第154回歩こう会 「尾瀬を歩く」(2007.11.22掲載) |
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尾瀬は日光国立公園の一部であったが、平成19年8月に、尾瀬地域が会津駒ケ岳周辺を含め分離・独立し、「尾瀬国立公園」となった。 9月下旬に、友人とふたりで歩いた尾瀬沼・尾瀬ヶ原の標高は1400㍍以上あり、日本でも有数の高山植物の宝庫である。残念ながら、花の季節は過ぎ、“エゾリンドウ”が数本まとまって咲いているのを、何ヶ所かで見ただけである。しかし、どこまで歩いても木道が整備され、足元まで植物が群生し、ゴミひとつ見当たらない。周囲をいつ見回しても、ため息がでる自然が広がっている。ハイカーも皆、この環境を維持するために協力している、いや協力したくなる環境である。途中で、背中にぶら下げていた帽子をなくしてしまった。帽子をなくしたのは残念だが、“こんな所にこんな物を落として”、と通る人を興ざめさせないかと心配になるほどである。
9月22日(土)22,307歩(約17㌔㍍) 8:00新宿駅発高速バス → 12:50大清水着(標高1180m)13:00歩行開始 → 三平峠(標高1762m) → 14:55尾瀬沼山荘(標高1665m) → 尾瀬沼ビジターセンター → 16:00沼尻休憩所 → 白砂峠 → 17:00尾瀬ヶ原見晴「尾瀬小屋」(標高1400m)着 新宿駅8時発の尾瀬行き高速バスは、予定より1時間遅れて高速道路を下りた。乗客の多くは、終点の大清水バスセンター手前の戸倉バス停で降りている。翌日、鳩待峠から帰って分かったことだが、戸倉バス停からバスを乗り換えて直行する鳩待峠は、標高1591㍍の場所にある。下るだけで尾瀬に入れ、はるかにこちらのほうが楽である。 私たちが降りた大清水バスセンターの標高は1180㍍。それから標高1762㍍の三平峠を越え、尾瀬に入ることになる。この峠までの山道は、初心者向きと書かれているが、息が切れ、日差しもあり、からだ中から汗が吹き出す。途中、山道で休憩していた中年のカップルの夫人が、 「こんな山道を登らないと尾瀬に入れないのなら、尾瀬になんか来なかったわ」と私たちに話しかけてくる。 私たちと同様に、もっと楽に尾瀬に入るコースがあるのを知らなかったにちがいない。 三平峠から尾瀬沼に入る。入り口にはカウンターが設置され、尾瀬に出入りする人数を、自動的に把握できるようにしている。尾瀬沼を半周し、それから尾瀬ヶ原に向かい、尾瀬ヶ原入り口にある山小屋“尾瀬小屋”に今日の予約をしてある。 尾瀬沼では、距離の短い南岸コースを歩く予定であったが、南岸コースの入り口に立て札が立ち、木道が腐り危険であるので、北岸コースを歩くように書かれている。北岸コースの尾瀬沼湖畔に沿って設けられている木道を歩く。 山々が尾瀬沼を囲み、水面は木立を引き立て、絵葉書にしたいような景色が続く。カメラアングルには事欠かない。そして行きかう人はまれである。 バスが遅れ、歩くコースが変更になったため、予定の時間をオーバーしている。到着する時間が遅くなることを連絡するため、山小屋に何回か電話したが、そのつど携帯電話には圏外のマークが出る。暗くなって歩くことを覚悟して、懐中電灯の用意をする。 なんとか日暮れ前に“尾瀬小屋”に着く。尾瀬小屋は木造作りで定員200名。申し込んだ時は、相部屋しか空いてないといわれたが、個室を案内された。個室には畳4枚敷かれている。棚には、寝具が4セット用意されているので、4畳の個室の定員は4人のようだ。 部屋に案内する人から、尾瀬では生活排水の影響を少なくするため、風呂でのシャンプー、石ケンの使用はできない、浴びるだけにして下さいとの注意を受ける。早速、風呂に入る。浴槽は5~6人が入れる大きさであり、立って入浴するほどの深さである。湯量も充分ある。入浴の混雑時間は終わっているようで、友人と2人だけで入浴する。汗を流すだけなので、シャンプーや石ケンを使わなくともサッパリする。今考えると、立たせて入浴させ、多くの人を浴槽に入れるように考えたのかもしれない。 食堂に貼られた紙には、「残飯は尾瀬外に運び下ろしている。ご飯は自由におかわりできるが、残さないようにして下さい」、と大きく書いてある。テーブルに置かれた容器に入った梅干は、種が残らないようにすべて種が抜かれている。 トイレは水洗であり、更に大便器には洗浄便座が備えられている。衛星公衆電話もある。 フリー百科事典「ウィキベィア」には、 「かって、尾瀬原ダムや尾瀬への自動車道路の計画が持ち上がったが、自然保護のために反対運動が起こり、中止に追い込んだ。尾瀬はゴミ箱をなくし、ゴミの持ち帰り運動を始めた 夜中に、かなりの雨が降ったようだが、気がつかなかった。
23日(日)18,480歩(約14km) 7:30尾瀬小屋歩行開始 → 尾瀬ヶ原休憩所 → 見晴に戻る → 竜宮小屋 → 10:10山ノ 鼻小屋 → 尾瀬山ノ鼻ビジターセンター見学(標高1400m) → 12:00鳩待峠着(標高1591m) → 町営バス → 戸倉バスセンター(標高980m)
山小屋のチェックアウトは、8時までに行なってくれと時間は早い。 小雨の中、ポンチョをかぶって尾瀬ヶ原の歩行を始める。木道は雨でぬれていても、思ったほどすべらずに歩ける。延々と延べられた木道は複線になっており、右側を通行する。そして木道以外は歩けない。その木道は、分厚い板や角材を50㌢幅にたばねて頑丈に作られているが、補修跡はかなりある。こんな頑丈に見える木道でも、支えきれないほどの多くの人が、渡り歩いているのだろう。
途中、三人のボッカとすれ違う。一人は女性である。男性とくらべて、荷物は少ないようだ。しかし、頭からかなり高く荷物を積み上げている。どのくらいの重量があるのか検討もつかないが、私が担いだら、いっぺんで腰痛になりそうだ。 山小屋の経営者が子どもの頃、尾瀬で遊んでいる本人の写った写真を、小屋の廊下に貼りだしている。その子供らは、魚釣りや水泳、またボート代わりに浮島に乗って、棹さして遊んでいる。今はすべて禁止されているというが、目前に見えるあのような浮島で遊んだのだろうか。 友人とは、「尾瀬にきてよかった。すばらしかった」と話しながら尾瀬をあとにした。国立公園の名に恥じない、この尾瀬の自然を残してくれた先人や、将来のために維持している人の努力に敬意を払いたい。 |
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