第155回歩こう会 「瀬戸内しまなみ海道を歩く」2007.11.27掲載)
 

9月下旬に行なわれた「第7回瀬戸内しまなみ海道スリーデーマーチ」に参加した。このウォーキング大会への参加は三回目である。

「瀬戸内しまなみ海道」とは、本州の尾道と四国の今治を、七つの橋と六つの島でつなぐ尾道・今治ルートを、旧本州四国連絡橋公団が公募した愛称である。

 来島海峡大橋(6.2km)からの眺め
 

ウォーキング大会は、歩道のない新尾道大橋以外の六つの橋と、島の一般道路の計80kmを歩く。このうち橋の部分の延べの長さは20kmである。尾道と向島をつなぐ新尾道大橋の箇所は、渡し船(約300m)を利用する。

この80kmを、今治をスタート地点として3日間で歩くコースと、尾道をスタート地点として2日間で歩くコース(40`コース)があり、途中で()()私は、3日間コースに参加する。

今大会には、地元をはじめ全国から3000人が参加している。島内での宿泊施設が足りないため、主催者が用意したバスで、その日のゴール地点から、尾道や今治のホテル・旅館への送り迎えも行なわれる。

この大会に参加するため、往復とも東京発着の夜行バスを利用する。大会初日、早朝に今治に入り、最終日、尾道から夜行バスでもどる。

 

9月28日(金) 40,757歩(約30.9km

745今治着 → 835今治城スタート → 来島海峡大橋(6.2km)→

伯方・大島大橋(2.6km) → 1610伯方SCパークゴール → バスで旅館「さわき」へ

  
   中央会場の今治城(スタート地点)
 
この日は30度を越える暑さである。夜行バスの疲れと暑さのため、昨年、休憩しなかった給水ポイントで何度か休憩をとる。ゴール後に腕を見ると、まぶしたように塩が吹き出ている。途中、中年の女性が、石垣を支えにして立ち止まり、脚が痛いのをがまんしている。足首を伸ばすストレッチを一緒にやったが痛みが治まらない。ケイレンを起こしているようだ。道路の縁石に座ることをすすめても、痛くて座れないという。足を止めた人たちが岩塩を飲ませたり、鎮痛消炎薬のバンテリンを脚に塗ってあげた人もいた。痛みがとれたら日陰で休むように話して、歩行を続ける。あの婦人は痛みが治まったのだろうか。

帰宅して「熱中症ガイドブック」を開くと、

「熱ケイレンは、大量に汗をかき水だけ補給して血液の塩分濃度が低下したときに、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったケイレンがおこる症状である。救急処置として生理食塩水(0.9%)を補給すれば通常は回復する」と記している。

ゴールの伯方(はかた)SCパークには410分に着く。ゴール近くで誘導している人に、最初の人は何時ごろにゴールしたかを尋ねると、一番早い人は1250分に着いたという。これは30km4.3時間で歩いているので、毎時6.9kmの速さで歩いていることになる。

 

9月29日(土)22,616歩(約17.2km

745旅館「さわき」をバスで出発 → 900伯方SCパーススタート → 大三島橋(0.5km) → 多々羅大橋(4.2km) → 1245瀬戸田市民会館ゴール → バスで尾道のホテル「α-1」へ

 大山祗神社の「だんじり」 多々羅鳴き龍」を聞くため拍子木を打つ人たち 
   

 

早朝、旅館から5分のところにある大山祗(おおやまづみ)神社にお参りする。大山祗(おおやまつみ)神社のパンフレットには、全国10,326社の大山積神(おおやまづみのかみ)をまつる総本社と書かれている。今日は大祭で夜明け前から“だんじり”が出され、鉦太鼓(かねたいこ)鳴っている。境内には、何台もの“だんじり”が集まっている。

この日は、昨日とちがって曇り空で歩きやすく、歩くペースもあがる。

今日渡るふたつ目の橋となる多々羅(たたら)大橋の長さは4.2kmあり、斜張橋としては世界最長である。両側に張られたワイヤーを支えている高さ226メートルの主搭は、道の両側から斜めに立ち上がり、上部で結合して閉空間をつくっている。主搭の真下には、「多々羅鳴き龍」と標示があり、拍子木が用意されている。拍子木を打つと、主塔のあいだで反射を繰り返し、ルルル・・・と微妙な音が残響する。

2間コース(40`コース)に参加した人たちが、今日、尾道をスタートしている。このコースを歩く人たちと途中で()()う。先頭の人は、かなりのお年(70歳前後?)であると見受けられたが、ペットボトルだけを持ち、ウォーキングではなく、まさにジョギングのスタイルと早さでやってくる。3日間コースのゴール地点となる瀬戸田市民会館を40`コースの人たちが、次々と通過していく。私は瀬戸田市民会館からバスで尾道のホテルに向かうが、バスは40`コースと同じ道を反対方向に走る。“まだこんな所を歩いている”と先頭の人から、はるか離れた場所を歩いている40`コースの人たちを、バスの中から眺め続ける。

 作家 林芙美子像
 

尾道のホテルに2時前に入る。ホテルのチェックインは3時からだと言われ、時間まで尾道駅前をぶらつく。

昨年、“おのみち帆布(はんぷ)”でできたブックカバーを買ったが、使い勝手が良かったので、その雑貨店に寄ってみる。港町として栄えた尾道は、その昔、帆船に使用する帆布をつくる工場が、町に欠かせない風景のひとつだったという。今回は、“おのみち帆布”製のショルダーバックを購入する。

商店街には、尾道で青春を過ごした作家、林芙美子が海を語る像が置かれ、尾道をおとずれた有名人の足型を押した100名ちかくの陶板が、歩道(はし)に埋め込まれている。先代の貴乃花の足型もあったが、意外と小さく感じ

 

9月30日(日)38,578歩(約29.4km

650尾道駅からバスで出発 → 830瀬田市民会館スタート → 生口橋(3.0km) → 因島大橋(3.4km)→ 渡し船 → 250尾道駅前ゴール

 

午前中は、小降りの雨が続きポンチョをかぶって歩く。

 小雨の中で出発式とストレッチ体操
 

千葉から来ている婦人と、岡山から来ている婦人と話しながら歩く。

千葉から来た婦人は、“バスdeウォーク”というツアーを利用して参加している。ツアーでの参加者は約80名。大会前日に飛行機で四国に入り、空港からバス2台を連ねて、今治の宿舎に入ったという。今日、飛行機で帰る。添乗員からは、ゴールの尾道で銭湯に入りたければ、3時までにゴールしてくれと言われている。お風呂に入りたいが、3時までには着けそうにないと弱気である。多くのウォーキング大会に参加しているというこの婦人に、参加した大会の中でどこが一番良かったですかと尋ねると、毎年1月に開催される「いぶすき菜の花マーチ」だという。一度参加してみたいものだ。

岡山から来た婦人は、岡山弁丸出しで、聞いているだけでも楽しい。ウォーキング大会への参加はこの大会が始めてで、最終日だけ参加するために、今日は早朝に家を出てきたそうである。

ゴール後、荷物を尾道駅のロッカーに預け銭湯に入る。銭湯は、ゴールしたウォーカーで占められている。

1930分発の新宿行き夜行高速バスに乗ったが、途中のサービスエリアでの休憩時間も気づかないほど、バスの中では熟睡した。

 因島大橋(3.4km )自動車道の下にある歩道  ゴールの尾道駅前広場
   
 来島大橋(6.2km):世界初の三連つり橋
 
 伯方・大島大橋(2.6km):日本初の補剛箱桁つり橋
 
 大三島橋(0.5km):本四連絡橋の先駆者
 
 多々羅大橋(4.2km):世界一の斜張橋 (多々羅鳴き龍がある)
 
 生口橋(3.0km):日本初の複合桁斜張橋
 
 因島大橋(3.4km):本四連絡橋で最初のつり橋
 

 

参 考

今回のウォーキング大会で、脚にケイレンをおこして立ち往生している婦人がいた。熱中症についての症状と救急処置について、ガイドブックから抜粋して掲載した。参考にしていただきたい。


「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」財団法人 日本体育協会発行

熱中症とは、暑い環境で生じる障害の総称で、次のような病型があります。スポーツで主に問題となるのは熱疲労と熱射病です。


  熱疲労

<症  状>

脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられる。

<救急処置>

熱失神と同じ


  熱けいれん

<症  状>

大量に汗をかき水だけを補給して血液の塩分濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったけいれんがおこる。

<救急処置>

生理食塩水(0.9%)を補給すれば通常は回復します。


  熱射病

<症  状>

体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態で、意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり死亡率が高い。

<救急処置>

死の危険のある緊急事態です。

体を冷やしながら集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での処置が重要です。

体温を下げるには、水をかけたり濡れタオルを当てて(あお)ぐ方法、(けい)(くび)、(わき)の下、足の付け根など太い血管のある部分に氷やアイスパックをあてる方法が効果的です。

循環が悪い場合は、足を高くし、マッサージをします。

症状としては、意識の状態と体温が重要です。意識障害は軽いこともありますが、応答が鈍い、言動がおかしいなど少しでも異常が見られる時には重症と考えて処置しましょう。

 
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