法句経は、ダンマパダと呼ばれ、現存経典のうちの最古の経典の一つである。
ダンマは<法>すなわち<真理>という意味、パダは<ことば>という意味である。
423の詩から成り、テーマごとに26章に分けられている。
説かれている詩は、私には「聞くは易く、行うは難し」である。このなから、噛みしめたい八つの詩を選んだ。
法句経五番
まこと、怨みごころは
いかなるすべをもつとも
怨みを懐くその日まで
人の世にはやみがたし
うらみなさによりてのみ
うらみはついに消ゆるべし
こは易らざる真理なり
法句経二十一番
精進こそ不死の道
放逸こそは死の径なり
いそしみはげむ者は
死することなく
放逸にふける者は
生命ありとも
すでに死せるなり
法句経五十番
他人の邪曲を観るなかれ
他人のこれを作し
かれを作さざるを
観るなかれ
ただおのれの
何を作し
何を作さざりしを
想うべし
法句経百六十番
おのれこそ
おのれの救護者
おのれを措きて
誰に救護者ぞ
よくととのえし
おのれにこそ
まことえがたき
救護者をぞ獲ん
法句経百八十五番
「誹らず 害わず
戒めにおのれをまもり
食において量を知り
閑かなる所に坐して
しかも易きに住せざれ」と、
かく諸仏は訓えたまふ
法句経二百一番
勝つ者
怨みを招かん
他人に敗れたる者
くるしみて臥す
されど
そのいずれをも棄て
こころ寂静なる人は
起居ともにさいはひなり
法句経二百四十番
錆は
鉄より生ずれど
その鉄が自らを
きづつくるがごとく
不浄ある行者は
おのれの
業により
悪処にみちびかれん
法句経二百五十二番
他人の過失は見やすく
おのれのとがは見がたし
他人の過失をただすこと
糠を吹き散らすがごとし
おのれのとがは
詐りふかき賭者の
不利の骰子をかくすがごとく
自らをおほひかくすなり