第182回歩こう会「第7回草津よいとこツーデーウォーク」を歩く(2009.8.30掲載)
 09年7月11日と12日の両日、「草津よいとこツーデーウォーク」に参加した。冬場に使用されるゲレンデの施設を利用し、そして一部スキーコースも歩く。無料や割引された温泉施設にも入れる。このようなシーズンオフのスキー場で行われるウォーキング大会は、全国各地で開催されている。私もこれまで、「蔵王温泉こまくさツーデーマーチ」「会津高原しらかばツーデーウォーク」「野沢温泉菜の花パノラママーチ」「立山まるごとウォーク」などのウォーキング大会に参加した。スキー場にあるためコースからの眺望がすばらしい。いずれも自治体や観光協会が後援し、村民・町民の手作り感のあるウォーキング大会である。リピーターも多い。
  わが国を代表する温泉地で行われ、全国7つの大会で組織された「日本・健康と温泉ウォーキングリーグ大会(温泉リーグ)」がある。7大会を完歩すると認定証や記念品がもらえる。「草津よいとこツーデーウォーク」もその7大会の一つである。

  10日(金)草津へ
  新宿センタービル前10時発の草津直行スパリゾートライナーバスに乗車。一般道を走り、首都高速の入り口まで来たところで、運転手から
  「二人の乗客を乗せ忘れたので、これからUターンします」とアナウンスがあり戻ったのには驚いた。
  新宿センタービルまで戻ると、二人の女性が謝りながら乗り込んできた。荷物を何も持たずに乗り込んできたので、たぶん、バスに乗車してから、トイレにでも行くため間際にバスを降りたのかもしれない。乗車口で乗車チェックをしていた女性が、最終確認を怠ったようである。草津温泉バスターミナルには13:40に到着。
  バスターミナルで下車すると、硫黄の臭いが鼻を突く。ターミナルから10分ほどの旅館に荷物を置き、案内図を手に温泉街見学に出る。旅館の玄関口の掲示板に、草津温泉は「にっぽんの温泉100選」の1位に6年間連続で選ばれたと、観光経済新聞社の記事が貼られている。2位は登別温泉、3位は指宿(いぶすき)温泉と書かれている。別の資料には、草津温泉は、有馬温泉(兵庫)、下呂温泉(岐阜)とならぶ日本三名泉の一つだと書いてある。
 写真1:湯畑  写真2:草津に来た歴史上の人びと
   
  旅館から歩いて7~8分のところに、草津温泉のパンフレットには必ず載っている源泉の湯畑(写真1)がある。石に刻まれた案内板に「ここ湯畑は標高1156m」と記されている。草津温泉は意外と高所にあることを知る。御影石(みかげいし)の柵に囲まれた源泉からは、お湯が“ザアザア”と流れ落ちている。草津のパンフレットには、湯畑を含め主な源泉が六つとその他数十か所の源泉があり、全体で毎分3万2千リットル以上、ドラム缶にして1日に23万本もの温泉がわき出ていると書いてある。
  湯畑を囲む御影石(みかげいし)の柵に、「草津に歩みし百人」として、草津に来た歴史上の人物や著名人の名前が来草年とともに、ほんまかいなと思われる名前もあるが、刻まれている(写真2)。
  草津には、無料の共同浴場が18か所ある。湯畑の脇にあり、“湯もみ”(写真3)の観光実演している「熱の湯」も、かつて共同浴場のひとつであった。温泉療法を受けに来た人自身が、その療法の一部として、準備運動を兼ねて行うのが“湯もみ”だったそうである。
湯畑から15分歩くと、西の河原公園があり、最奥に巨大露天風呂と謳(うた)った「西の河原大露天風呂」がある。ここからあふれた湯が、公園内を川となって町中に流れていく。さらに河原には、石で囲われ、名前の付けられた露天池・露天釜が何ヶ所かある(写真4)。手を入れると飛び上るほど熱いお湯が湧き出している露天釜もある。翌日、ウォーキングを終えてから、この「西の河原露天風呂」に入ったが、巨大露天風呂の名に恥じず、入浴にくる人くる人が
「でっかいなあー、こんな風呂はじめてだ」と、発する声を多く聞いた。
 写真3:湯もみ  写真4:西の河原公演 
   

  11日(土):初日 歩数30,757歩(25kmコース)
スタート・ゴール場所となる草津国際スキー場天狗山ゲレンデレストハウス前で出発式が行われる(写真5)。
実行委員・町役場役員・日本ウォーキング協会役員などの挨拶、準備体操のあと、遠方から参加した人による“ときの声”に唱和して9時15分にスタート。今日の参加者は888人と発表される。
  ゲレンデを横に見ながらスタート地点から登り始め(写真6)、標高差300メートルほどのコースを歩くと、標高1547メートルの白根火山ロープウェイ山麓(さんろく)駅に着く。この山麓駅からロープウェイと夏山リフトを利用して、本白根コマクサリフト山頂駅(標高2116メートル)まで一気に登る。乗車料1250円は、ウォーキング大会参加費用の2000円に含まれる。6人乗りのゴンドラの中で、この参加料でこのゴンドラにタダで乗れるだけでも、もうけものだとの話に、みみっちいながら相槌(あいづち)を打つ。
  山頂駅の温度計は15℃を示している。山頂駅からゴールまで約22キロ、途中アップダウンは多少あるが、大部分は降(くだ)るだけである。長く急な降りは膝(ひざ)が笑う(がくがくする)。注意して歩いたつもりだが、初日はなんでもなかった膝(ひざ)が、二日目のゴール近くで左膝に痛みが走り、えらいペースダウンになった。このような痛みは、十何年ぶりかの症状の経験である。
 写真5:出発前  写真6:ゲレンデを横に見て
   
  本白根山噴火口跡の空釜の周(まわ)りを歩く。壮大な景色(写真7)にカメラのシャッターを何枚も切る。足元にはコマクサ(写真8)が群生している。一緒に歩いた人が、先日八ヶ岳のほうを登ったが、八ヶ岳でコマクサが群生しているといってもチョコチョコと咲いているだけだ。規模はここのほうがはるかに大きいと感嘆していた。
 写真7:本白根山空釜の周り  写真8:コマクサ
   
  芳ケ平湿原の手前では、“硫化水素ガス発生地点立ち入り禁止”の表示がコースに沿って張られたロープに掛けられている(写真9)。はげ山と立ち枯れした木、そして続く芳ケ平湿原の青々とした風景(写真10)、同じ自然が作る。
3時10分、スタッフが手をたたいて歓迎する中をゴール。トン汁のサービスを受ける。
  写真9:硫化ガスの自噴地   写真10:芳ケ原湿原とワタスゲ
   
  12日(日):2日目 歩数22,921歩(22kmコース)
  出発式で、温泉リーグ7大会を完歩した三人と関東甲信越マーチングリーグを完歩した人たちが賞状と記念品を受ける。歩行コースの注意個所を聞き、準備体操、“ときの声”をあげて9時スタート。
  二日目のコースは、初日のコースと違い、登りも降りもあるコースである。
  スタートから二時間ほど傘をさして歩く。皆さん、始めから歩くペースが早い。一緒につられて歩く。最終日は帰りの交通機関の時間に合わせるので、ペースは速くなりがちだが、それにしても私には早いペースである。坂道の途中で中年の女性が疲れた顔で立ち止まっている。連れの男性が
  「このペースじゃ疲れるよ、ゆっくり休憩してから歩こう」と声をかけている。
手製の犬カゴ?を背負い歩いている人がいる(写真11)。犬は顔だけ外に出し、おとなしく歩いている人を見ている。背負っている人に、重くないですかと尋ねると、「ちょっと重たいですね」との返事である。
 写真11:背おられた犬
 
  22キロコースと12キロコースは同時にスタートして、途中まで同じコースを歩く。両コースの分岐点では、私の前後の人は、12キロコースに向かう人が結構多く、私の歩く22キロコースに向かう人たちはガクンと減ってしまった。
  初日のコースも二日目のコースも歩きやすいように雑草が刈り取られ、道案内が置かれ貼られている。何カ所かの給水所での接待、分かりづらい分岐点には案内人が立ち、そして救護所を設けている。この大会のためにどのくらいの人数の人たちが、スタッフとして支えているのだろうか。皆さん若くはない人たちである。
  12時40分ゴール。バナナとお茶のペットボトルのサービスを受け、高原キャベツを引換券と交換する。ゴールしてくる人を見ながら途中で配られた弁当を開く。
  旅館に預けた荷物を取りに行き、旅館の温泉につかり、草津発3時50分の新宿直行スパリゾートライナーバスで帰宅する。




トップページにもどる