだろう。

 

“オホーツクはまなすツーデーマーチ”での歓迎レセプションは、地ビールと漁港らしく魚介類によるバーベキューである。表彰式のあと、観光協会や漁協ホテルから提供された景品の抽選会。タラバガニ、シャケ、アスパラ、メロン、携帯電話のストラップなどの多くの景品が出された。今回も抽選もれ。網走市にある東京農業大学の学生が、よさこいソーラン踊りを余興に披露して大喝采である。

 

宿はツーデーマーチ実行委員会事務局が、希望者に紹介してくれる。

“女満別ツーデーマーチ”で紹介された民宿Yは、駅から車で15分のところにあり、広大な畑のど真ん中の一軒家。6畳の部屋に2段式のベッドが置かれ、5人の相部屋である。私以外の同室の皆さんは、日本全国で行われているこのような大会に何回も参加しているようで、お互い初対面の人ばかりであったが話題に事欠かない。

台東区で靴店を営んでいるというNさんは、毎週末、どこかの県で開かれているウォーキング大会に参加しているという。日焼けして、痩せていて、饒舌である。60歳半ばであろうか。北海道と沖縄以外の大会には、値段の安い長距離バスを利用して参加するという。

退職後にウォーキングを始めたという同室の大阪から来たYさんと先程のNさんは酒好きのようだ。夕食に缶ビールを何本か飲んでいたが、500円で焼酎が飲み放題だと分かると、ふたりで1リットル入り焼酎を2本空にした。特にNさんは、翌日の大会の朝、水代わりに飲みながら歩くということで、スタート前にコンビニを探してペットボトルの水割りの焼酎を購入していた。その日の夕食には、またふたりで焼酎を何本か空にする。翌々日の大会では、“今日は休肝日”とゼッケンに書き込んで歩いている。恐れ入った。

 

“オホーツクはまなすツーデーマーチ”で紹介されたS荘は、こぎれいな旅館で、12畳ほどの広さに5人の相部屋である。札幌から来たKさん。普段の大会では30キロくらいを歩くが、今回は3大会6日間連続で歩くので、全部20キロコースにしたという。お年をたずねると86歳。痩せていて日焼けしている。この3大会のあと、1日おいて行われる札幌ツーデーマーチにも参加するという。

お孫さんがいるという、帯広から来たSさん。同じ部屋になった4人にお土産をくれる。オホーツクはまなす大会だけ参加する。網走は小さいころ住んだ場所でなつかしがっている。

小金井市から来たMさん。今日の飛行機の早割が取れたので、オホーツクはまなす大会だけ参加する。昨年定年になり、それからウォーキングを始め、ウォーキング教室にも通ったそうである。

ロビーであった60歳半ばのTさん。右足の足先が半分無い。切断したという。足先の無いほうの足は、長く歩くと熱をもってくるので、途中、水などで冷やしながら歩くという。ロビーをスリッパで歩くのを見ると、上半身が右に左に振れている。良く歩けますねと皆さんから言われるそうである。特注の靴を頼むのですかと聞くと、26センチと16センチの靴を買い、片方づつ使用している。脳内出血の後遺症で、視野も半分しかないので、車の運転できないという。

 

 ゴール後の一休み
 

遅れてゴールした人へ、先に着いた仲間たちから歓声と拍手があがる。

各地の大会参加記念バッチを勲章のように胸一杯に飾り、バッチが重たくて歩けないのではと、からかわれている人がいる。

所属ウォーキング協会名と会員番号、自身の写真がついた名刺をくれた人。

女満別会場の隣にある露天風呂で一緒になった栃木から車で来た人は、安くあげるために車の中で寝泊まりしている。定年後で時間があるので、車を使用してあちこちのウォーキング大会を渡り歩いている。同じように、車で寝泊まりしている顔見知りも多くなった。その人たちと各大会の情報交換もしている。

 

ここではウォーキング大会が定年後の趣味、生き甲斐として大きなウェイトを占めている。

たかがウォーキング大会、されどウォーキング大会。

 
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