耕雲寺秋の禅の集い「鳥海山国際禅堂に参禅」 2007.11.13掲載)
 

20年以上、禅を通じて親しくさせていただいたHさんが、故郷の秋田県由利本荘(ゆりほんじょう)市矢島にある曹洞宗の高建寺(こうけんじ)で、この7月出家得度した。この得度を記念して、鳥海山国際禅堂で、島根県浜田市観音寺住職 花吉道久老師を招き、提唱(ていしょう)説法)行なわれると聞き、参加させていただいた鳥海山国際禅堂には提唱日をはさんで94日から9日まで滞在した。


鳥海山国際禅堂は、高建寺の佐藤成孝住職が長年にわたり浄財を募り、高建寺から6キロ離れた高台に、昨年7月に建立されたばかりである。同堂は、佐藤住職が堂長として指導し、国籍や僧俗を問わず広く

 内堂単
 

参禅希望者に門戸を開放している。そして高祖道元禅師が示した純粋禅の復興と実践、普及を目指している。

高建寺の伝道機関紙「嶺松」第15号には、鳥海山国際禅堂について次のように記している。


<<高祖道元禅師が宋のご修行によりご帰朝後まもなく、京都深草に日本最初の僧堂〈坐禅堂〉を建立(こんりゅう)すべく広く浄財を募った「興聖寺(こうしょうじ)僧堂勧進疏(かんじんしょ)」には、「寺院の最要は僧堂最も切要なり・・・七間〈12.7b〉の堂宇をたて堂内にへだてなし、正中に聖僧(文殊菩薩(もんじゅぼさつ)像)を安じ云々・・」とあります。当僧堂の規模もほぼこれにならった結果となりました。(略) 内堂は計16単(1単は畳1畳分)、外堂は半畳単が8、最多で計40人が一堂に坐禅できます。永平大清規(だいしんぎ)(道元禅師御著述)にもとづいて設計、内堂単の坐床の縦62寸〈188a〉、横32寸〈97a〉、床高16寸〈48a〉、浄縁8寸〈24a〉を厳密にしました。>>   注:〈 〉は、筆者記

鳥海山国際禅堂は、道元禅師が最初に建立した規模と内容を踏襲している。

 鳥海山国際禅堂全景
 
 禅堂からの眺望
 

禅堂は、高所に位置する棚田(たなだ)跡に建てられている。禅堂の背後は山林、禅堂から見おろす前方には畑が続き、その遠方には東北地方第二の高さを誇り、出羽富士・秋田富士と称せられる鳥海山を中心として、連なる山々のパノラマが展開する。夜明け時の坐禅を終えると日々変化するそのパノラマを廊下から眺めながら朝課に向かう

朝課を終え、前方の畑に目をやると、農家のおばさんが、朝早くから野菜を摘んでいる。キュウリやナス・トマトを食べてくれと、置いていってくれたこともある。

 朝課  提唱 喫茶 (左 佐藤堂長) 
     

日の暮れ前、刈り込まれた芝生の中に建つ禅堂を離れて、芝生にゴザを敷き、尻に敷く丸い座布団(ざぶとん)坐蒲(ざふ)を置き、山々の眺望を前にして外で坐禅となる気持ちよい日光とわずかな風を受け、間近で鳴く虫の()に耳をかたむけながら坐る。気がつくと満点の星空である。矢島町の星空は、日本でも一位二位を争うほど有名であると住職からお聞きする。

午後7時頃から始まる坐禅は、就寝前まで続く。この間、眠気(ねむけ)()ましたり身体をほぐすための経行(きんひん)(歩き坐禅)、各自、自由に経行廊下(きんひんろうか)で行なう。しかし、経行廊下(きんひんろうか)経行(きんひん)を行なうのはいつも私ひとりだけである。

坐禅が終わり、住職と西堂位に坐られた花吉老師が、内堂を退出する。その退堂する作法を始めて見る。文殊菩薩(もんじゅぼさつ)をはさんで並び立ち、あたかも坐禅が続いているようなゆっくりした足取りで、同時に歩み始める。歩調を合わせながら内堂の前門に同時に至る。その威厳(いげん)のある身のこなしに見とれる


 函櫃と単牌
 

寝床(ねどこ)は、内堂の坐床である。坐床ごとに函櫃(かんき)(物入れ)が備えられ、夜具である“(たん)()がしまわれている。坐床に敷布団とする厚めの毛布様の“単”を敷き、筒状の“被”を掛け布団として使用する。この“被”は、寒いとき、頭の上まで筒の中に入り、顔だけを出して、体が冷えないように坐禅をするのにも使用する。

また函櫃(かんき)の上には、私の戒名である“泰俊(たいしゅん)”と書かれた木製の単牌(たんぱい)(名札)を置いて下さっている。この単牌(たんぱい)は、お願いして記念に頂き、現在、自宅の仏壇の横に掛けている。

5日間の滞在中、坐禅・提唱・作務のほかに、佐藤住職とのお話、奥様からは抹茶を立てていただく、などの非日常的で充実した日々を過ごさせていただいた。機会があればまた参禅したいものである。


鳥海山国際禅堂の案内

連絡先 曹洞宗嶺松山高建寺 佐藤成孝住職

住所 〒015-0414秋田県由利本荘市矢島町立石字上野120 電話0184-56-2193

なお、積雪期(12月〜2月)は休単。鳥海山国際禅堂の最寄り駅は、羽越本線の羽後本荘駅から約40分、由利高原鉄道の終点矢島駅である。また、東京駅から羽後本荘駅までは夜行高速バスも運行されている。

 
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